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# 104_本連載の概要

本連載における、主要なコンテンツは、映像です。また、FabBiotope2.0というプロジェクトに対するQ&Aの文章です。映像は、昨年、夏に東京都美術館で開催された、TURNフェス5に、出展作家として、参加させていただき、我々の展示空間内で、実施した五つのトークを、三十分×二回の計十回に編集したものです。当時の記録をふりかえると、その空間は、ある種の、舞台に見えてきます。その舞台美術を、空間を扱う、小林空が。そこで、特殊な状況を立ち上げることを、ある意味で、劇作家的に、私、島影圭佑が。そして、その立ち上がった状況を映像で記録し、計十話の映像に編集することを、映像監督として、岩永賢治が。また、我々のプロジェクトに関わる人々が、キャストとして登場致します。岩永との協働の過程で、また、編集し終えた映像群を改めて観て、そこに、オルタナティブな、小さな社会を、錯覚しました。つまり、FabBiotopeというものを主題に、我々と関係する、様々な人々と議論する、そこに集団的な想像力が立ち現れているように見える。私たちの生きている社会というのは、当たり前ですが、複雑です。様々な人々によって、構成されている。今回、トークに登壇していただいた方々は、弱視者、エンジニア、当事者の家族、研究者、キュレーターなど、様々な立場や役割の方々に、参加いただきました。それらが、集合した、映像群を観ると、そこに、複雑で、小さな、新しい社会が、立ち現れているように見えるのです。また、これも、当たり前ですが、例えば、弱視者であったら、研究者であったら、誰でもいいわけではなく、私が活動していく中で、出会ったり、協働したりしている人々、その中で、FabBiotopeというものを主題に、一緒に考えたい、お話を伺いたい、議論したい、そういった方々に、お声がけさせていただき、参加いただいたわけでございます。つまり、その人でなければいけなかった。「その人でなければいけなかった」、その集合が、結果として多様な人々によって構成されているものになった、そのような感覚なのです。岩永は、編集後、三分間の短編映像は、旗のような存在に、十話の映像群は、様々な人々に開かれた扉のようなものになったのではないか、とふりかえっています。つまり、もしかしたら、この映像群は、私が思い描いている新しい社会像、そのイメージ、そのプロトタイプとして、見ることができるかもしれません。登壇者は、ある意味で、その社会の造形に関与してくれている市民、そのモデル、そのケーススタディのように見えるのです。そういう意味で、この連載の主要な目的は、FabBiotope2.0に参加する弱視者、エンジニアを募集するものにはなっていますが、そこを主役としながら、それ以外の人々、プロジェクトに関与いただきたい、ある意味で、このオルタナティブな社会を構成する一員になっていただきたい方を、表象するような連載になっているかもしれません。もちろん、登壇者、それぞれの方に、それぞれの物語があって、この少ない事例から、どのような方に、構成員になっていただきたいのか、その条件を導くのは、不可能であるように思えます。その個別のケーススタディとして、見ていただく他ありません。しかし、そのような人が、いるのだ、現実に存在しているのだ、というリアリティに触れていただく、その複数の自律したリアリティに触れていただくことで、オルタナティブな社会のイメージを、その世界観を想像していただく、それは、可能なのではないかと考えています。そして、その世界観を想像いただく中で、心が動く方、そういった方が現れるのではないか。そして、場合によっては、出会い、また場合によっては、協働する。個別な、新たなモデルとして、社会の造形に関与する像となっていただく、そういったことを期待しているのかもしれません。また、そういった、複数のリアリティから、社会像を想像いただく中で、映像のメディウムは、ひとつ、機能を果たしているように見えます。映像では、主に、言葉、声、を切り取りにいっていますが、それが出力される、肉体を扱っている側面が、多分にあります。複数のリアリティ、複数の肉体を、映像群から、感じ取っていただければ、と思います。

またQ&Aに関しては、また、これも、FabBiotope2.0に応募を検討されている、弱視者やエンジニアの方を、対象の中心に、文章を書いておりますが、同時に、多様な角度からの問いに対して、回答を通じて、言語化を試みている文章になっております。Q&A形式になっておりますのは、様々な立場の方が、本連載に訪れ、それぞれの角度から、それぞれの深度で、本プロジェクトの情報に、足を踏み入れていただければ、と考えているからです。また、冒頭にも述べました通り、本連載で、公開していく映像群は、昨年、実施したトークの記録映像を編集したものになっているため、当然、現時点とのタイムラグがあります。もちろん、当時から、変わらぬ部分もありますが、変わっていることも多分にあり、また、当時、明らかになっていなかったことでも、今、やっと言語化できるようになった部分もあります。その、昨年から、今にかけての差分のようなところを、Q&Aの文章で補っていければ、と考えています。また、現時点で、準備しているQ&Aの文章は、自分自身への自己言及的な、自分に対して、自分で質問する、というものもあれば、このプロジェクトの構想を、他者に說明する中で、投げかけられた質問から、問いを設計しているものもあります。ゆえに、今の、現時点の、私の、からだから、反応された、肉体的な、インタラクティブな文章です。ですので、なるべく客観的な文章を、と意識しながらも、かなり、主観的、感覚的な言葉の発露も伺えます。本来、一般に、Q&Aは、客観的、冷静な、回答文、そういった文章を書く時に、用いられる形式ですが、その形式に乗りながら、ある意味、物語を書いている、そのような感覚で読んでいただけると、よいかもしれません。また、本連載を読んでいただき、質問がございましたら、フォームより、ご送信いただけると幸甚でございます。すべての質問に、回答は難しいと思っておりますが、私の方で、回答させていただきたいと思った質問は、本連載の中で、公開Q&Aとして、投稿されていただければと思っております。

では、次回は、第一話の映像の紹介に、移っていければ、と思います。また、お会いできることを楽しみにしております。

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起業家。父の失読症をきっかけに文字を代わりに読み上げるメガネ〈OTON GLASS〉を仲間と共に発明。弱視者とエンジニアが協働して発明を実践し知を流通させるプロジェクト〈FabBiotope〉に取り組む。 https://scrapbox.io/keisukeshimakage/
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