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# 202_トランスレーションズ展でのオープニングトーク

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出典:企画展「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」

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2020年10月15日に、トランスレーションズ展のオープニングトークが開催されました。その中で、キュレーター陣から、参加作家に対して「今回、出展したのは、何を“翻訳”した作品ですか?」という質問が、投げかけられます。それに対して、回答しているのかしていないのか分からない、島影の回答が、以下になります。

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〈FabBiotope〉という作品名で、参加させていただいております、島影と申します。文字を音に変換するメガネで、〈OTON GLASS〉というものを仲間と共に開発してきておりまして、おそらく、今回の展覧会では、「文字を音に翻訳する」という、ご解釈をしていただき、当初、お声がけいただいたのではないかと思っております。本展覧会のテーマ「わかりあえなさをわかりあおう」に対しての、私なりの回答としては、「つくる、というコミュニケーション」を、そのひとつの方法として、今回、提案してみています。今回、紹介させていただいている〈FabBiotope〉というプロジェクトは、弱視者とエンジニアが、協働して発明を実践し、そこで生まれた知を流通させる取り組みです。今回の展示では、今までの〈OTON GLASS〉のプロトタイプと、その発展形として、昨年、実施した〈FabBiotope1.0〉の取り組みを映像で紹介しています。本展覧会と同時に、ウェブ上での連載をはじめ、〈FabBiotope2.0〉の参加者を募っていきます。このプロジェクトで、重要視しているのは、人間側の多様性と、技術側の多様性の、新たな掛け合わせの発見です。支援する/される、の関係性ではなく、弱視者もエンジニアも、どちらも当事者であり、つくり手であることで、協働の関係性になることができる。そこに、つくる、というコミュニケーションが発生することで、互いの秘密を共有する、相手の複雑さに触れることができる。つくることを通じて、共にいることが可能になる。その先に、今まで発見されていなかった、人間側の多様性と、技術側の多様性の、新たな交点が見つかるのではないか。それが、新たな多様性の発明につながるのではないかと、考えています。つまり、今まで、共にいることが難しかった他者同士が、つくることを、ある種の言語として捉え、つくることを通じて、新たな自立や共生を創造していく、というのに、本プロジェクトでは、取り組んでいきたいと思っています。同時に、それを本展覧会での問いの、私たちからの仮の回答とさせていただき、展覧会を通じて、みなさんと一緒に考えていく機会にさせていただければ、と思っております。

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Keisuke Shimakage

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