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広告マンから見た(偏りのある)CESレポート

CES2019を見てきました。

CESは、Consumer Electric Show の略なので、直訳すると「家電見本市」。その名の通り、世界中から、最新の家電が所狭しと並んでいる。幕張メッセの5倍の広さにモーターショーと、ビッグカメラがこれでもかと展示した風景と思っていただければ想像がつくでしょうか。ただし、ただの家電見本市では世界があまり注目しないと思うのですが、全ての企業が関わる羽目になったので、最近、いろんなところでCESという言葉を聞くようになったのではないかと思います。そのきっかけを作ったのが自動車の自動運転技術です。AIが実用レベルとして性能が上がり、自動車を電化製品に変えてしまった。その後、自動車だけでなく、AIが家電にくっつき、AIが住宅にくっつき、AIが衣服にくっつき、AIが食品につき、AIがスポーツにくっつき、・・・あれ、全部、家電じゃね?ってなって、参加する企業とイベントへの参加者が増えている、といったことです。確かに、IoT時代は、全てが電化製品ですもんね。

広告業界的には、スマホが1人1台を実現しALEXAやGoogle Homeなどのインターネット音声技術が普及、急速に、IoTが拡がり家庭内に定着し(アメリカでは80%以上の家庭でALEXA or GooglHomeが使われている)世界中の消費者データをリアルタイムに集めることが可能になってしまった現在、今後データ活用抜きにはマーケティング語れないことも、もう後には戻れない決定的な事項になったと考えていいと思います。しかしながら、相変わらず「共感」する動物である人間なので、データがいくら蓄積し解析されたとしても、最終的にはその表現が大切にはなってくるのだけど。(と、自分の仕事は確保しつつ)

そして、今年は5G元年と言われたCESでした。超高速通信網がこれらの技術に拍車をかけることは間違いないようです。全世界のデバイス(スマホだけじゃなくて全てのモノと人)が高速に、時差なく、途切れなくつながることで、Securityシステムや、Health領域、SMART CITY、SMART HOMEなど住環境、医療環境にまでIot並びにAIが実装されていく印象を受けた。とにかく、これだけALEXAがいろんな製品に入ってるのを目の当たりにすると、この時代はすぐにやってくると思い、やや恐怖を感じるほどでありました。

広告分野で5G時代を考えてみると、やはりメディアの変革が大きなインパクトとなるでしょう。具体的にいちばん変わるのはテレビ局でしょうね。いくら優良コンテンツを制作しても、それだけで乗り切れないだろうなと。余計なお世話ですみませんが。おそらく、5Gの映像コンテンツは、圧倒的にドキュメンタリーが伸びると思ったんです。一般の人が、容量制限を受けずに一人一人がテレビ局になるわけですから。そして、広告はメディアに従う性質を持つ為、5Gを前提とした広告表現が増えてくるでしょう。こちらもドキュメントが中心になってくるだろうな。今まではインフォマーシャル的な生CMが多かったと思いますが、演劇のようなライブ CMや、誰かの結婚式を利用したブランディングCMなどになってくるかもしれませんね。それぐらい自由な広告制作環境になる。なので、何でもありの面白い広告時代に突入するわけです。同時に、よく言われていることですが、マスメディアという概念がなくなり、個人への1to1広告に、シフトチェンジするのは避けられないでしょう。マスメディアは、その希少性から、そのうちアート作品と呼ばれるんでしょうね。それはそれで現在の映画のようになるので、逆に価値が出て面白そうですが。

5Gが普及するにつれ、人間の生活はAIの監視下に置かれることでしょう。こう表現すると嫌なイメージが広がりますが、おそらく良い面がたくさん出てきます。IoT、AI、5Gが連携した環境に暮らすということは、あらゆる身の回りのモノがお互いにコミュニケーションし、人間の状態をいろんな切り口から常時チェックしデータ化&解析されます。これが日常生活で常に行われるので、飛躍的に寿命が伸びるでしょう。もっと言えば、健康状態だけでなく、予測しづらい脳卒中など不測の事態を未然に防ぐこともできるそうです。(例えば、積水ハウスでプレゼンされていたのが「床」がIoT化されると、脳卒中などでバタッと倒れて心拍数が異常値を示すと救急車に連絡してくれるようになる)脳卒中の発見が遅れずに済むので、一命を取り留めるケースが増えるそうです。家の床や、自分の衣服や、キッチンや、ベッドなどが救急車を呼んでくれるなんて、なんて未来的でワンダフルなのでしょう。もちろん、家のドアも、救急隊員が到着した瞬間に鍵が開くわけです。(AmazonのKEYというコンセプトが発表されていた)

積水ハウス Iot↓
https://www.sankei.com/west/news/190109/wst1901090023-n1.html
Amazon “Key”↓
https://www.theverge.com/2019/1/7/18167425/amazon-key-garage-business-home-deliveries-prime-ces-2019

だからこそ、今回のCESで一番盛り上がりを見せたと言われるのが「健康」分野だったのかもしれません。
https://newspicks.com/news/3586018
世界中のみんなが100年時代に向けたサービスを我先にと開発を始め、またそこに注がれる視線も熱く、資金提供者も増えていることも頷けます。

そう考えると、5Gが向かう先は100歳時代のアシストとも言えるかもしれません。この分野は全ての企業に関係するので連動して進めていった方が良いでテーマ。日本は言わずと知れた長寿大国。世界に先駆けいくらでもテストできる環境があります。長寿化を押し上げ、長寿化ならではの課題を解決するサービスや技術を、企業間だけでなく国、もしくはそれに変わる団代がまとめて押し上げていくプロジェクトを行い、この分野で世界のリードを作っていくことはとても重要なことでしょう。

やや壮大な話になったので広告視点に戻しますと、CESはかなり宣伝活動の場所としても活用されている印象がありました。今回、いちばん力を入れてていたのは、Googleでしょう。(優位に進めるALEXAにここで負けるわけにいかない)そして、いちばん力を抜いて、アイデアで勝利したのはApple。この2企業のスタンスの違いが明確で面白い。Googleは、まさに総力戦。これでもかというほどのお金をかけ、Googleハウスという独立したブースを出し、広告を出し、イベントをやり、きわめつけは、Hey Google!というニットキャップを被ったGoogleの妖精たちが、各企業ブースのいたるところにいました。全部で1000人ぐらいは軽くいそうな数でした。全てのコラボ先(車、オーディオ、スマホ、マッサージ機、キッチン用品、ゲーム機など)のブースに妖精を立たせて「Googleが入ってますのでHey!Googleと呼びかけてね」と宣伝しているわけです。超IT企業Googleが、人間をメディアに使った超アナログ広告をやってることがすごいなと。相当な体力と覚悟でやったキャンペーンでしょう。一方、アップルは、広告を一枚出しただけで、CESへの出展もありませんでした。その一枚のポスタが冒頭の写真。

この広告の解説はこちら↓
https://www.gizmodo.jp/2019/01/apple-ces-ad.html
https://www.businessinsider.jp/post-182852

業績が良くないから展示を出さなかったという見解もありますが、アップルらしい広告が見れられて良かったです。
そんな感じで。広告マンから見た(偏りのある)CESのレポートを終了します。

※なお、CES2019の全てを網羅した記事はこちら。リアルタイムで全てのポイントが的確に書かれてます↓
(とてもじゃないけど、CESの会場は広すぎて一人じゃここまで回れません。さすが日経。)
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/ces2019/

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