Book087『青春を山に賭けて』植村直巳

五大陸最高峰の登頂に成功した、植村直巳の冒険譚。大学で偶然登山を始めて、そこからヨーロッパのアルプスに憧れるまでは普通だが、そこからの行動力が桁外れ。

まず、アルプスに登る資金を得るために、アメリカにほぼ無一文でいき、不法滞在のメキシコ人と農園のアルバイトでお金を稼ぐ。その後、フランスに渡り、もちろんフランス語もわからないが人柄が買われてスキー場での職を見つけ、登山への道を徐々に切り拓いていく。

本当に山が好きで、山を登りたい一心な行動でいつのまにか周りの人が応援している。コミュニケーション能力高い、という感想をもちかけたが、いわゆる現代よく言われる『コミュニケーション能力』という言葉は合わない。

もちろん辛いシチュエーションや迷いは生じるが、その際に『五大陸最高峰制覇の為』という剥き出しの野心で自分を奮い立たせるのではなく、『送り出してくれた周りの人』たちを思い出して奮い立たせているのが印象的だった。

兵庫県豊岡の植村直巳ミュージアムも行ったが、彼のようなまっすぐな瞳とまっすぐな笑顔を人に向けられるようになりたい。



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