AnaDan さん

読書好きの外資系マーケター。 自分がもっと早く出会っていたかった本を毎日コツコツと紹介…

AnaDan さん

読書好きの外資系マーケター。 自分がもっと早く出会っていたかった本を毎日コツコツと紹介していきます。

最近の記事

Book085『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』國分功一郎

國分氏による、エチカの入門書。哲学に精通していない初学者にも非常にわかりやすく、スピノザの思考のポイントを伝えてくれる貴重な本。 考え方として好きな部分は、 ・物事の善い悪いは全て組み合わせによって決まる ・その存在において、活動能力を増大・促進するものを善とする(悪はその反対) ・その存在自体としては善いもの、悪いものは存在せず、善い組み合わせと悪い組み合わせがあるのみ。 この定義は非常に面白い。 まさに会社などの組織でもある組織では善とされる行為が、違う組織では往々に

    • Book084 『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』 ジェームズ・クリアー

      習慣に関する本の中で、『続ける力』と共にTOP2の本。こちらはより様々な角度から学術的なデータ含めてより詳しく記載がある。 ・きっかけ、欲求、反応、報酬の4つのステップを理解して良い習慣をつくる ・継続的に習慣を積み重ねていくことは、自分のアイデンティティに一票投じること。 ・現在の習慣をしたら新しい習慣をする など、人間の特性、メンタルの後押し、そして具体的なtips まで、習慣形成に必要な全てがこの本には書いてある。 一瞬の大きな変化を追い求めても、ほとんど探すことが

      • Book083 『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』 ヤニス・バルファキス

        わかっていそうでなかなか説明できない、『なぜ格差が生まれるのか』『銀行は何をしていのか』などが専門用語を用いずにわかりやすく解説されている本。 ・『過剰生産』が国家制度・技術の進歩と格差を生んだ ・経験価値と交換価値(市場において何かを交換する時の価値)の中で現在は交換価値が極端に重視されている ・市場のある社会から市場社会への変わることによる、借金の位置付けの変化。 など、改めて勉強になる視点が多かった。 市場社会を生きる我々としては、専門的でなくても最低限自分たちが今

        • Book082 『ディズニーCEOが実践する10の原則』ロバート・アイガー

          テレビ局員からディズニーCEOとなった著者の本。 タイトルにある10の原則は極めて当たり前のことに聞こえるが、その10原則よりも著者がそれぞれの仕事の立場でどのように考え、行動してきたかの話がとても読み応えがあった。 様々な辛苦の中で、 ・みんなに褒められていない時、逆風のときにいかに前向きさを維持するか ・遠い将来のチャンスにしか目が向かないと問題となるので野心とのバランスを保つこと。 ・目の前の責任をきちんと果たし、『昇進を追い求めて自分が活用されていない』と文句を言う

        Book085『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』國分功一郎

        • Book084 『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』 ジェームズ・クリアー

        • Book083 『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』 ヤニス・バルファキス

        • Book082 『ディズニーCEOが実践する10の原則』ロバート・アイガー

          Book081『Chatter(チャッター)』 イーサン・クロス

          人がいかに無意識の一人ごとに頭の中を占められているか。たしかに作者の指摘のとおり、他人から何かを言われようと、大体の場合はその後の自分自身のセルフトークによって、傷が開くことは往々にしてある。 前提として、勝手に湧き出るチャッターを完全に消すことは人間にはできないが、いかにそれを敵ではなく味方にするのか、という点がポイント。 ・チャッターが現れた際は、主人公を『私』を『あなたへ』に入れ替えて第三者的に観察する など、それを克服するテクニックがいくつか記載があった。言葉に

          Book081『Chatter(チャッター)』 イーサン・クロス

          Book080『暗号解読』サイモン・シン

          紀元前のカエサルの時代から最新の暗号まで、暗号の発展の歴史を紐解く物語。 暗号そのものの進化も興味深いが、進化の過程の様々な登場人物が全身全霊で暗号作成・解読に挑む人間ドラマが非常に面白い。 初めのカエサル暗号のような単純な暗号から、現代の暗号まで、一人一人が目の前の暗号と向き合い続け、もの凄い遠くまで発展させてきた。このように、時代を超える人間の創意工夫のリレーの様を見るのが歴史の醍醐味だと感じる。 単純なストーリーの面白さに加え、改めて自らはどんなバトンを後世に渡し

          Book080『暗号解読』サイモン・シン

          Book079『宇宙兄弟』小山宙哉

          宇宙飛行士の主人公を描く漫画。既に宇宙飛行士となっている弟に対し、改めて兄も宇宙飛行士になることを目指すところから物語は始まる。 10年ほど前に読んだ時よりも、今読んだ時の方が沁みた。この10年でした色々な経験が、多くの要素が詰まったストーリー構成を味わえるようにしてくれたと感じる。 特に、 仲間でもあり、ライバルでもある同僚たちとの共闘: ただの仲良い仲間、という関係にとどまらない感情描写。 主人公の試練の際のマインドセット: キングダムの信のような溢れるアツさではな

          Book079『宇宙兄弟』小山宙哉

          Book078『本心』平野啓一郎

          生と死がテーマの本。 自由死と呼ばれる死の選択権が認められた近未来の日本が描かれている。 死の寸前の景色を自分で選ぶ権利は人間社会で認められるべきか。愛する人に手を握られたいのか、あるいは仮想空間内の現実そっくりな世界でその人々に囲まれていれば同じ精神的満足を得られるのか。 カズオイシグロの『クララとおひさま』同様、人間存在そのものの価値について考えさせられる小説であった。完全な過去の記憶やデータを持ち、機械学習が可能な存在は、実体はなくても私と呼べるか。または、もしその

          Book078『本心』平野啓一郎

          Book077『先にしくじる』山崎裕二

          プレモータム・シンキング、と呼ばれる行動を起こす前にあえて失敗をイメージすることで、失敗を防ぐ思考法の紹介。 よく、『悲観的に考え、楽観的に行動する』と言われるがそれを地でいく思考法である。私を含め楽観的に考え過ぎる傾向がある人には、失敗を考えることから避けようとしてしまいがちなので、この方法は有効に思える。 ただ、普段考えない分負担はあるので、比較的ポジティブマインドの強い朝考える方がいいように思った。 現在バイアスという厄介な思考からどのように逃れることができるかは

          Book077『先にしくじる』山崎裕二

          Book076『問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション』

          ワークショップにおける『問い』をどうのようにデザインするべきか、が記されている本。 後半以降は本の主題のとおりワークショップにおけるファシリテーションがメインの印象だが、冒頭のセットアップもとても参考になる考えが多かった。 ・問題とは何かしらの目標があり、それに対して動機づけられているにも関わらず、そこに至るまでの方法がわからない、もしくは試してもうまくいかない状況 問題とは望まれた事柄と認識された事柄の差異、というのは、とても一般的な定義である。だが、その中で『そこに

          Book076『問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション』

          Book075『観察力の鍛え方』佐渡島康平

          「ドラゴン桜」「宇宙兄弟」などのヒット漫画を担当した編集者、コルク代表の佐渡島氏の本2冊目。 ここで示されていた、観察の定義は非常に腑に落ちた。 ・良い観察とは、観察によってさらなる新しい問いを生むもの(客観的に物を見ることで仮説とのズレを気づかせ、仮説の更新を生む) たしかに、物事において完全にわかった、という状態には到達できず常に仮説を検証することで新しい仮説や疑問が生まれ続ける。 この終わりのない問いの連続に、常に人は晒され続ける。逆に仮説がないところに真の意味で

          Book075『観察力の鍛え方』佐渡島康平

          Book074『欲望の見つけ方』 ルーク・バージス

          自分が欲するものがいかに他者(モデル)の影響を受けた結果によるものなのか、を再考させてくれる本。 世の中は、多くの欲望のモデルに囲まれておりSocial Mediaなどを通じて無数のモデルに簡単に影響され、気づいたら模倣の対象として自分を無意識にコントロールしてしまう。 人間はあくまでその大きな欲望のシステムの一部で、そこから完全に切り離れることは不可能としつつ、「いかに、最も大切な欲望」に焦点を絞ることができるか。 気づいたら自分の人生が、自分にとって大切ではない欲望

          Book074『欲望の見つけ方』 ルーク・バージス

          Book073『遅考術』植原亮

          いかに効率よく答えを出すか、はよく言われるが本書は遅く深く考えるための思考法を語っている。 たしかに、フレームワークに沿って素早く解を出すことがこれだけ人工知能でできるようになっている今、一次解答に飛びつくのではなく、そこからいかに深く考えて一歩考えを進められるか、は非常に重要である。 具体的な方法論は本に譲るとして、思いついた考えにすぐに飛びつかず、一歩考えを進めることは日々の生活にも簡単に意識できる。 読めばすぐ思考が変わる、と言った甘いものではないが直感的に進むシ

          Book073『遅考術』植原亮

          Book072『マチネの終わりに』平野啓一郎

          (以下、ネタバレ含む感想) ↓↓↓ 小説を読むのが苦手な私が最近一気読みした一冊。 主題と作者の主張が明白なビジネス本と違い、一冊通じて読まないと感じられない、感情が湧き上がる本だった。 個人的に様々な問いが生じたのが以下3点。 ①生と死 作中を通じて、テロや震災などによる社会問題・災害に起因する死から、個人の悩みに起因する死まで幅広い死が扱われていた。また、同時に子の誕生から自身の再生(新しい音楽家の誕生)まで多くの生も同時に描かれていた。この生と死が入り乱れた世界で、

          Book072『マチネの終わりに』平野啓一郎

          Book71『声に出して読みたい日本語1』齋藤孝

          タイトルどおり、声に出したい日本語が並ぶ。 我々日本人は本当に幸せだと思う。何百年も前の豊かな言葉が母国語で触れられる。 我々がつくる文化は、500年後、1000年後の日本人にどのように受け止められているのか。ここで生み出れた文化は、この本の言葉のようにその時代に生きる人々に触れられ続けているのか。 例えば、私が語感、音感ともに気に入っているのは万葉集のこの一句。 あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る この時代の時代背景、この詩が詠まれた背後の人間関係も

          Book71『声に出して読みたい日本語1』齋藤孝

          Book070『ぼくらの仮説が世界をつくる』佐渡島康平

          前々回に紹介した本に続き佐渡島氏の本。 重要な主張は2点。 ①仮説を立ててから検証する データベースだと、どうしても既存の情報の延長線上の議論しかできない。まずは自分のやりたいことを決めてから検証する。また、ここでの仮説を立てるとは、定義しようと試みることと同じ意味。 ここの部分はとても同意。仕事は自分なりの『こうあるべきである』という思いをもとに人を巻き込んで達成していくことに楽しみがある。逆に自分なりの仕事に対する仮説、『こうあるべき』がない仕事はやらされ仕事(作業)

          Book070『ぼくらの仮説が世界をつくる』佐渡島康平