AnaDan さん

読書好きのデジタルマーケター。 本と人とを繋ぐプロデューサーとして、社会に貢献すること…

AnaDan さん

読書好きのデジタルマーケター。 本と人とを繋ぐプロデューサーとして、社会に貢献することを目指してます。 自分がもっと早く出会っていたかった本を毎日コツコツと紹介していきます。

最近の記事

Book126 『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史

本書でも度々引用があるように、現代版『君たちはどう生きるのか』といったイメージの本。 内容はもちろん児童向けでもなく、資本主義が支配する現代社会の厳しい状況を踏まえて、自分の頭で戦場を勝ち抜くための心構えが説かれている。 扇動的な言葉も多いが、『自分の少数意見が将来多数派になれば報酬を得られる』という資本主義ルールの本質を端的に表現する言葉も多く、説得力が高い。マーケティングも同じでいかに今後多数派となる手法を少数派の段階から取り入れて競争優位を作り出せるか、は非常に重要

    • Book125『指揮者は何を考えているか』ジョン・マウチェリ

      タイトル通り、アメリカで指揮者を務める作者が指揮者という存在について様々な角度から解説している本。 私は指揮経験はおろかクラシック音楽も全くズブの素人であるが、職業としての指揮者という存在が非常に興味深く、音楽知識なしでも楽しめた。 音楽を発信する側と受け止める側の間に立ち、全てを導く役割。だが、一方で作者は『指揮者はリーダーシップを発揮できなければいけないが、指揮者でいられるか決めるのはオーケストラである』とも記している。仕事で様々な機能のチームを有機的に動かして成果を

      • Book124『悩まない人の考え方』木下勝寿

        ECサイト『北の達人』創業者による悩まない思考法の本。 作者が自分の体験から得た考え方はユニークなものもあり、 ・『うまくいかない状態』と『思い通り(のルートで)いかない状態』を分別する ・何がどうなったらいいのか?そのためにはどうしたらいいのか?という最終目的逆算思考で考える など成果を残す人ならではの言葉の捉え方、成果に向かった強い最終目的思考が学べる。 この本の内容は素晴らしいが、簡潔だからこそ一つ一つ自分の経験に当てはめて腹落ちさせていかないと、すぐに読んだ数日

        • Book123『ビジネスシーンを生き抜くための仏教思想』松波龍源

          ビジネスシーンはあまり関係なく、出版上の戦略に感じたが仏教思想の入門編として非常にロジカルかつわかりやすく書かれている。 特に空の思想など、名前は聞ことが多いがあまりイメージがわきづらいという概念について、イラストなども交えて説明されている。 関係性の中で全てをとらえる仏教思想については、日本人だからかある意味馴染みやすい。逆に、西洋思想の絶対性、そして絶対性を信じてそこに向けてエネルギーを向けてドライブする力は西洋人の強みと感じる一方、私たちには馴染みづらい部分もあるか

        Book126 『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史

          Book122『単純な脳、複雑な私』池谷裕二

          初版2009年と15年前になるのでやや古いが、高校生向けの優しい言葉で脳の仕組みについて解説されている。 両方とも知識は浅いが、脳についての研究成果が極めて仏教的な世界観に近いことに驚きを隠せない。 例えば、人間の脳は良くも悪くも事実よりも自分の認識というフィルターを通してしか世界は見えず、事実はいとも簡単に捻じ曲げられる。仏教的な唯識論はまさにこのような、一人一人の認識が世界を創り出していることを踏み込んで説明をしていたと記憶している。 さらに常識とされていることも、ど

          Book122『単純な脳、複雑な私』池谷裕二

          Book121 『採用基準』伊賀泰代

          採用基準というタイトルのとおり、元マッキンゼーの著者の採用基準を通して、ビジネスパーソン全員が持つべきリーダーシップを語る本。 有名な本だが、改めて見返すと自分のリーダーシップレベルを高める必要性を強く感じる。 特に組織の和や秩序を成果目標に優先する人はリーダーにあらず、とにかく強引でも成果に導く人こそがリーダーである、という論は米国的だがビジネスにおける正解でもある。リーダーシップスタイルはさておき、役職名ではなく成果を出し切る人がリーダーであるという視点は大いに賛成、か

          Book121 『採用基準』伊賀泰代

          Book120『人を選ぶ技術』小野壮彦

          ヘッドバンターによる、人を見抜く技術。 人を見るときの階層として、4つの階層に分け『1F 経験・知識・スキル』→『B1F コンピテラシー』→『B2F ポテンシャル』→『B3F ソースオブエナジー』という建築物のようなものとしている。 確かに特に面接などの限られた時間はよほど慣れていない表面で見える1Fを把握するので精一杯というのが、何回か面接を実施して得た所感。本書にもあるように、なるべくコンピテラシー(成果思考・戦略思考・変革思考)を探る深掘りを行動質問を通じて取る必要が

          Book120『人を選ぶ技術』小野壮彦

          Book119『凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方』

          阿部公彦氏の書評を読んで購入。 タイトルの煽り方はビジネス書風だが、とてもインスパイアされた一冊。 絶対的な自己の個性ではなく、相対的な『特徴』をいかに打ち出し、やり切るのか。また、上手くいってると、前進していることの違いなど、やはり成果を出し切る人のならではの深みがある言葉が多い。特に組織における相対的な特徴を自律的に作り出す(where to play)にかけては、広告代理店新卒時代から花形の本社ではなく中部支社を戦略的に志望するなど徹底されている。こうしたことを考える

          Book119『凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方』

          Book118『新インナーゲーム』W.T.ガルウェイ

          初版は72年でもう50年前になる(本書は25年後の2000年に出た改訂版)が、テニスの名著として学生時代から読んできた本。ビルゲイツも推薦している学びの多い本。 自分のプレーを一回一回ジャッジせずに、ありのままに観る。ショットのイメージをしたら後は自分の体に任せ、ボールの音などを通じて『今、ここ』に集中して過度に身体をコントロールしようとしない。など、今流行りのマインドフルネスの要素がすでにこの時から語られているのは驚き。 テニスに限った話ではなく、著者は真の勝利とは何か

          Book118『新インナーゲーム』W.T.ガルウェイ

          Book117『Think Future 未来から逆算する生き方』ハル・ハーシュフィールド

          UCLAの心理学者による、現在の自分と未来の自分との接着を強くすることを説く書籍。 原書のアメリカのレビューサイトの反応はまずまずだったので、期待半分不安半分で読み進めた。 結果、後半のソリューションは少し捻りがほしかったものの、特に将来の自分との結びつきが弱く、現在を過大評価してしまう私にとっては勉強になる研究結果もあった。未来の自分はほぼ他人と同じ脳内の認識、だからこそ蔑ろにしてしまう傾向がある、という主張は自分の経験も踏まえて納得感はあった。 人間の性質としてあり、

          Book117『Think Future 未来から逆算する生き方』ハル・ハーシュフィールド

          Book116『ソクラテスの弁明』プラトン

          多くの人が名前は知っているが、あまりしっかりと思想に触れたことがない偉人、ソクラテス。 若者を堕落させたとして、裁判にかけられそこで自己弁護する演説が記されている。哲学を丁寧に勉強していない私に哲学者としての彼の功績や価値を語ることは難しいが、考えさせられる点は多かった。 まず、自分を滅ぼすものがあるとすると、告発者メレトスではなく、『多衆の誹謗と猜疑』でありそのような滅ぼされ方は自分がけして最後ではないと語っていた点。現代のネット社会における炎上の最大の敵は、告発者(例

          Book116『ソクラテスの弁明』プラトン

          Book115『プロデュースの基本』木﨑賢治

          沢田研二などの有名アーティストのプロデュースを手掛けた作者によるプロデュース論。 小手先のテクニック論じみた話はないが、『いいものをつくりたい』『どうしたらもっと良くなるか』という純粋な気持ちが彼の仕事の根幹であり、そこにウソがないから阿久悠氏をはじめとするレジェンド作曲家・有名アーティストからも受け入れられたのだと切に感じた。特に、『目の前にあるものを全て受け入れてしまったら、それ以上のものは作れない』という意識、『ここからさらに良くするためには』という意識は消費者に触れ

          Book115『プロデュースの基本』木﨑賢治

          Book114『バッタを倒しにアフリカに』前野ウルド浩太郎

          バッタの研究のため、単身モーリタニアに渡る研究者の奮闘記。 言葉も通じず、初めは協力者もいない中で自然という最もアンコントローラブルな存在に立ち向かう作者のタフネスがすごい。そして、少ないチャンス、資金の中で満を期して行った現地調査でも全くバッタが現れないなど、苦境が続く中でも常にちょっとした工夫を楽しみ続ける姿が印象的。 彼の『バッタに食べられたい』という突き抜けた願望をもとに、バッタの生態研究に繋げそれをアフリカのバッタ被害の対策に活かす。このように個人の気持ち、いわ

          Book114『バッタを倒しにアフリカに』前野ウルド浩太郎

          Book113『ない仕事の作り方』みうらじゅん

          みうらじゅんさんの仕事論。 みうらさんの本は肩の力は抜けつつ、丁寧に言語化されている点が癖になる。 少し変わったことでも自分が本当にグッときたことをやり続ける。そして、それが気づいたら世の中に受け入れられている。みうらじゅんさんは一人電通という言葉(企画〜制作〜接待で仕事を獲得まで)でユーモアラスに語っているが、原動力は自分の感性を信じ切る力だと感じた。 また、途中出てきた『子供のころからの好きの貯金』という言葉もとても素敵な響きだった。コツコツと自分の好きなことに向き合

          Book113『ない仕事の作り方』みうらじゅん

          Book112『マネー・ボール』マイケルルイス

          野球界の常識を覆したアスレチックスのGMビリー・ビーンについての本。 他の球団より圧倒的に少ない資金の中で、常識を覆す統計的アプローチで勝利を掴み取る。 これぞ勝負師という物語で、勝利の構成要素を分解し、1つの要素にベットして他球団にはない強みで勝利をもぎ取る。物語で読むとカラクリは簡単に見えるが、データを読み出塁率という注目度が低い数字を重視することを決断する、それが勝ちに繋がることを周りのメンバーを巻き込む、それをやり抜く、と言ったように全てのフェーズで強力な意志が求め

          Book112『マネー・ボール』マイケルルイス

          Book111『遅いインターネット』宇野常寛

          日本を中心に社会の分断を分析し、どのようにそれを食い止めることができるのか、について論じられた本。 この本が出た当初からタイトルが気になってはいたが、テック系に閉じた話と誤解しており、ここまで社会について論じられているとは思っておらず、手を取るのが遅くなった。 作者は後半で具体的な提案として3つのアクションをあげていたが、個人的に読んでいて心に残ったのは前半部分。作者自体が生み出した言葉ではないが、anywhere (一つの国や地域に依存しない高度人材で、どこでも生きてい

          Book111『遅いインターネット』宇野常寛