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インタビュー調査のやり方_初学者向け

以前の記事で、消費者調査の手法選択について書きましたが、今回はインタビュー調査のやり方についてまとめてみようと思います。前回の記事をまだ読んでいないという方は是非読んでみてください。

インタビュー調査のやり方

​早速インタビュー調査のやり方について見ていきましょう。
結構細かいですが、とても重要です。

​実は、このインタビュー調査2つの方法があるんです。
インタビューと言っても一つのやり方だけではないんです。

​インタビューの種類:

1. Focus Group Interview (FGI)

​2. Depth Interview (DI)

​​早速それぞれの違いと特徴、使い分けの方法について見ていきましょう。

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FGIは6名のグループを作り、実施します。
グループ内の構成はなるべく似た属性の(性別・年齢・その他の価値観やライフスタイル)をあわせておく必要があります。そうしておかないと、話しづらい雰囲気になってしまうからです。

​例えば、育児に関する調査をしたいときに「男女間の育児に対する意識の違い」を把握したいとしましょう。もし同一グループ内に男女が混ざった場合、発言は自由にできるでしょうか?しづらいですよね。男女間で話をさせることに意義がある調査の場合は別ですが。

​会社でアイディア出しの会議をやるときにも案外このデメリットはついてきます。上司と部下が同じグループにいると、部下は自由な発言ができないケースがあります。

​このように、調査テーマによってグループ構成時に気をつけるべき点も様々です。

​FIGの最大のメリットはなんといっても「グループダイナミクス」を期待できることです。この効果は話が盛り上がっていく効果と捉えていただいて大丈夫です。ある参加者の発言を起点に、他の参加者が自然に発言をしていくと行った具合です。

​しかし、このグループダイナミクスあまり発生しないんです。仲が良い人たちだと女子会のように話は盛り上がりやすいのですが、その日初めて会った人たちで話が盛り上がるケースはあまり見られません。

​結局、モデレーターと呼ばれるインタビュアーが一人ひとり名指ししてインタビューしているケースがほとんどです。つまり参加者同士の会話がない状態なのです。これでは、FGIを実施する意味が有りません。

一人あたりの聴取時間は全体が2時間のインタビューとした場合で6名1グループの場合は20分弱です。これで本当に消費者のことを理解したと言えるのでしょうか。

なかなか難しいのが現実です。そこで、おすすめしたいのが、Depth Interview(DI)です。

​このDIはグループダイナミクスはもちろん期待できませんが、大体1時間のインタビューを一人の対象者に対してとことん話を聴くことができます。

そして、他の参加者がいないので、影響を与えられることもありません。また、プライベートな事柄で人前ではあまり話したくないトピックについても話しをしやすくなります。例えば、生理用品の使用実態や尿漏れ悩みなど体に関する悩みなどです。

ただし、時間的コストの割に聴ける人数は少ないため人気がないのも事実です。

しかし、実際にやってみるとFGIよりDIのほうが良かったと感想を述べる人も多いのも事実です。

では、何人に対して実施すれば良いのかを理解しておきましょう。

〜FGI・DIは何人に聞けばいいの?〜

​結論からいうと、何人という答えは存在しません。聴きたいだけ聞いてください。満足行くまで。とは言っても、無限に予算があるはずもないですよね。サンプルを決める際には、まずセグメント分けをしっかりとする必要があります。

・​自社ユーザー
・他社ユーザー
・自社離反(中止)ユーザー(他社にスイッチした人か、その商品群を使用中止)
・自社認知未購入ユーザー

​上記の観点でどのセグメントを一番優先順位高く聴取するかによっても異なります。基本的には比較対象がある方が調査結果の読み解きがしやすいので、2つの異なるセグメントを用意することが多いです。これも、調査目的と論点によって決定しましょう。

例)自社ユーザー vs 他社ユーザー など

​その上で、FGIの場合は各セグメントで1G 〜2G聴けばいいでしょう。
DIの場合は各セグメントで3名〜5名聴けばいいでしょう。

​これは、筆者の経験から述べている数字であり、統計学的根拠は有りません。量的(数字)で結果を見ることが目的ではなく、あくまでの質的(内容)をみる調査のため、数字に意味はあまりないです。

​また、結果を読み解く際にも何人中〇〇人がこう答えた!だから可能性が高い!などと意思決定するのは危険です。そのような意思決定をするのであれば、偏りなく集められた100人単位のターゲットに対してアンケート調査を行いましょう。

インタビュー調査では数字で結果を見るのではなく、発言内容を深く見ていきましょう。少数の意見だから見逃すのではなく、少数の意見にも目を向けるようにしましょう。

少数意見でも強い意見は重要なことが多いです。

​〜聴く順番〜

​ここまでできたら次はインタビューフローと呼ばれるインタビュー項目を作ります。インタビューの大きな流れはFGIでもDIでも変わりません。

​多くのことについて聴きたいと欲張ると、DIでも内容の薄い意見しか聴けないこともありますので注意しましょう。

​話を聴くときの順番は以下のとおりです。

​1.オープニング(全体時間の5%くらい)
アイスブレイクの目的で話しやすい雰囲気をつくります。調査の実施目的と内容を他言しないことの約束を行い、モデレーターの自己紹介と参加者の自己紹介をしてもらいます。

2.メインパート(全体時間の90%くらい)
ここでの聴き方はとても重要です。話しやすいように聴く順番に気をつけます。質問リストを聴きたい順番に並べ、どこに注意をしてほしいかなどモデレーターが分かるようにしておきます。(それぞれの質問で使用する時間も配分しておきます)

​行動(購買頻度や利用頻度、利用シーンなど)

態度(満足度、満足点、不満点、期待点など)

意識(ライフスタイル、価値観など)

​の順序で聴くと良いと言われています。

また、聴き方次第では前の質問が後の質問に影響を与えることもあるので要注意です。

​例えば、ある商品のイメージについて回答してもらった後に、購入した商品の購入理由を聴取すると、イメージを聞かれたときに回答した内容に引っ張られることもあります。​

3.クロージング

モニタールームの観察者から追加の質問が無いかを確認して、調査を終了させます。

〜用意しておくといいもの〜

最後にインタビュー調査を行う上で、必要となる準備物を書いておこうと思います。もちろん目的によっては、この限りではありませんので、臨機応変に対応できるようにしておきましょう。

書記
テープレコーダー
録画機器
飲み物やお菓子
ホワイトボード
付箋
コンセプト提示などがある場合は印刷物などの準備
筆記用具

事前準備でインタビューが成功するかどうかは8割くらい決まっていると思っておいて損はありません。

まとめ:

ここまでインタビュー調査について、まとめてみました。しかし、これらはインタビュー調査のまだ入り口にしかすぎません。インタビュー調査は生ものですので、現場の状況に応じて臨機応変に対応できる力も必要です。
また、当日に慌ててしまわないように事前準備がとても大切です。

加えて、インタビュー調査の精度を高めるための調査設計や対象者選定にも気を遣う必要があり、インタビュー調査は難易度が高い調査手法の一つといっても過言ではないでしょう。


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