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森おじの大槌移住ライフ【2024年5月活動報告】

日本では古来より、5月のことを『皐月(さつき)』とよんできた。
これは、早苗を植える頃の月という意味で『早苗月(さなえつき)』あるいは『早月(さつき)』とも言われることもある。
「皐」の字には「神に捧げる稲」という意味があり、昔から米を糧としてきた日本人にとっては、この時期は一年の中でも特に重要な季節と言えるだろう。
われわれ日本人が、輝く水田に植えられた色鮮やかな稲を見ると5月だなと実感するのは、連綿と刻み込まれた記憶がDNAから呼び起こされるからかもしれない。

それでは、今月の報告をどうぞ。

1.地引網、木工体験受入れ@吉里吉里国

5月5日の子供の日は、大槌町観光交流協会主催『地引網&ウッドクラフト体験』イベントの受入れを行った。
午前中は地元の漁師さん達のご協力のもと、吉里吉里海岸の砂浜にて地引網体験を行った。
季節外れの猛暑が続いたせいか海水温が高く、あまり魚の種類や数は取れなかったものの、「おおつちのあそび」の代表をしている大場さんの解説付きで、参加者の皆さんは初めてみる魚や蟹などと触れ合って、大いに盛り上がっていた。
お昼ご飯は、桜木町の「ファミリーショップやはた」の方々が用意してくれていた「すっぷく」や「鮭フライ」などを吉里吉里国からの絶景を観ながらいただいた。
午後からはウッドクラフト体験ということで、参加者の皆さんには自由に加工してもらった木材や海で拾ってきた貝殻などを使って、各々思い出がたくさん込められた作品を作っていただいた。
また、そこで見ていて不思議だったのは、参加者の女の子たちは大体初めに絵を描きたがる傾向があるのに対して、男の子たちはひたすらヤスリで木を磨く傾向があるということだった。
そういえばと振り返ってみると、自分も小さい頃は同じようにひたすら泥団子をピカピカになるまで磨いて、宝物のように持っていたことを思い出した。
なぜこのような傾向が出るのかは研究してみると面白いかもしれない。
そして最後は、参加者の皆さん一様に満面の笑顔で帰って行かれたのをみて一安心した。
これからもここでしかできない特別な体験を様々な形で発信し、より多くの人に大槌の魅力を届けていきたいと思う。

みんなで力を合わせて網を引いた
ご協力いただいた地元の漁師さん達に感謝
小さいフグがほとんどだったけど
初めてみる魚に子供達のテンションはMAX
ご協力いただいた「ファミリーショップやはた」の方々
美味しい料理を作ってくださりありがとうございます
ただノコギリを使って木を切るだけでも、今の子ども達にとっては新鮮な体験になったみたいだ
木の輪切りの形からインスピレーションが湧いて描いたという林檎のコースター
普通にお店で売ってそう

2.丸太配達@大槌町内

5月の2週目は、先月伐採を行った現場の丸太を配達する作業を行った。
ありがたいことに多くの町民の方々から丸太配達のお引き合いがあり、同僚のMさんと共にせっせと配達を行った。
注文された方々にお会いしてお話を聞いてみると、昔は自分達で薪を調達して薪ストーブに使っていたが、高齢になってできなくなってしまったというお宅がほとんどだった。
ホームセンターなどで一冬分の薪を購入しようにも昔と比べて価格が高騰していて、今や高級品になりつつあるという。
今回の現場で出た材は、土地の所有者の方のご意向もあり、地域で有効利用して欲しいということだったので、配達する際は吉里吉里国としては配達料だけいただくということにしていたため、破格の料金で薪の原材料が手に入るということで注文が殺到した。
どのお宅に配達しても大いに感謝されたので、本当の意味で地域に貢献できたのではないかと思っている。
今回のようなケースは稀だが、地域の需要と供給のバランスを維持するためにも、私たちが継続的に活動する意味はあるということを実感することができた。

このサイズでも欅(けやき)や楡(にれ)の木は非常に重い
かなりの重労働だったためか、作業後は腕が上がらなくなった
丸太を置くスペースが広く、搬入がスムーズにできたのでとても助かった

3.ロープワーク練習、軽架線集材@吉里吉里地区内

5月13日から17日は、長野から来ていただいている小林清さん(通称 コバキヨさん)に、実践で役立つロープワークと軽架線集材の技術を教わった。
林業においてこのような知識や技術を習得しておくことは、作業効率を上げることに大いに役立つ上に、安全性も向上させることができるため必須事項の一つである。
また、ロープワークは林業のみならず災害時にも非常に役に立つ技術なので、いざという時のためにも習得しておいて絶対に損はない。

ロープワークは一見複雑なように見えるかもしれないが、分解してポイントを押さえて覚えておけば決して難しくないものがほとんどである

4.支障木伐採@浪板ヴィレッジ

5月23日は浪板海岸沿いに建っている浪板ヴィレッジにて庭木の伐採と草刈りを行った。
今回の依頼は、浪板ヴィレッジの広場に生えている木が大きくなってきて、木の根が側溝を壊さないように切って欲しいというものだった。
最近実感しているのは、以前はなかったような依頼が少しずつ増えてきているということだ。
徐々にではあるが、私たちの活動が地域で認められてきているということなのだろうか。
理由は何にせよ、いただいた依頼は大きいも小さいも無く、どんなものも誠心誠意、誠実に対応していきたい。
何事も『ローマは一日にして成らず』である。

大阪からこの時期になると応援に来てくれる千葉さん
一緒に作業後の余韻に浸っている
さっぱりした!

5.草刈り作業@大槌町内

5月27日から31日は、先日打ち合わせを行ったSさんの管理する田畑の草刈り作業に着手した。
とはいえ、草刈りをする面積が広大なのでSさんから手押しタイプの草刈機をお借りして作業を進めることになった。
この機械は重量はかなりあるが、エンジンの力で自走しながら草を刈ることができるので、平坦な場所であれば通常の3倍ほどの速さで作業することができる。
文明の力は偉大である。
多少の雨の日もあったが作業は順調に進み、予定よりも早く作業が終わりそうである。

使い方のレクチャーを受けている
事故には十分気をつけて作業していきたい
①作業前
①作業後
②作業前
②作業後

6.個人的活動(チャレンジ)編

今月は前々から挑戦してみたかったことに多く取り組むことができた月となった。
私自身ももうすぐ地域おこし協力隊として丸2年立とうとしているので、そろそろ卒退後に向けて今のうちにスキルアップしておかなければいけないタイミングとなってきている。
その中の一つとしてキャンプ事業をやっていきたいと言いつつ、恥ずかしながらまだキャンプというものをまともにしたことがなかったので、キャンプ道具を一式揃えて今回チャレンジしてみた。

テントを張って中から見る夕日は最高だった
吉里吉里国の理事の方々にお誘いを受けて、いつもキャンプをしているという場所でテント泊をしてみた
水道もトイレもないところだったので、色々と学ぶことがあった
とりあえず、飲料水と灯りは必須だということがわかった
キャンプというよりサバイバル?
遊漁券を持っている人が10匹ほど大物をあげてくれた
流石に年季が違う
炭で焼いて食べさせてもらった
今まで食べたことがないほど感動の美味さだった

二つ目のチャレンジは森林インストラクターとしてのガイドの仕事だった。
先日、岩手森林インストラクター会の総会に出席させていただいた際に、ガイドをやってみないかというお誘いを受けて、僭越ながら初ガイドの仕事を引き受けさせていただいた。
メインは『植菌』のワークショップということだったので、その前座として菌に関連する分野の『微生物』についてガイドさせていただいた。
参加者の方々は50代から70代ぐらいとそれなりの知識と経験があり、かつ林業関係者ということもありかなりプレッシャーだったのだが、事前のネタ集めと資料作りを入念に行ったことが功を奏し、とても良かったとご好評をいただいた。
今回のガイドを経験してみて、地域おこし協力隊を卒業した後にもこのスキルが自分の稼ぎ口のひとつの柱になり得る、と自信を持つことができた貴重な経験となった。
私を推薦してくださった方々には感謝しても仕切れない。

椎茸とナメコの植菌について学んだ
自然と共生していくために培ってきた、先人達の知恵と技術が詰まっていた

三つ目のチャレンジは乳児、小児を含む救命救急の習得。
開催場所は以前から行ってみたかった『NPO法人遠野エコネット』の『遠野 森のがっこう』。
フクロウも住んでいるという自然豊かな環境のもとで講習を受けさせていただいた。
今まで大人用の一般救命救急の講習は受けたことはあったが、子ども用の救命救急では押さえるべきポイントがまたかなり違ってくるということで、今後のキャンプ事業や森林教室などをやっていくためには、必須となる技術だと感じたため今回受講させていただいた。
偶然にも『おおつちのあそび』のメンバー2名とも同時の受講となり、主催者の方々も終始楽しい雰囲気で講習を進めていただいたので、変な緊張など無く楽しんで学ぶことができた。
どの内容もためになることばかりだったので、学んだことを是非とも吉里吉里国の仲間とも情報共有して、イベントなどでの対応力向上に役立てていきたいと思う。

座学だけでは無くシミュレーション形式の実演などもあり、とても身になる講習だった
講習に一緒に参加した『おおつちのあそび』の二人
講習が終わった後に立ち寄った早池峰神社で出会った杉
私の身長が約1.8mなので、木の直径は2m以上ありそうだ
樹齢は果たして何百年ぐらいなのだろう?

7. 個人的活動『生き物図鑑』編

最後は恒例となっている生き物たちの紹介をして今月の報告を終えようと思う。
今月もお届けしたい生き物達が盛り沢山である。
最初の方は植物系だが後ろにいくにつれて虫や爬虫類などが増えてくるので、苦手な方は5枚目の写真ぐらいでご退出願いたい。
それでは、また来月の報告をお楽しみに。
グッドバイ👋

カキドオシ レア度D

カキドオシはシソ科カキドオシ属の植物の1種。和名カキドオシは漢字で「垣通し」と書き、生け垣の下などで、隣接地から垣根を突き抜けるほど、勢いよく伸びてくる様子に由来する。また、別名カントリソウ(癇取草)ともよばれ、昔は小児の癇の薬にする薬草とされ煎じて飲まれていた。
ヤマグワ レア度D

北海道から九州まで日本全国の丘陵や山地に広く自生するクワ科の落葉樹。かつては中国産のマグワと共に養蚕のための重要な飼料として栽培され、「蚕が食う葉」から「クワ」と呼ばれる。若い木の葉は裂け目が多く、成木になると楕円や卵形になりやすい。ヤマグワの葉はマグワと異なって先端が細く尖る。
コゲラ レア度C

コゲラはキツツキ目キツツキ科に分類される鳥類の1種。日本に生息するキツツキとしては最も小さい。オスよりメスがやや大きい。灰褐色と白のまだら模様の羽色をしている。嘴で木を強く連続して叩いて音を出すドラミングも行う。ドラミング音は、アカゲラなどの大型のキツツキに比べ小さく短い場合が多い。食性は雑食だが、主に昆虫などの節足動物を捕食し、木の実を食べることもある。樹皮につかまり、縦横にこまかく移動しながら、表面からつまみとったり、つついて小さい穴を開け、長い舌を隙間や昆虫の掘った穴に差し入れて捕食する。
ヤマメ レア度B

ヤマメ(山女魚)は、サケ目サケ科に属する魚であるサクラマスのうち、降海せずに一生を河川で過ごす河川残留型(陸封型)の個体を指す。北海道から九州までの川の上流などの冷水域に生息する。体の側面に上下に長い「木の葉・小判状」の斑紋模様(パーマーク)があるのが特徴で、成長とともに次第に薄くなり、30-40cmクラスになると一般にはサクラマスのような銀色に近い魚体となる。
ツチグリ レア度UN

ツチグリ(土栗)は、担子菌門菌蕈綱ニセショウロ目ツチグリ科ツチグリ属のキノコ。夏から秋、林内の道端や土の崖などで普通に見られる中型のキノコで、ツチガキ(土柿)とも言われる。ツチグリは、本来食用に適さないが、内部が白い幼菌は食用になる。東南アジアなどでは缶詰にもされるが、日本ではあまり食べられない。しかし、東北地方の南部(特に福島県など)ではマメダンゴやママダンゴと呼ばれ、6月下旬から7月上旬にかけての梅雨の時期に若いものは季節の味として食卓へ上る。幼菌の外皮をよく洗ってから、炊き込みご飯や串揚げにすると中身がクリーミーで美味しく食べられる。味噌汁の具や、佃煮などにされることが多い。
コクワガタ レア度E

コクワガタ(小鍬形)は、コウチュウ目クワガタムシ科クワガタ属コクワガタ亜属の1種。日本のクワガタムシでは最普通種である。他のクワガタ属と同様に体は上下に平たく、黒い体色をしているが、赤褐色を帯びるものもいる。オオクワガタやヒラタクワガタに比べると体幅が狭く細いが、頭盾はヒラタクワガタより幅広い。幼虫は広葉樹の朽木に穿孔し、その材を食べて成長する。クスノキのような殺虫成分を持たなければ食樹の樹種は問わない。キノコ(シイタケなど)の原木栽培においては、ほだ木を食害する農業害虫として扱われる場合もある。
シマヘビ レア度E

シマヘビ(縞蛇)は、爬虫綱有鱗目ナミヘビ科ナメラ属に分類される無毒性のヘビ。全長は80-200cm。通常は淡黄色の体色に4本の黒い縦縞模様が入るが、縞がまったくない個体やアゴの辺りが黄色い個体もいる。体の細さに比べて鱗は大きく皮膚に柔軟性がないため、あまり大きな餌は呑み込めない。主に耕地や河川敷に住むほか、草原や森林にも住む。危険を感じると尾を激しく振るわせ、地面を叩いて威嚇する。食用に(比較的)適するとされ、食糧難の時代にはごちそうとして扱われたという逸話がある。個体差はあるものの、アオダイショウやヤマカガシに比べると神経質で攻撃的な個体が多いとされる。また、無毒ではあるが歯は鋭いうえ、他種に比べると動きも素早い。まれに口内から破傷風菌が検出される場合もあるため、咬まれたら患部を水でよく洗い、消毒して医療機関で処置を受ける必要がある。


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