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森おじの大槌移住ライフ【2023年10月活動報告】

大槌町に地域おこし協力隊として移住してから、1年と3ヶ月が経った。
あっという間だった気もするが、本当に色々な経験をさせていただき濃密な期間でもあった。
近頃はどこに行っても知っている人に会ったり、ありがたい事に催しものにお誘いしていただける機会も多くなり、今月の報告も書くネタに困らない。
もうそろそろ大槌町に来てから2回目の冬の季節を迎えることになるが、今この時一瞬一瞬を無駄にしない様に丁寧に生きていきたい。
それでは、今月の報告をどうぞご覧ください。

1.吉里吉里大運動会@吉里吉里小学校

10/1は吉里吉里公民館長のご厚意で、吉里吉里地区の運動会に参加させていただいた。
コロナの影響で4年ぶりの開催、さらに50回目の節目の運動会ということもあり、参加者皆さんの気合いの入り方が半端ではなかった。
約350人もの人々が参加し、各自治体毎にチーム分けされ、「パン食い競争」「玉入れ」「綱引き」「夫婦船」などの演目で競い合った。
地域の絆を深める行事として、今後も末永く続いていくことを願う。

天候にも恵まれて参加者の皆さん気合十分
赤チームの3戦3勝!
誰か玉入れの達人がいる様だ!
足が地面にめり込んでいるK氏とは対照的に
全く腰の入っていない森おじ
これでも精一杯引っ張ったつもりやで

2.ベーシックアーボリストトレーニング&レスキュー@金ヶ崎

10/4〜7は樹上特殊伐採のための講習を受講してきた。
今回の講習では、「複雑なハイアングルまたはヘビーリギングの知識およびチェーンソーワークを含む実技」、「スパイククライミングによるチェーンソー断幹作業の基本」、「樹上作業者のための樹上救助訓練」の3つのコースを座学と実習によって学んだ。
難しい言葉が羅列してあり、何のことかよく分からないと思うので、簡潔に説明すると、「大きな木を上の方から小間切れにして切り、それを降ろすための安全な方法と、作業者に万が一何かトラブルが起きた時の救助方法を学ぶ」ということである。
正しい知識を身につけ、反復練習を行うことで初めて安全な作業を行うことができるため、ここでの詳細な内容の記載は控えさせていただく。
特殊伐採の技術は非常に危険な作業を含むため、くれぐれも聞きかじった知識やYouTubeなどで得た知識だけで作業しないでいただきたい。

テキストの内容は国際基準に則った知識に基づいて構成されている
複雑なギアやロープをいくつも装備してクライミングするため、それらを綺麗に整理しながら登ることも技術のひとつである
今回教官が登った木は20mぐらいだろうか?
これでもまだ小さいほうの杉である
熟練者でもトップカット(木の先端を切る作業)の時は毎度緊張するようだ
果たして自分があのレベルまで到達するにはどれだけの経験を積む必要があるのかと考えると少し気が遠くなった
救助技術を学ぶこのコースでは、海外での事故事例が多く紹介されていたが、目を覆いたくなる様な凄惨なものもあり、改めて危険な作業であることを認識させられた
ロープと滑車が複雑に組み付けられており、初見では何がどうなっているのかよく分からない
いざという時のために日頃から練習しておく必要がある

3.みちのく薪びと祭りin岩手釜石@鵜住居

10/9.10は、「みちのく薪びと祭り」というイベントに参加させていただいた。
「みちのく薪びと祭り」とは2014年から始まったイベントで、東日本大震災を教訓に地域内で自給できる再生可能エネルギーとしての「薪」が注目されたことから、東北環境パートナーシップオフィス(EPO東北)が事務局となり東北6県の薪づくり団体の交流の場として毎年1回6県持ち回りで行われている。
1日目の各団体の活動紹介やパネルディスカッションでは、大学教授や林業団体の代表者が今回のテーマである『薪(環境)× ○○』について、最先端の知識や技術を惜しげも無く紹介しており、本気で林業の未来を前向きに考えている方々ばかりの有意義な情報交流の場となった。
その中で印象に残っているのは、「今までは学問としての林業と現場としての林業の間にどうしても温度差があり理想と現実が噛み合っていなかったが、これからはもっとお互いに歩み寄り、学問側はより現実的に、また現場側はより論理的に林業界を考えていかなければならない。」ということであった。
今回の様な機会で学ぶことを継続し、常日頃から林業家同士が知識や技術をアップデートし続けることができれば、これからの林業界はきっと明るいことだろう。
2日目は、生憎の天気だったので一部の現場視察は中止となったが、釜石鵜住居復興スタジアムを会場として意見交換会を実施した。
震災伝承や今後の生物多様性などについて、実に様々な観点から意見を聞くことができた。
また今回は特別に、普段は入ることができないというラグビー選手用ロッカールームや2019年に開催されたワールドカップの時の選手直筆のサインなどを拝見させていただく事もできた。
2日間を通して、終始新しい知識や考え方に触れ、若干脳内がオーバーヒート気味だったが、非常に貴重な体験を多くさせていただいた。

この看板の裏には歴代開催地の名称が刻まれている
どの発表者も林業に対する熱意がビシビシ伝わってくる
復興スタジアムには災害時に緊急対応できる様、常に非常食や水が確保されている
『4年に一度じゃない。一生に一度だ。』
良いキャッチフレーズである
2019年の試合で一番記憶に残っているのは
スコットランド戦で稲垣啓太が決めたトライ🏉
やっぱり日本のユニフォームは凝った造り
かっこいい

4.森林づくりコーディネーター研修@矢巾林業技術センター

10/11.12は岩手県森林組合連合会主催の森林づくりコーディネーター研修の第6回目を受講した。
講師は森と木の技術と文化研究所代表の内田健一先生。
研修内容は地域住民等による森林づくり活動をリードし、県民の森林づくり活動への参画を促進するための知識及びスキルの習得を目標としている。
今回の野外研修では、森林現況調査として単位面積当たりの木の材積調査を行った。
材積を計算するためには胸高直径と樹高、本数のデータが必要となる。
胸高直径と本数は根気があれば誰でも調査可能だが、樹高調査となるとそうもいかない。
まさか、てっぺんまで登っていってメジャーで測るわけにもいかないので、数学的知識を駆使して調査を行う。
まずは、樹高調査したい木の根本から20メートルほど離れた場所に立ち巻尺を使って根本と立ち位置の斜距離を記録する。
次にその位置から、分度器にストロー状の筒を取り付けた器具を使って木のてっぺんと根本を覗き角度を記録する。
そこまで調査できたら、あとは中学生の時に習った三角関数を駆使して水平距離と高さを求めることができる。
学校の勉強が仕事に活きることは少ないが、この時は珍しく役に立った。
実に原始的な器具と方法だが、丁寧に調査を行えば、高価な測量機器にも引けを取らない精度を出すこともできる。
林業の面白い部分は、これだけハイテク化した社会の中でも、人間の力で地道に調査、又は作業せざるを得ない領域を残しているところだと感じる。
そういう領域が存在している限り人間の力が必要なくなることはないだろう。

中学の時に勉強した三角関数の知識を思い出しながら考えてみて欲しい
巻尺を使って立ち位置から根本までの斜距離を測っている
角度を計測する器具は原価1000円程度で作成できる
ビッターリッヒ法と呼ばれる計測方法。
使用するのは、紐の先に細長い板を付けただけの器具。
不思議なことに、この板と木を見比べるだけで1ha当たりの胸高断面積合計を調査することができるらしい。
興味がある人はネットで検索してみてほしいが、
おそらくこの理論を理解するのは非常に困難。
残念ながら森おじにはわからなかった。

5.熊対策伐木作業@大槌町内

10/18は役場の依頼を受けて熊対策のための伐木作業を行った。
今回の現場は大槌ICから小国方面へ向かう26号線沿いに位置する。
伐木対照は民家のすぐ横に生えているサワグルミの木が2本。この木に登ってクルミを食べている熊が目撃されているらしい。
樹高はどちらも10メートル程。
枝が張り出しているため、伐倒するには事前に道路側の枝の剪定が必要。
高枝鋸で届く高さの枝は下から根性で切った。
しかし、高さ的に届かない枝もあったので、これはついこの間学んできた樹上伐採のスキルの出番である。
経験を積むにはちょうど良い条件だったので根性で登って根性で切った。
怖かったが
なんとかなった。
良かった。
怖すぎてボキャが貧相。
まだまだ経験を積む必要がありそうだ。

樹齢は30年ぐらいだろうか?
初樹上伐採
膝が笑った🫨🦵
木の命をいただいた
無駄にしない様にしなければ

6. 斎徳林業部森林勉強会@宮古

10/21は釜石の『森結び』で活動されている石塚さん主催の勉強会に参加させていただいた。
午前は宮古で代々林業を営んでいる斎徳林業部代表の斎藤さんが所有する作業場と山林を歩いてお話を聞かせていただいた。
斎藤さんがおっしゃっていた言葉の中で印象に残っているのは、「長年木を切ってきたが、いまだに緊張するし神経を使いながら仕事をしている。それでも、納得のいく伐採には至っていない。」というものだ。
私達の何百倍も何千倍も木を切って来たであろう方でさえも、こんなふうに謙虚に仕事をしている。
そのお話を聞けただけでも価値のある勉強会になったと思う。
その日の午後からは斎藤さんの山林から場所を移動して、宮古市立磯鶏(そけい)小学校の裏山にて、後日開催予定している小学生向けの森林観察会の下見を行った。
山林を歩きながら珍しい植物を見つけるたびに、その道の有識者の方々が子どもの様に議論を交わしていた。
子どもたちにこの楽しさを伝えるためには、こういうふうに大人が率先して楽しむことが必要なのだろう。
森林インストラクターを目指す身としては、この様な経験をさせていただけることはこの上なく貴重である。

斎藤さんの作業場
山神様を崇拝する神棚が印象的だった
磯鶏小学校の裏山を歩く
注意深く観察すれば、身近な場所にも意外と貴重な植物が多く生育していることがわかった
斎藤さんの持ち山で採れた松茸
「たくさんあるから持って帰って良いよ」と、3本も譲っていただいた
こんなに立派な松茸を食べたのは初めての経験だった
香りと食感が段違いで幸せな気持ちになった
ありがとうございます

7.第11回薪まつり@吉里吉里国

10/28.29は吉里吉里国で毎年恒例の薪まつりを開催した。
2日間とも天候が心配されたが、初日のツリークライミング体験では奇跡的に天気に恵まれた。
この日は全3回の体験会を開催して、総勢30名以上の方々にご参加いただいた。
ちなみに、、ツリークライミング体験にはいくつかのルールというか、所作みたいなものがある。
その中の一つとして参加者の皆さんに必ずやってもらうのは、登る木の下に入る時には『お邪魔します』、登る前には木の幹に抱きついて『よろしくお願いします』、登り終えたら『ありがとうございました』と木に対して挨拶してもらう様にしている。
これは、木に敬意を表すのと同時に、自然が身近なものと感じてもらうために大切にしている所作である。
ツリークライミング体験は登って楽しむことはもちろんだが、自然環境に対して興味関心を持っていただくことも目的の一つである。
だから、子どものうちからこういった自然体験を多く経験して、自分たちの生きる地球の自然環境にもっと関心を持ってもらいたいと願っている。

大槌町の木は欅(けやき)さん
今回もどうぞよろしくお願いします
気のせいかもしれないが
欅(けやき)の木も心なしか嬉しそうにしていると感じた


2日目の薪まつりでは『木を楽しむ』『森と友達』『地域を楽しむ』の3つのコンセプトで構成されたイベントブースを展開した。
木を楽しむ』では「薪割り体験」「モルック体験」「木工作体験」「木工品販売」「チェーンソーアート」「薪で遊ぼう」など、参加者に目で見て楽しむ、触って楽しむことをメインに楽しんでいただいた。
森と友達』では「乗馬体験」「ジビエレザーキーホルダー作成体験」など、参加者に森と関係の深い動物と触れ合い温かさを感じていただいた。
地域を楽しむ』では、「世界の異文化体験」「神田鋸工具店工具販売」「野菜販売」「おふるまい、肉汁、石窯ピザ」など、参加者に地域文化や異文化に触れ合って楽しんでいただいた。
毎年、本当に多くの方にご協力いただき、今年で11回目の開催となった。
このイベントが今後も末永く続き、地域に愛される存在となれる様に私自身も尽力していきたい。

今年から始めた新コーナー『薪手裏剣的当て』🥷
風船や鈴を狙って薪を手裏剣に見立て投げるというゲーム
子ども達だけでなく、意外と年配の方々にも好評だった
来年は景品をもう少し豪華にしようかな
「子どもに戻った気持ちになって楽しかった」と言っていただいた
いつもお世話になっている『森結』の石塚さん
樹種別のまな板やバードコールなどを販売されていた
吉里吉里国理事の通称棟梁とちおこメンバー
木工作体験ブースにて
フィンランド発祥のスポーツだそうだが
日本でも競技人口が増えてきている『モルック』
もしかしたら近い将来オリンピック競技になる?かもしれない
寒かったのであたたかい肉汁がありがたかった
婦人会の皆さんありがとうございました
吉里吉里国のピザ窯は毎年この時期になるとフル稼働する
やはり、石窯と薪で焼いたピザは一味も二味も違う
毎年チェーンソーアートで薪まつりを盛り上げていただいている西間さん
今年は、来年の干支の辰🐲を掘っていただいた
森おじは辰年なので個人的にうれしい
ベンチになりました🐲
傷まない様に塗装しておこう
こんなにたくさんの方々に愛されている吉里吉里国
自分もこのメンバーの一員になれてとても誇らしく思う

8. 個人的活動『生き物図鑑』

最後は毎月お馴染み、生き物たちの紹介をして今月の報告を終えようと思う。
最初の方は植物系だが後ろにいくにつれて虫などが増えてくるので、苦手な方は7枚目の写真ぐらいでご退出願う。
それでは、また来月の報告をお楽しみに。
good bye🤚

ヤブサンザシ レア度B

スグリ科スグリ属の落葉低木。スグリの仲間であるが実の形がバラ科のサンザシに似るため、ヤブサンザシの和名をもつ。秋に熟す果実は赤く液質であるが、苦味と酸味が強く生食には向かない。利用としては果実酒にするのが一般的である。
ムラサキシキブ レア度D

シソ科の落葉広葉樹の低木で高さ3メートル 程度に成長する。名前の由来は、紫色に熟す実を、平安時代の女性作家である紫式部の美しさに例えたものだというのが通説。
ヤクシソウ レア度B

キク科オニタビラコ属の二年草。ウサギノチチなどの別名があり、葉などを傷付けると乳液が出る。和名の由来は葉の形が薬師如来の光背に似ているとする説や、かつて薬草(民間薬として皮膚の腫れものに外用)に使われたことによるとする説がある。
コクサギ レア度B

ミカン科コクサギ属の落葉低木。葉序が特殊で、互生だが2対づつ左右に付き、コクサギ型葉序と呼ばれる。特有な臭気を持ち、カンフェンやリナロールなどを含み、全株にコクサギンをはじめとする特有のアルカロイドを含むことが知られている。殺虫効果があることから、昔は便所の蛆殺しや,牛馬の体を洗うことに利用された。
シダレカツラ レア度B

カツラの突然変異種で、細い枝がし垂れて木の幹が隠れるほど葉が密集する。400年前に岩手県の早池峰山山麓で発見されて以来、各地に植えられるようになった。ハート形の葉は乾くとカラメルのような非常に甘い匂いを放つ。盛岡市の木にも指定されている。
カラハナソウ レア度B

アサ科のつる性植物。「日本のホップ」とも呼ばれる。ビールの味や香りづけに使われるホップだが、その日本名はセイヨウカラハナソウで、このカラハナソウとはお互いに変種の関係にある。ホップほどの強い香りはないが、雌花の部分からは清涼感のある爽やかな香りをほのかに感じる。
トチノキ レア度D

ムクロジ科トチノキ属の落葉広葉樹。落葉広葉樹林の構成種の一つで、都市部では街路樹にされることも多い。日本の山村地域の暮らしを支えた重要な樹種で、実は食用となり栃煎餅や栃餅として、また材からは臼やこね鉢などが作られる。
モエギザトウムシ レア度C

クモ綱ザトウムシ目マザトウムシ科カワザトウムシ亜科。平地から山地にかけての森林の樹幹や草の上などに見られる。体が小さく華奢に見えるが、他のザトウムシよりもやや乾燥に強く、雑木林などの二次林的な環境によく出現する傾向にある。体は丸く、若いときには美しい黄緑色(もえぎ色)だが、やがて明るい褐色となる。

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