趣深い日本の色彩 #14 今様色
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日はちょっと変わった色名をご紹介します。
聞きなれない色名
今様色は「いまよういろ」と読みます。
意味は「流行りの色」。その時代は平安時代。
要するに、平安時代に流行していた色がそのまま色名となったという変わった由来を持っています。
「流行色」がずっとこの色で固定化されて伝わってきていると考えると、なかなか面白い。
どんな色?
由来が特徴的なので、そちらを先にご紹介しましたが、
色としては「紅花で染めた赤色」です。
この色、取り上げられている本によって薄かったり、濃かったりします。
ただ紫式部の『源氏物語』で出てくる色 = 貴族の間で流行った色ということで、庶民でも使えた一斤染のような薄い紅ではなく、高価な濃い紅だったのではないかと考えられています。
実際、光源氏が贈り物として扱うくらいなので、そんな安いものではないでしょう。
ちなみに一斤染のお話はこちら。
https://note.com/keisfacotry/n/n438072aa24ed
いまの流行色と、変わらない意味
現代で流行色というと、国際流行色委員会(インターカラー)が2年前に国際的に決めているトレンドカラーになるんでしょうか。
Pantoneなども今年はこの色というのも出してますね。
日本にもJAFCA(一般社団法人 日本流行色協会)という団体があります。
ただ時代や時季に関係なく、今様色が紅花で染めた色だとするのは、
私達がいま生きている世界で使うためではなくて、古典の中で正しく色を読み解く意味で、変わらずにあるのだと思います。
現代の目線で語っちゃうと、当時の色の意味や重要性がなくなってしまいますもんね。
流行りの色なのにこの1色限定という、変わった色のお話でした。
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