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趣深い日本の色彩 #4 狐色

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日もちょっと面白い日本の色名を探っていきます。

これも普通の色では…?

先日の葡萄色に続いて、特に何の変哲もない色名なきつね色。
字面通りで、予想も付かないような読み方もしません。
愛らしいモフモフなキツネの体毛の色です。

意外と少ない動物の色

日本の色名に意外と動物、正確には哺乳類の生き物ってなかなか登場しません。(鳥類はその鮮やかな体色でよく登場するのですが)

聞いた事ないですよね。
熊色とか、猿色とか、犬色とか、猫色とか、狸色とか。

哺乳類で縛ると、すぐ出てくるのは鼠色くらい?

あとは駱駝らくだ色(キャメル)もありますが、日本に野生で生息しているラクダっていないので、身近な動物で色名になっているのは、キツネとネズミくらいです。

食べ物の焼き加減としても

しかも面白い事に、狐色は「キツネの毛皮の色」というだけでなく、こんがりと焼いた食べ物の表現にも使われます。

表面がツネ色になるまで焼いてください

という文章、レシピ本とかでよく見かけますよね。
「キツネ色に焼きあがった食べ物」ってなんだか美味しそうです。
キツネは食べた事ないですが…。

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それだけ身近な動物だった証

狐色は江戸時代には使われていた色で、昔は身近な動物だったそうです。
今は日常生活で見かける事は、動物園や北海道にでも行かない限り、まずありません。

逆にお稲荷さんとしての方が身近かもしれません。
リアルな生体より、神様の領域に近い存在になりつつあるのかも。
種の存続とか、時代の流れみたいなのもうっすら感じる、ちょっとノスタルジックな色名だなと感じます。

仮に野生のキツネを見つけたとしても、不用意に近寄ってはいけないですよ。エキノコックスという寄生虫症の宿主なので、素手で触るのは本当に危険です。

やたらと特殊で懐深い、狐の名前を持った色名でした。

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