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趣深い日本の色彩 #26 山吹色

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は黄色といったらこの色。

意外と書いてなかった山吹色

改めて「趣深い日本の色彩」シリーズを見てみると「山吹色」を書いてなかったですね。
「本日の記事」で取り上げていただき、多くの方に見ていただいた「色を選ぶって重労働だ」にも使ってるのに…。

ということで、山吹色を改めて。

晩春に咲く、ありふれた花

山吹色は、それだけで黄色を指すほど、代表的でありふれた色彩です。
バラ科ヤマブキ族の花で、桜が散った後の野山を黄色く染め上げます。
一重と八重の種類があり、野生は一重が、庭園などではボリューム感のある八重が使われているそう。

万葉集や古今和歌集にも数多く詠まれ、「ジャパン・ローズ」とも言われる山吹は、日本を表す一輪になっています。

染色では山吹を使わない

染める時は、山吹の花ではなく、支子くちなしと、わずかな蘇芳(あるいは茜)を使って染め上げます。
黄色の支子に、蘇芳のほのかな赤みを加えて、山吹の花の色を再現しています。
植物の名前を使っているからと言って、必ずしてもその植物で染めているとは限らない良い例ですね。

隠語としても

江戸時代、山吹は賄賂に使われる小判の隠語しても使われる事に。
よく時代劇である「お主も悪よのぉ~」的なシーンで出てくる、小判のことです。山吹のお菓子などとも言うようですね。
「金に近い黄色」という印象がそのまま「財」に結び付いた形ですね。

見る機会が減りましたが

東京に住むようになってから、春先に山の緑をあまり見なくなり、
山吹を感じる機会は少なくなってしまいました…。
好きな色なので、山吹の小物で時折、これからの春を感じたいと思います。

昨年3月に、京都の染司よしおかさんで買った小銭入れ


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