読みやすさと色彩
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は読みやすさと色彩の関係について。
明度差が大きいほど読みやすい
デザインや資料を作っている時に「なんか読みにくいな…」と思う瞬間、ありませんか?
背景色と文字色の明度差が、読みやすさに影響を与えます。
例として、白・黒・グレー(50%)の背景で、
何色か「明度(B)100 彩度(S)100」の鮮やかな色の文字を置いてみます。
白背景だと、黒文字はくっきり読めて、白文字は消えます。
有彩色は、明度が低い青・紫などが次点で、
注意を引く赤、オレンジ、ピンク、
続いて緑、最後に明度が高い黄色が続きます。
白に黄色はほとんど読めないですね。
続いて黒。白がはっきり読めますね。
有彩色は、白とは見え方が逆になって、
黄色が読みやすく、青に近づくほど読みにくくなります。
グレーはそれ自体の明度で変わりますが、明度50%のグレーでは、明度の差があまりない赤やオレンジ、紫、ピンクなどはちょっと読みづらい感じになります。
同じ文字色でも、背景色の違いでまったく異なる見え方をしますね。
そして、基本的に「明度差が大きいほど読みやすい」です。
文字色を変えてみる
背景は同じで、文字のトーンを明るくしたり、暗くしたりするとどうでしょう。
トーンを落とすと
白背景のものはいずれも読みやすくなりました。
黒だと不思議と緑が目立ちますが、全体的にくすんだ印象。
ただ元の明度が明るい色ほど濁って見えるのが難点ですね。
トーンを明るくすると
黒背景での読みやすさが上がります。
白背景は全体的にぼんやりした感じ。
グレーは、今の明度だと
黒だと見やすかった「濃いトーンの緑」が読みにくくなります。
淡いトーンは明度差がそこそこあるので読みやすいですが、
もう2段階ぐらい明るくすると、かなり読みにくくなります。
白と黒は案外読める
グレースケールだけのお話で言うと、白と黒は案外読めます。
明度差が20%以上あれば判読可能です。
文字がぼんやりする場合はフチを付ける
「明度差が小さいけど使いたい!」という時は、フチを付けることで可読性を維持しながら好きな色を使えます。
白フチ・黒フチ・同系色で、黄色と青のバージョンを見てみましょう。
黄色の例
黄色い文字は、
・白フチにすると更に読めなくなる
・黒フチはパキっと見える
・黒フチほど強い印象にしたくない時は、同系の濃い色で
にすると、扱いやすくなります。
青の例
青は黄色と逆になりますね。
中央の「濃い青+黒いフチ」はかなり輪郭があやふやに。
コントラストを緩める
ちょっとしたテクニックだと、コントラストを少し緩めてあげると、目に優しく読みやすい配色にできます。
「白背景+黒に近いダークグレー」という感じにすると、刺激が弱くなって、ずっと眺めていても疲れにくくなります。
まとめると
つらつらと書いてきましたが、
以下の3つを守れば、読みやすさを保つことができます。
あとは、強弱をトーンで調整してあげれば完璧ですね。
まずは取り掛かりやすい、白背景・黒背景のお話でした。
背景に有彩色・デザインを使った場合とかのお話も、またそのうち書きたいと思います。
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