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フェルミ推定:ハロウィンで仮装する日本人って何人くらい?

この記事では、フェルミ推定を使って「ハロウィンで仮装する日本人の数」と「仮装グッズの売上」を予測してみます。

フェルミ推定とは、限られた情報から大まかな数値を論理的に導き出す手法で、ビジネスや日常生活など、幅広く活用できます。

あなたも統計学的なアプローチを学び、今後の意思決定に役立つ知識を手に入れてみませんか。

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フェルミ推定とは?

フェルミ推定は、情報が限定された状況下でも、ざっくりとした仮定と論理的な分析に基づいて問題を解決する手法です。

名前の由来は物理学者エンリコ・フェルミから来ています。

彼は、第二次世界大戦中に核実験の際、非常に限られた情報から爆発の威力を推定したことで知られています。

この手法は、ビジネスや日常生活においても非常に有効で、私自身、ビジネススクールでの統計学やファイナンスの分野で使用しました。


フェルミ推定の歴史と概要

フェルミ推定は、物理学など学問だけでなく、マーケティングや経営戦略など、ビジネスの分野でも広く使われています

例えば、ある新商品の潜在市場規模を知るために、「日本の人口 × 商品に興味を持つ人の割合 × 実際に購入する人の割合」というステップを踏んで推定します。

重要なのは、細かいデータがなくても、仮定を組み合わせて大まかな数値を導き出すことです。


フェルミ推定がビジネスや日常で役立つ理由

フェルミ推定の強みは、全てのデータが揃っていなくても、それらを補完する仮定を使い合理的な推定ができる点でしょう。

例えば、ある都市でのピザの注文数を推定する場合、「都市の人口」「ピザ好きの割合」「週に1回以上ピザを注文する人の割合」といった大まかな情報を基に、合理的な推定をします。

同じ手法を使えば、ハロウィンで仮装する日本人の数も推定できます。


フェルミ推定のステップを分解する

フェルミ推定の基本的なステップは次の通りです

1. 問題の理解
今回の例で言えば「ハロウィンで仮装する日本人の数はどれくらいか?」です。

2. 大まかな仮定を立てる
人口や年齢層ごとの仮装者の割合、そして仮装グッズの購入率を推定します。

3. 分割して考える
各年齢層ごとに人口を分割し、それぞれの仮装率を当てはめます。

4. 結果を合計する
仮装者数を年齢層ごとに合算し、全体の仮装者数を推定します。


日本におけるハロウィンの現状

日本におけるハロウィンは、2000年代に入ってから急速に普及しました。

SNSの影響もあり、若者を中心に仮装を楽しむ文化が広まりました。

特に10代から20代の若者を中心に広がり、都市部では、毎年多くの若者が仮装して街を練り歩く光景が見られます。

これらの情報から、仮装率が特に高い年齢層を10~20代と特定し、推定を行います。


都市部と地方でのハロウィン参加率の違い

また、都市部と地方でのハロウィン参加率の差も考慮に入れるべきかもしれません。

例えば、都市部では仮装イベントなどが盛んに行われると思いますので、参加率は地方に比べて高いと推定されます。

一方、地方はイベントが少ないことを踏まえ、都市部と地方ごとに仮装者の数を分割して推定することを考慮したほうが、より近い数値になると思います。


フェルミ推定で仮装する日本人の数を算出

人口構成比から見る仮装者の割合

まず、日本の総人口は約1億2500万人と仮定します。

これを都市部と地方に分けます。

ざっくりと以下のように分割してみました。

都市部の人口:総人口の約40%と仮定し、5,000万人。
地方の人口 :総人口の約60%と仮定し、7,500万人。


都市部と地方の仮装率

次に都市部と地方の仮想率(仮想する人の割合)を推定します。

このような情報はなかなかありませんが、ざっくりとした自分の感覚でも構いません。

「おおよそ間違っていないだろう」という数値を意識するのがコツです。

都市部の仮装率
都市部ではイベント参加率が高く、特に若者層の仮装が目立つので、10〜20代の仮装率は高めの15%、30〜40代を7%、50〜80代を2%、その他(幼児や小学生)を1%と仮定します。

地方の仮装率
地方ではハロウィンの浸透度が低いと想定し、10〜20代の仮装率を5%、30〜40代を3%、50〜80代を0.5%、その他を0.5%と設定します。

フェルミ推定では、この数値が合っているかどうかを考えるよりも、なぜそう推定したかが重要です。

「都市部と地方では、仮想する割合は違う。なぜなら、イベントの数が違うから」といった理由を考えるのが合理的な判断に繋がっていきます。


人口構成比の推測

次に、日本の人口構成比を推測します。

少子高齢化が進む日本の現状から、以下のようにざっくりとした数値を各年齢層に当てはめます。

• 10〜20代:20%
• 30〜40代:25%
• 50〜80代:40%
•その他:15%

ただ、地方は少子高齢化が進んでおり、都市部とは人口構成比に違いがあると考え、以下のように修正します。

<地方の人口構成比>
• 10〜20代:15%
• 30〜40代:20%
• 50〜80代:55%
•その他:10%

これらの正確な数値は、国などが出していると思いますが、今回は何も情報がない状態で、どんどん分解することを意識して進めていきます。


都市部の仮装者数の算出

都市部で、仮装する人数を次のように推定します。

10〜20代:5,000万人 × 20%(年齢層割合)× 15%(仮装率) = 150万人
30〜40代:5,000万人 × 25%(年齢層割合)× 7%(仮装率) = 87.5万人
50〜80代:5,000万人 × 40%(年齢層割合)× 2%(仮装率) = 40万人
•その他:5,000万人 × 15%(年齢層割合)× 1%(仮装率) = 7.5万人

合計すると、都市部の仮装者数は約285万人と推定されました。


地方の仮装者数の算出

地方では、仮装する人数を次のように推定します。

10〜20代:7,500万人 × 15%(年齢層割合)× 5%(仮装率) = 56.3万人
30〜40代:7,500万人 × 20%(年齢層割合)× 3%(仮装率) = 45万人
50〜80代:7,500万人 × 55%(年齢層割合)× 0.5%(仮装率) = 20.6万人
•その他:7,500万人 × 10%(年齢層割合)× 0.1%(仮装率) = 0.8万人

合計すると、地方の仮装者数約122.7万人と推定されました。


全体の仮装者数の合計

都市部と地方の仮装者数を合計すると、次のようになります。

• 都市部の仮装者数:285万人
• 地方の仮装者数:122.7万人
• 合計 = 285万人 + 122.7万人 = 407.7万人

日本全国で仮装する人は、推定で約408万人程度はいると算出されました。

つまり、日本の3.26%(約408万人 ÷ 1億2,500万人)はハロウィンで仮装するのではないかと予測します。

数値が合っているか、間違っているかは、それほど重要ではありません。

フェルミ推定は、このように分解して考えるプロセスが重要だと思います。


フェルミ推定と因数分解

気づいた人も多いかもしれませんが、フェルミ推定は数学の因数分解に似ています

因数分解とは、数学において、ある数や式を「積」の形で表すことを指します。

数を因数に分けて表現したり、多項式を単純な因数に分解したりします。

例として、12を因数分解すると、2 × 2 × 3のように表すことができます。

同様に、x^2 + 5x + 6 という式は、 (x + 2)(x + 3) のように分解することができます。

因数分解は、数学の問題を簡略化する際に非常に役立ちますが、フェルミ推定も同様で、大きな問題を小さく分解していくことが重要です。

全体をいくつかのプロセスに分割し、個々の仮定に基づいて推定していきます。

ただ、因数分解とフェルミ推定は目的が違います。

因数分解は数学的に正確な解法を求めるプロセスです。

一方、フェルミ推定は、詳細な情報がない状況での「概算」が目的です。

ちなみに、さまざまな事象を分割して考えるのは、課題解決に役立つと思いますので、私は常に意識しています。


仮装グッズの購入率とその影響

仮装する人の割合が分かったところで、いったい何になるのか?と思う人もいるかもしれません。

ただ、そのようなデータが推計できれば、市場規模などを計算できます。

たとえば、仮装グッズの市場規模を推定してみましょう。

仮装する人の半分、50%が毎年新しいグッズを購入すると仮定します。

この場合、仮装グッズを購入する人数は以下のように推定されます。

約408万人の50% = 約204万人

仮装グッズを購入する人の平均購入額は約10,000円と仮定します。

これを基に、仮装グッズの市場規模を予測します。

204万人 × 10,000円 = 204億円

ハロウィン時期の仮装グッズの市場規模は約204億円と推定されました。

実際、今年のハロウィン全体の商戦規模は約1,200億円と推定されているようです。

これは、仮装グッズの販売に限りません。

ハロウィン用の菓子や、イベントでの飲食なども含まれていると考えられるので、仮装グッズの売上推定が204億円というフェルミ推定の結果とも大きくずれていない気がします。


まとめ

フェルミ推定を用いれば、ハロウィンに仮装する日本人の数を約408万人、仮装グッズの売上は約204億円と推定できました。

フェルミ推定は、限られた情報から大まかな推定を行うためのツールで、ビジネスやマーケティングの現場でも広く応用されています。

この手法を覚えて、需要予測やイベントの参加者数など、今後のビジネスに役立ててもらえばと思います。

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