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天の岩戸

「まったく、スサノオどのにも困ったもんだ」
天安河の岸には高天原の神々が集まり思案にくれていた。
この世界を治めるオオヒルメの弟であるスサノオがこの地に来てからというもの、勝手気儘の振る舞いが目に余り、途方に暮れたオオヒルメは天岩戸に篭ってしまった。以来、この地はもちろんのこと葦原中つ国まで真っ暗になり、作物は枯れ、禍々しきモノまで跋扈するようになった。
「中つ国では高天原に対する信頼が薄らぎ、このまでは民たちは別の地へ移ってしまうでしょう」
「それはマズい、何とかせねば」
 その時オモイカネがある提案をし、一同はそれに従い動き始めた。
まず、岩戸の前で長鳴鳥を鳴かせ、続いてアメノウズメが足を踏み鳴らしながら踊り始めた。そのありさまがおかしくて他の神々は大笑いした。
 この声は岩戸内部まで響いたため、オオヒルメは不審に思いそっと岩戸を開けようとした。と同時にタヂカラオが戸に手を掛けて開け放った。
 オオヒルメの姿が現れると高天原も葦原中つ国も明るくなり、神々も民たちも歓声を上げた。
 まもなくスサノオは追い出され、高天原は平穏を取り戻した。

#歴創版日本史ワンドロワンライ  2020年5月9日
お題:太陽
日本史で太陽というと、この話しか思い浮かびませんでしたf^_^;

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