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鶏林書笈≒ゆきやまイマ
2020年5月11日 21:23
「まったく、スサノオどのにも困ったもんだ」天安河の岸には高天原の神々が集まり思案にくれていた。この世界を治めるオオヒルメの弟であるスサノオがこの地に来てからというもの、勝手気儘の振る舞いが目に余り、途方に暮れたオオヒルメは天岩戸に篭ってしまった。以来、この地はもちろんのこと葦原中つ国まで真っ暗になり、作物は枯れ、禍々しきモノまで跋扈するようになった。「中つ国では高天原に対する信頼が薄らぎ、こ
2020年5月4日 21:48
彼の前に一幅の絵が広げられた。「竜田川ですね」「はい、これを屏風に仕立てるのですが、あなた様の歌をぜひ添えたいのですが‥」「はい、わかりました」 答えた彼の脳裏に以前訪れたかの地の風景が甦った。 紅葉を求めて彷徨っていたところ斑鳩の地に着いた。せせらぎに誘われて川辺に行くと唐紅の布が敷き詰められていた‥いや、もみじ葉が川を埋めているのだ。こんなことは神代にもなかっただろう。 千早ふ