工芸家を目指す若者が経験すること⑩使えば減る。
砥石を使うとへる。
刃物も減るが砥石も減る。
減ったら面が変わる。
砥石の面が変わったら刃物の面も当然変わる。
なるほど。そういういうことか。
絶対というものがないんやな。
真っ直ぐっていうのはまっすぐでありたい。まっすぐであって欲しいという思い出あって、
ちょっとづつ揺れてるんやな。
そーかそーか。
だから、真っ直ぐにしたろうと思えば思うほど歪むんか。
でも真っ直ぐするには真っ直ぐ仕事しなあかんし。
この砥石は真っ直ぐなんやろうか?
わしの目にはまっすぐに見えるけど本当はちょっと凹んでるんちゃうかな?
ただ、真っ直ぐ、丁寧に研ぐ。そのことは簡単だが奥が深い。
基本だからこそ難しい。
そういうことなのかもしれないと思う延は、仕事終わりに
今日も塗師屋包丁を研いでいた。