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「慶應野球と近代日本」慶應義塾史展示館企画展を見に行く

「エンジョイ・ベースボール」とは、日本野球の常識に対する挑戦である。

という投げかけから始まる、慶應義塾史展示館の春季企画展「慶應野球と近代日本 “ヘラクレス”から“Enjoy Baseball”へ」が、8月13日(土)まで開催しています。

「Enjoy Baseball」とは、野球界に広く普及した早稲田式の「一球入魂」「野球道」とは異なるスポーツ観として、慶應野球が提示した言葉です。この姿勢が形成された背景を、福澤諭吉や日本野球の原点に遡って問う展示となっています。この企画展を、野球経験者でもある筆者が見に行ってきました。

企画展情報 ※記事公開時点の情報です。最新情報はHPを参照ください。
【対象】どなたでもご来館いただけます
【開館時間】10:00〜18:00
【会期】2022年6月6日~8月13日(日曜日・祝日・夏季一斉休暇(8月1日~7日)は休館)
【入場料】無料
展示の詳細 https://history.keio.ac.jp/?page_id=1144

私の慶應義塾大学の野球に対する印象は六大学においてたびたび優勝を果たし毎年のようにプロ野球球団からドラフト指名を受ける選手がいるような野球の強さの面を持つ一方で、スポーツ推薦がなく学業でも普通の大学生と同じように授業を受け単位を取得する必要があるという文武両道のイメージがあり、いわゆる昔ながらの“野球”とはちょっと違ったように見えます。

企画展における一つのテーマである「Enjoy Baseball」という言葉は、特にそれを表していると感じます。展示物の野球部監督前田祐吉のノートには細かく「Enjoy Baseball」に関する価値観やモットーが記載されています。特に「ボーズ頭は決して高校生らしくない」という言葉は共感できます。私は中高一貫校の中学時代を野球部で過ごしましたが、髪を伸ばしてもよいところを気に入っていました。しかし高校からは坊主頭を強制され、これが私が野球をやめる要因の1割くらいを占めていたといっても過言ではありません。

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前田祐吉ノート

慶應野球はアメリカ野球をいち早く取り入れようとしていたことも興味深く、アメリカ野球を取り入れるためにアメリカに遠征し各地のチームと対戦した展示物や、大リーガーの教えを残したものを見ると、早くから固定観念にとらわれず最新の技術や戦術を取り入れようしていることがわかります。その中でもただ野球だけを学ぶのではなく、アメリカの文化や風習を経験することも目的とされており、自ら考えて行動する人物を育てるという「Enjoy Baseball」の精神も見られます。

アメリカ遠征トロフィー

また、大学スポーツにあまり関わらなかった人間としては、早慶戦に関するものを見てみると、現在もさることながら昭和初期の人気・盛り上がりは目を見張るものがあり、当時のグッズや雑誌・写真などから伝わってきます。早慶戦が伝統的かつ国民的な行事として行われていたことはどこか別の世界のような気がします。

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かるた、めんこなどのグッズ

企画展ではそのほか、慶應野球の歴史を表す数々の展示がありますので、ぜひ皆さんもご覧ください。

展示館図録、いよいよ発売

当展示の内容を完全収録した図録が満を持して発売されました。

A4判 定価1800円(税込)
ページ見本

展示物の解説はもちろん、堀井哲也氏(慶應義塾大学野球部監督)、上田誠氏(慶應高校野球部元監督)、高橋由伸氏(読売ジャイアンツ球団特別顧問)といった野球部監督・OB陣のインタビュー、コラムなど、読み応えのあるオリジナルコンテンツが揃っています。

また、慶應野球部年譜や東京六大学野球リーグ戦全順位といったデータも多数収録しており、往年を懐かしみながらご覧いただける一冊になるのではないかと思います。

ぜひ展示館内慶應義塾三田インフォメーションプラザなどで手に取っていただくか、インターネット販売にてお買い求めください!

当社では、展示図録の制作やWebサイト、デジタルコンテンツ制作において、慶應義塾史展示館を支援しています。

#慶應義塾史展示館 #慶應義塾大学出版会 #野球 #早慶戦 #EnjoyBaseball


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