『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む』、校了後に見つかってしまった新たな興味深い例

音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む~プリチュアからカピチュウ、おっけーぐるぐるまで~』は、音声学者である川原繁人が娘たちや学生から学んだ面白い言語現象を元に音声学/言語学の世界を旅する書籍です。とても自然なことなのですが、書籍が出来上がってから、さらなる面白い例を娘たちが提示してくれて、「あー、本に載せればよかった〜〜」となるわけです。せっかくなので、そういった例を備忘録を兼ねてここにメモしていきます。もしかしたら、改訂版を出せるかもしれないですし。

形態素分析間違い(6話)

上の娘(7歳):「『よなべ』って何入れていいの?」
妻:「え?」
娘:「鍋に何を入れてもいいのかってこと」

どうやら「よなべ」を「鍋」の一種だと思っているようです。

人名に関する新たな観察(10話)

中学生の時に、「李君」という同級生がいましたが「りーくん」と伸ばされて発音されていました。これは「り」一文字(一拍)だと短すぎるからでしょう。また、彼は「くん」を付けられて呼ばれていました。同じように、とある学生から「私の名前は何故か呼び捨てされにくいです」と言われますと報告がありました。その学生の名前は長母音を含む一音節でした。私の大学の同級生でも「ゆう」という子がおり、ほぼ必ず「ゆーちゃん」と呼ばれていました。これらの例は、「日本語は2拍が最小だけれども、一音節だと短すぎる」ということに起因すると思われます。

この例は、本書に入れたかったです。悔しい!

妻からの証言(14話)

本書でも触れた通り、奥さんは「かーちゃん」もしくは「おかあさん」派なのですが、その理由は「ママ」という優しい響きが自分に合っていないと感じるから、らしいです。なぜこの例も本書に入れられなかったのか……(涙)


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