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園村先生を生きる田中圭(ネタバレ)

「耳をすませば」は、この前テレビで初めて観た。といっても、ながら見してたからちゃんとは覚えてない。最後だけはちゃんと観たけど。

そんな耳すまが実写化された。
それを私は圭くん目的で観に行った。だから、作家先生を生きる圭くんの園村先生まだ?まだ?って思ってもいた。
だけど、お話も見入ってしまった。
しまった、って、見入っていいんだけどね。

そんな待ちに待った圭くんの登場シーンは3回。

初回。
編集担当者の雫に作品のダメ出しをされる。
そのダメ出しは雫の意見ではなく、編集長の言いなりの意見を伝えるだけ。

すると、園村先生は自分の作品を愛でるようスーッと原稿を撫でる。大切な我が子のように原稿を撫でる。
この手がまた優しい。
作品への愛おしさが伝わってくる。
そして、雫に対して見つめる目。なんて憂いがあるんだろう!!!
自分の想いがこもった作品に対する評価を、編集者としての雫自身の意見を聞きたいと覗きこむ目。ここに、雫に対する信頼と期待を感じた。雫ならちゃんとこたえてくれる、という救いを求めるような目だった。

ところが雫は当たり障りの無い言葉を発する。
それに対して園村先生は悲しみがこもった笑みを浮かべる。

園村先生はセリフが少ないからこそ、目の奥で全て表現している。

編集者を品定めするかのような目で見つめる。自分の大事な作品をこの人はどう言葉にしてくれるんだろう?という目。
そこに雫の気持ちがないとわかった時のあのさびしい笑み。

2度目の登場は原稿を手直しした後。
言われた通りに直した園村先生。
雫に読ませ感想を聞くが、雫は完璧だとこたえる。
その答えを聞くまで園村先生は雫をやっぱりじっと見つめる。
今度は正直な気持ちが聞けるかと思って。自分が納得いかない手直しをした原稿を雫自身はなんと言うかと。

雫の答えを聞いて更に園村先生は聞く。
前の原稿と手直しした原稿のどちらがいいかと。最後通牒を渡すように。
その間もやっぱりずっと雫の心を見透かすような、雫自身の言葉を聞かせて欲しいと望みをかけるような目でみつめる。
とにかく見つめる。

それでも雫は直した方が良いと言ってしまう。
自分を持たない雫に対し、がっかりした園村先生はそのモヤモヤを隠せず、担当を外れてくださいと言い、原稿を捨てる。

雫を信頼し、期待してるからこそ、自分の意見を言えない雫に対して最後のチャンスをあげた園村先生。それなのに自分の意見を言わなかった雫を残念な気持ちで園村先生は見つめる。これを全て目で表す圭くん、すごく素敵。

私が大好きなお芝居のひとつである、セリフが少ない中でも纏う雰囲気、目、手で語るという、圭くんのお芝居の真骨頂な園村先生だった。

最後の登場は雫がまた担当に戻りたいと懇願するところ。
やっぱり園村先生は雫の素直さに信頼を置いていた。だからこそ、期待を込めていた。
私も最初からそうなんだろうなと思ったから、聖司くんがそういった時にやっばり!と思った。ってことは、あの少ないセリフ、あの仕草だけで全てが伝わったってことだよね。
なんて人なんだろう、圭くん。

話戻して。
そして園村先生は尋ねる。本を書いているか、と。やめたと言った雫に対し続けるようすすめる。
そしてずっと猫背だった園村先生が、スッと立ち上がりスッと雫に手を差し伸べる。
スッと伸びる背中にスッの伸びる手。
綺麗な立ち姿だ。
まるでこれまでの園村先生とは別人のように。
そういえば衣装も鮮やかに変わってた。こういう、衣装でも気持ちの変化を表しているんだろうな。これは圭くん関係ないけど。って思ったけど、衣装合わせあるね。意見とか言ってるかな?反映されたかな?

って、脱線してしまった。

この猫背からのスッとした姿勢にも圭くんが息を吹き込んだ園村先生という人柄がしのばれる。
全身で雫を応援してる様が現れていた。これまでの憂いをおびた園村先生はいなかった。
キラキラしていた。
それは雫が素直になったから。

ここで、元々最初に自分の意見でダメ出しをした雫のシーンが挟まれる。
これまで期待してきた、信頼してきた、園村先生の気持ちが痛いほどわかる雫のハキハキとした姿だった。
雫がその気持ちを取り戻せたから、園村先生はそれに値する気持ちを態度で示した。

やっばり役者田中圭は素晴らしい!!!
もうセリフなしのお芝居でも伝わるのではないか?というくらい。
同じようにセリフが少ないという「夏の砂の上」もとても楽しみ!!!

せっかくなので「耳をすませば」についても。
最初サブタイトルを見た時、耳をすますなのになんで「whisper of heart」なんだろう?って思ったんだよね。だって心の囁きだよ?耳をすませているのに囁きってなに?って思ってた。
答えは劇中にあった。
「耳をすませば心の声が聞こえる」って。
あーー!!そういう意味だったのか!って、この「耳をすませば」ってタイトルの本質がわかった瞬間でもあった。
え?遅い?

この映画は10年前と10年後が交互に交錯する。それがまたスムーズでとてもよかった。

そして一番面白いなと思ったのが、10年前と10年後の4人が「翼をください」を歌うシーン。
聖司くんのチェロの弾き方!
指使いと弦の扱い方が全く違う!!
これが10年の差、プロとの差かー!って楽しかった。

そして最後に。
小学生の時に何気なく歌ってた「翼をください」。
今聴くと、とても深く染み入る歌だった。

そんな土曜日。

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