前の勤めていた時の課長が障がい者アートを語る人だった。
課長は共生社会の話をよく職員にしていた。
社会福祉協議会という名の職場にいたにもかかわらず、わたしは
あまり福祉に興味はなかった。
(子育て相談員で雇ってもらっていたので)
しかし、課長からやまなみ工房に通う酒井美穂子さんの話を
教えてもらった時、衝撃が走り、美穂子さんの即席めんが
展示されているというので、富山県の展覧会に同行させてもらった
ことがある。
美術館にはたくさんの即席めんの袋が壁いっぱいにきれいに
展示されており、一袋一袋に日付が記載されていた。
美穂子さんが毎日やまなみ工房に持ってくる即席めんに
スタッフの方が日付を付いていた。
即席めんをどう見るのかで価値が変わる。
即席めんが作品になるなんて、これまでの人生で
想像したことなんてなかった。
もしかしたら、それはただの即席めんで、美穂子さんのこだわり
という見方で終わっていたかもしれない。
即席めんは美穂子さんの作品であり、美穂子さんの生きている証。
美穂子さんの即席めんは「あたなはそのままでいいよ」という、
生き方を教えてくれているようだった。
わたしたちは教育されすぎてしまって、大事なものを
忘れてしまってはいないだろうか。
何か変えよう、変えようと急ぎ過ぎてはいないだろうか。
そのままのあなたでいい。
そのままのあなたがいい。