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NFTの魅力は…THE CITYというコミュニティについて

今年の春からNFTを始めました。投機的な目的ではなく、この界隈が面白そうだからという理由で好きなものしか買っていませんので、買ったモノは基本ガチホしています。(なぜか猿系には全く触手が動きませんw)

先日、非常勤先の授業の最終回では、メタバースとNFTをテーマに行い、Clusterに入ってみんなで遊んだり、NFTについてCript Ninja/CNP/CNPJを題材に話をしたりしました。
大学生はメタバースには興味を持っていても、NFTのことはほとんど知らず「なんとなく怖い」というイメージを持っていたようです。仮想通貨の暴落で資産が溶ける…というイメージなのでしょう。
大学生の今だからこそ触っておくべきだよ、株や投資信託始めるより簡単にできるし、Giveawayなど使えば元手が無くてもできるんだよ、暗号資産の勉強にもなるよ、という話をしました。

NFTの現状

NFTとは非代替性トークンのことで、ブロックチェーン技術を使用したデータ単位のこと。仮想通貨を使って支払うことで、イラストや音楽、スポーツ動画などをデジタル上に所有することができます。過去の売買履歴はデジタル署名されていて改変することはできません。通常リアルのアート作品は、一度売却してしまうと、その後クリスティーズやサザビーズでどんな最高額で落札されようが制作者には一銭も入ってきませんが、NFTのイラスト(NFTアート)を売買すると記録が残り、設定されたロイヤルティが制作者にも入ってくるようにすることも可能というアーティストに優しい仕組みになっています。
Google Trendsでの検索キーワードを見ると、ここ1年で人気に火が付いたのが分かります。

Google Trends検索キーワード人気度(2022/8/10)

今この動きをけん引しているイノベーター兼インフルエンサーが日本に数十人規模でいて、彼らはアーティストと一緒に活動しながら、NFTの面白さをVOICYやTwitterで広め、Discordでコミュニティを運営しています。日本の市場はまだまだ小さく、NFTアートを所有しているアーリーアダプターは1万人もいないと言われています。これからパイを増やせるか(アーリーマジョリティーを獲得できるか)の分かれ道、つまりキャズム(溝)の手前にいる、という状況かと思います。

THE CITYの魅力

そんな中、NFT界隈で注目しているのが、イラストレーターのmilkさんを中心にしたコミュニティ「THE CITY」です。少なからず価格の値上がりを期待して購入することが多いのがNFTアートですが、このコミュニティはその動きと一線を画しているように見えます。
実は、Cript Ninja Partners(CNP)、Kawaii Meta Collage(KMC)、Ream House(ひきづるちゃん)、Party Sheep Club Land(PSC)などはNFTを所有していてDiscordのコミュニティに参加しているのですが、milkさんのNFTは所有していないにもかかわらず、THE CITYにいさせて頂いています。

最初はTwitterでたまたま作品をみていいなーと思い、調べてみたらキャンバスパネル(キャンバス地にイラストを印刷したパネル)がある…あ、これ研究室に飾りたい、と思って即買いしてしまいました。こちら↓

(すみません、夏休み明けに飾ります。)

というわけでNFTでは持っていないのですが、コミュニティに参加し、Analogue Holderというロールもつけて頂いています。(今出品さているNFTは5ETHと10EHT、100万円超と200万円超なので、なかなか手が出ません。)
Discordのコミュニティの中は、THE CITYの住人(コミュニティのメンバー)が活発に発言したり活動しているにもかかわらず、なんというか気持ちのよいゆる~い空気が流れています。
その空気感を作っているものが3つあります。

1.milkさんの作品

POPでキュートなCITY BOYとCITY GIRLのイラストです。BGMを流すなら、オトナの人には山下達郎さんや大瀧詠一さん、若い人はVaundyさんや藤井風さんがしっくりくるところでしょうか(勝手なイメージですがwww)。カラフルだけど抑えたトーンで統一され、一人一人に名前や背景が設定されている、その作品自体が魅力となっています。

https://opensea.io/collection/cityboyandcitygirl

2.コミュニティの設計

Discordがコミュニティの場となっています。運営者の核となっているのが、市長であるmilkさん。先日グッズ販売の投稿でお顔をリビールされてコミュニティに激震が走ったのですが、癒されるトーンのお声(Voicyで聴けます)を持ち、守ってあげたいと思わされながらも優しさに包まれちゃうような包容力がある、そんな魅力のあるアーティストさんです。
Discordでは新しくメンバーになられた方一人一人にご挨拶され、住人の皆さんの投稿全部に目を通し、丁寧に反応されています。ご自分が大事だと思っていることや、ちょっとした笑い話、イベントの告知などを、2日に1回のペースでVoicyでお話されます。milkさんが大事にしていることに共感している住人の方が多くいらっしゃいます。

そんなmilkさんのコミュニティ運営の脇を固めているのが、MOTOKIさんとコヤさんというお二人。THE CITYは単にNFTアートを売るための場ではなく、どうしたら住人の方が素敵な「暮らし」ができるか、という視点で様々な仕掛けを作られています。例えば、関わりに応じたロールの付与、住人を巻き込むイベントの企画、告知、運営、NFTやWEB3の解説…などなど。そして、値段の張るNFTアートをOpenSeaで購入しなくても、コミュニティの活動で(動物ワッペンの)NFTホルダーになることが可能です。
MOTOKIさんコヤさんが、ご自分のお仕事領域の知見を活かしながら、milkさんと共にその一連の設計をされているところが、コミュニティの特徴になっています。

3.住人のエンゲージメント

コミュニティの設計が非常にうまくできているため、住人のエンゲージメントがすさまじいです。
コミュニティに入ったところからそれは始まります。
初見さんが「はじめまして、宜しくお願いします。」というコメントを入れると、milkさん、MOTOKIさん、コヤさんだけではなく(その投稿前から)住人の方々が口々に「ようこそ」「一緒にシティ活楽しみましょう」「ぼくも初心者ですよ~」「わからなないことがあったら聞いてください」ってコメントが入ります。
別の部屋では毎朝、みなさんの「おはシティ~」から始まります。イラストの子の名前付けをみんなで考え、ファンアート(や小説)をみんなで楽しみ、Voicyの感想を言い合い、時折自分たちの近況を話します。さらに、お願いされてもいないのに、この街の朝刊を発行している方や、Discordでどんな話題がされているのかをワードクラウドで可視化している方、海外にお住まいでその国の情報を教えてくださる方もいらっしゃいます。これらはNFTアートの価値を上げることを目的としていないため、他のDiscordコミュニティでは滅多に見ることはできません。
運営だけでなく、住人それぞれがどんなことをすると「楽しい暮らし」が送れるかを考えて参加しているところに、このコミュニティの特異性があります。顔も本名も知らない集団であるにもかかわらず、ネット上の活動が現実の暮らしの充足感に影響している場となっています。

コミュニティの成功要因

スポーツでもチームを支えるファンコミュニティが重要であるのと同様、NFT市場でも、イラストが売れ、価格が上がっていくための条件としてコミュニティがあります。作品がよいだけではコミュニティはできませんし、継続もしません。その意味で、THE CITYにはいくつかの成功要因があると思っています。

まず、milkさんのコミュニティのビジョンがしっかり伝わっていること。Voicyの録音の最後は「この街があなたの心のふるさとになりますように /milkでした/ばいばーい」で締めくくられます。milkさんはイラストを制作しているのではなく、場を創造しているのだ、ということが分かります。「地元」「出身地」という言葉があるように、場所にアイデンティティが生まれることがありますが、THE CITYを居場所(心のふるさと)として提供していることから、住人に共通のアイデンティティが生まれています。

所有するNFTアートはTwitterのアイコンにして使う方が多く、自分であることを主張するイラストがアイデンティティになっています。Openseaを見ると発売されているNFTアート(CITY BOY & CITY GIRL)のオーナーは44人しかいないのですが、Discordには750名超のメンバーがいます。NFTアートを持っていなくても、コミュニティの活躍に応じて獲得できる動物ワッペンNFTをアイコンにしている方も多くいらっしゃいます。同じものを持つことで一体感が生まれますし、動物ワッペンの方は、いつかはBOYS & GIRLSを持ちたいというモチベーションが生まれます。

そして、運営の3名が自分たちのことをよくしゃべること。Discordだけでなく、Voicyやstand.fm、Twitterスペースなどで本当によく情報発信をしています。住人は、彼らの考えていることや日常がわかり、そこに共通項を見出し、共感をします。さらに自分と同じ考えをもっている、自分と同じ経験をしている、といった類似点があると共感に結び付きやすいのですよね。

コミュニティ・アイデンティフィケーション

ある集団と同一化するという概念はコミュニティにも使えるのですが、スポーツの分野ではファン同士のコミュニティ(例えばファンクラブとか地元ファンとか)を自分のことのように思う(同一化)することを、ファンコミュニティ・アイデンティフィケーションといいます。
THE CITYの場合はそれとは異なり、価値を創造する側とファンが一体となったコミュニティであり、この集団に対するコミュニティ・アイデンティフィケーションが高いという点が大変興味深いです。いわゆるWEB3で注目されているDAO(分散型自立組織)に近いと思いますが、分かりやすく言ってしまえば・・・「麦わらの一味」だということかと思います。

ルフィは、海賊王になるというビジョンを明確に持ち、仲間を求めます。なぜなら自分一人では何もできない、と分かっているからです。そして仲間を守るために進化し続けます。仲間はそれぞれに目標がありますが、ルフィは仲間の力を借りながら全員の目標に向かって進んでいくわけです。奇しくも、2022/8/4のVoicyでmilkさんは、エピソードを交えて「1人で抱え込まないで周りに頼ろう」という話をしており、運営のコヤさんMOTOKIさんだけでなく、シティ民の方々を徐々に巻き込んでいることが分かります。そしてそれに対する感謝の言葉(ルフィもよく感謝の言葉を述べます)。それに呼応する住人たちは、自分たちも信頼関係で結ばれ、お互いに頼ろう、という集団になっています。
これは、まさに麦わら海賊団・・・ドンッ!!!

研究対象としても、とても面白い組織なので、是非ケース書きたいと思っています。
このコミュニティに興味のある方、雰囲気が好きそうと思った方は、関係者のTwitterやVoicyをフォローしていただくか、Discordに入って実際に見て頂くのがよいのではと思います。

一緒にシティ活やってみませんか?

参考リンク


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