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【Story of Life 私の人生】 第46話:初めてのアルバイト

こんにちは、木原啓子です。
Story of Life 私の人生 
前回は、 第45話:高校入学 をお送りしました。
今日は、初めてのアルバイトについてお話ししようと思います。

以前お話ししましたが、中学生時代、私のお小遣いは月100円でした。
第一志望だった私立高校ではなく、都立高校に進学すれば、お小遣いを「月1万円に値上げする」という、両親からの「怪しげなオファー」に目が眩み、簡単に承諾してしまった私でしたが、世の中にそんなに上手い話がある筈もなく(笑)
都立高校に進学したから、確かにお小遣いは1万円に値上げしてくれました。
でも、あろうことか「高校は義務教育ではないから、学費と交通費は、自分で支払え」と言い出すではありませんか(驚)
当時、高校の学費が月5800円、通学定期が月4100円で、合計9900円だったから、結局お小遣いとして私の手元に残るのは100円だけ。
中学生時代と、なんら変わりないということに愕然とした私でした(泣)
猛烈に抗議するも「働かざる者食うべからず。小遣いが欲しければバイトしろ!」と肩透かしを食らわされてしまい、あっさりと撃沈。
両親の方が、何枚も上手だったことになります。
本当にしてやられました(泣)

ただでさえ、中学生時代のお小遣いが「月100円だけ」という子は、他に誰もいませんでした。
当時の物価でも、100円でお菓子の買い食いなんてしたら、1回か2回で使い切ってしまうという、何とも惨めな状態でした。
他の同級生の話を持ち出して、何度か値上げ交渉をしてみたものの、母に言わせれば「よその家とうちは違う」「家には、手作りのお菓子や食べ物が沢山あるのだから、わざわざ買い食いする必要なし」と、全く相手にされず…
確かに、我が家には母の手作りのお菓子や食べ物がいつも沢山あり、しかも余計な添加物や保存料も使っていないから、安心・安全です。
また、中学までは、学校帰りに同級生達が我が家に毎日のように寄って、お菓子や食べ物を喜んで食べていました。
彼らからは「手作りのお菓子や食べ物がいつも家にあって良いなぁ」と羨ましがられていました。
今になって思えば、かなり贅沢だったなぁと思うのですが、当時の私は「お菓子の買い食い」が出来る同級生達が、とても羨ましかったのです。
みんなと同じように、ジャンキーなお菓子やチョコレートを買って、一緒に食べたかったし、マクドナルドにも行ってみたかったのです。
100円じゃハンバーガー1個も買えなかったから、私だけ中学生時代に「マクドナルドデビュー」が出来ませんでした。
また、チョコレートを「死ぬほど食べたい」といった欲求が強くありましたが、お金が無くて買えないというもどかしさに、いつも苛まれていました。
そんな背景もあったから、なおさら「お小遣いの100倍値上げ」に、簡単に飛び付いてしまったという訳です。

話を元に戻します。
高校入学式の数日前に、4月分のお小遣いをもらいましたが、学費と定期代の9900円が右から左へと消えていきました。
電車通学だから、駅前の商店街やファストフードのお店の誘惑は沢山あるのだけれど、100円じゃ何も買えません。
となれば「アルバイトして稼いでやる!」と、即座に決意した私でした。
その頃はまだ「アルバイトニュース」みたいな求人雑誌はなくて。
お店の前に貼られている求人広告を見て歩き、お店に入って「アルバイトしたい」とお声掛けする時代でした。
さて、どんな仕事をしようかなーと、毎日お店の前に求人広告が無いか、見て歩くようになりました。

そんなある日、たまたま母から頼まれて、近所のスーパーマーケットに買い物に行くと、レジ係のアルバイト募集広告が出ていました。
時給は400円でした。
買い物が終わって支払いを済ませてすぐに「レジのアルバイトの募集を見た」とお話ししたら、店長さんが出てきて「履歴書を持って、明日学校が終わったら来てね。」と言われました。
「履歴書って何?」状態の私。
帰宅して、母に聞いたら「文房具屋さんに売っている」と言うので、即座に100円握りしめて、文房具屋さんに走りました。
初めて見る「履歴書」のフォームに、例文に習って書きましたが…

職歴は当然ないから、学歴に「小学校卒業」「中学校卒業」「高校入学」とだけ書きました。
持っている資格はまだマシで、当時取得していた「珠算2級」「英検3級」「書道5段」と書きました。
(余談ですが、現在履歴書には「書道5段」は、恥ずかしくて入れていません。)

志望の動機は、一体何を書けば良いのか分からず、母に「小遣いが欲しいからと書けば良いの?」と聞いたら、いきなり大爆笑されてしまいました。
「それを書くなら、学費を稼ぐとか、社会勉強とかの方が良い」と言うので、社会勉強のためと書きました。
これが私の最初の履歴書となりました(笑)

こんな履歴書を持って、翌日学校から戻ってからスーパーマーケットに行き、店長さんと面接をしました。
面接では、何曜日に働けるか、働ける時間帯などを聞かれました。
とにかくお金が欲しかったから、可能な限りの曜日と時間帯を出したと思います。
土日だったら、長時間働けると皮算用をしていたのですが、他の大学生や高校生で空きがなかった…
ただ、彼らが休む時にヘルプをするということになりました。

お店としては、平日の5時過ぎから働ける人を優先するとのことだったので、部活との兼ね合いを考えて、週3日、午後6時半から9時までとなりました。
1日働くと1000円、週3日で3000円、1か月で12000円!と、働く前から大興奮していましたっけ(爆)
何とか採用が決まり、翌日からアルバイトを開始しました。

当時はバーコードなんて無いから、値札を見ながらレジの10キーをひたすら打つ。
しかも、部門コードを覚えなくてはいけないし、お釣りの計算もしてくれません。
お釣りの計算は、暗算が出来たから、あまり問題なかったのですが、レジを打つ方は、かなり大変でした。
最初のうちは、商品の値札を見て、10キーをいちいち見ながらしか打てないから、1人のお客さんに、かなり時間が掛かってしまい、レジで並んでいるおばさん達にイライラされ、何度も怒鳴られました。
でも3週目になると、10キーはいちいち見なくても叩けるようになりました。
お釣りの計算は、暗算が出来たから、何の問題もありませんでしたが、たまに「お釣りの計算がおかしい」と、暗算を信用せず、イチャモンをつけてくる人もいました。
そういう時は、電卓で確認してもらうように指導されていましたが、自分の計算間違いは一度もなかったです。

そして初めてのお給料日がやってきました。
最初の月は3週間しか働かなかったから、9000円貰えると思っていたのですが…
実際に貰った金額は8100円しか無い!
給料明細を見ると「所得税」で10%、900円も引かれていました。
その時、初めて「税金」というものの存在を知ったのでした。

皮算用より1割少なかったものの、8100円も貰えて、もう狂喜乱舞状態でした。この時、母に頼んで私名義の郵貯口座を開設してもらい、貰った金額の半分4000円を渡して貯金してもらうことにしました。
(ちなみに、この口座は今でも現役で使っています。)

さて、次の日曜日のこと。
私は手元にある4100円を握りしめて、朝から電車に乗って、上野のアメ横に出掛けていきました。
目的は「二木の菓子」で、チョコレートを買うこと。
問屋さんだから、目移りするくらい種類が豊富♪
その中で私が選んだのは「B級品」、少し欠けているチョコレートの塊が、1袋に1キロ入ったものでした。
フレーバーが5種類あったからそれぞれ2袋ずつ、何と合計10キロもお買い上げ!

流石に重くて、自分で持って帰れないから、家に送ってもらうことにしました。
「こんなに大量に買う人は珍しいから」と、送料はサービスしてくれましたが、10キロ分合計で2500円支払いました。
両親には、大人買いのチョコレートの話は内緒にして、到着するまでの数日間、ワクワクして待っていました。

そして3日後、学校から戻ると、チョコレートが入った段ボール箱が家に届いていました。
母が受け取ったのですが、私から何も聞いていないから「絶対に間違いだと思う」と、一度は受取拒否をしたようです。
でも配送表を見ると、住所も合っているし、私の名前が書いてあったから「とりあえず本人に確認する」ということで受け取った模様。
危なかった…

母に「心当たりはあるのか?」と聞かれて、これは自分のものだと説明しました。
狂喜乱舞しながらダンボールを開ける私♪
中身が10キロのチョコレートだと知った母は、卒倒しそうになっていました。
仕事から帰宅した父も、腰を抜かしそうになっていましたっけ。
両親から「少しちょうだい」と言われましたが、「絶対にダメ」と言って、食べさせてあげませんでした(笑)

その日から、毎日チョコレートを食べる日々が始まりました。
最初のうちは、もう嬉しくて、美味しくて、好きなだけ食べられて、本当に幸せいっぱい♪
しかも、自分の初任給で買ったものだから、それはもう格別です。
毎日飽きもせず、ひたすらチョコレートを食べ続けていました。
最初の2週間くらいで全種類1キロづつ食べ終わり、2巡目に入った頃から、突然食指が動かなくなりました。
それでも頑張って、どうにか6キロまでは食べたのですが、その後は「もうチョコレートは暫く食べたくない」状態に陥りました。
そこで初めて両親に分けてあげて、学校の友達にも配りました。
それでも余ってしまい、最後は母に「お菓子作るときに使って」と押し付ける始末(汗)
短期間で「一生分食べ尽くした感」があり、お陰で「チョコレートに対する執着心」がここで完全に断ち切れました。

今となっては、ただの笑い話なのですが、最初のアルバイトは「チョコレートを買うため」だったと言っても過言ではありません。
今でもチョコレートは好きですが、自分で食べるのは年に数回だけ、美味しいチョコレートを少しつまむ程度となりました。
でも、友人のプレゼントとして買うのは、今でも大好きです。

スーパーマーケットのレジのアルバイトは、10月に入院するまで続けました。
また、夏休み中には、新聞配達をしてダブルワーク状態だったから、入院するまでの半年間で、結構お金を稼いだと思います。
「働いたら最低半分は貯金、残りは使う」というスタイルは、高校を卒業するまでずっと続けていきました。
後日、その時貯めたお金にかなり助けられることになるとは思いもしませんでした。

自分で働いたお金だから、両親は私がどんなことに使っても、特に何も言いませんでした。
そうそう、チョコレートを買った残りのお金で、長年念願だった「マクドナルドデビュー」も果たせました。
成増には「モスバーガー」の1号店があるのですが、私個人的にはマクドナルドよりも、モスバーガの方がずっと好きで、高校在学中はよくお世話になりましたっけ(笑)
今になって思えば、当時はお金に対する執着がかなり強かったなと思います。
まさに「守銭奴状態」だったなぁと思う、今日この頃です。

〜続く

今日はここまでです。
次回は、 第47話:闘病生活の始まりPart 1 に続きます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
またお会いしましょう♪

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