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【Story of Life 私の人生】 第95話:社員旅行 〜 1991年まさかのグアム編 Part 1

こんにちは、木原啓子です。
Story of Life 私の人生 

前回は、 第94話:社員旅行 〜 1990年ハワイ編 Part 2 をお送りしました。
2回に渡って1度目のハワイ社員旅行のお話をしましたが、今日は1度目のグアム社員旅行のお話をしようと思います。
このグアム旅行は、まさかの事態で決行されたものでした。

以前、お話ししたことがありますが、この会社の決算は毎年2月です。
この年は、バブル真っ只中でかなり利益が出ていたので、社長さんは顧問税理士の先生が試算した法人税額を聞いてビックリ仰天!
2月に入ると「どうにか節税する方法は無いか」と、毎日頭を抱えていました。
その時に、苦し紛れに出てきた案が、何と「2月中に社員旅行に行く」ことで、しかも行き先は「グアム」一択でした。
何故グアムが選ばれたのかというと、理由は単純で、その時は湾岸戦争真っ只中だったから。
常識で考えたら、戦争中に米軍の拠点であるグアムに「社員旅行」で行くなんて、絶対にあり得ないのですが、社長さんの目論見は「一旦旅行会社に全額費用を支払ってしまえば、福利厚生費になるからその分節税になる。
しかも戦争はすぐに終わりそうにないから、ツアーは無条件でキャンセルになって、旅行代金は3月以降に返してもらえる」だったので、知らぬ間に2月28日の木曜日(決算日)出発の3泊4日で設定されていたようでした。

10月の終わりにハワイに行ったばかりだったし、2週間前には富良野にも行っているし、そもそも「決行する気がない、架空の社員旅行」だったのだから、当然、全社員に通達されているはずはない状態。
私は支払額は知っていたけれど、社員旅行とは知らない状態。
当然ですが、具体的な日程などは全く知らされていませんでした。

ところが、社長さんの目論見とは裏腹に、あろうことか、前日の2月27日に戦争が終わってしまった(アメリカの勝利宣言は2月28日でした)のでした!

慌てた社長さんは、即座に旅行会社に「明日出発のツアーは催行されるのか?」と電話で確認すると、旅行会社の返事は「残念ですが、戦争が終わったのでツアーは予定通り催行します。もしキャンセルされる場合は、前日なので返金は料金の10%分のみです」と…
横で電話を聞いていた私は、この時になって初めて「社員旅行の出発は、明日なんだ!」と認識したのでした。
「一体どうするのかなぁ」と、顔面蒼白の社長さんを横目でチラチラ眺めている番頭さんと私。
少しすると、社長さんは「ポケベルで全員会社に呼び戻せ!」と言い出し、全員に帰社招集を掛けることになりました。
1時間後に全社員が揃うと、社長さんは開口一番に「明日、朝10時の飛行機でグアムに行くから、明日は朝5時に会社集合!パスポートを忘れたら殺す!」と言い出すではありませんか!
社員全員、晴天の霹靂で、空いた口が塞がらず…
いくら「いつもの事」とはいえ、今回は翌日出発の3泊4日で、行き先は国内ではなく「グアム」な訳です。
「いきなり言われても…」と困惑するものの、断るという選択肢は無いと重々承知している私たちは、早々に店じまいして全員帰宅し、慌てて旅行の支度をする羽目になりました(泣)

そして翌朝、始発に乗っても朝5時には間に合わないからと、近所のお兄さんが3時半に車でピックアップしてくれ、眠い目を擦りながら会社へ。
全員集合すると、ハワイの時と同様に車3台に分乗して成田へ行ったのですが…
流石にグアムに行く客なんて誰もいません(汗)
ガラガラの空港ターミナルで暇潰しをし、飛行機に乗ってみたら、乗客は冗談抜きで私たち10人だけでした(驚)
フライトアテンダントのお姉さんも10人位いらっしゃったのですが、かなり暇だったらしく、機内サービスは殆ど「マンツーマン」状態。
エコノミークラスの客にもかかわらず「とても手厚いおもてなし」をして下さり、出発から到着まで4時間もの間、グラスが空になると即座に「アルコールのおかわり」が出てくるし、おつまみやお菓子、バナナなどもひっきりなしに持ってきてくれて…
まるで「銀座の高級クラブ」で宴会しているような感じでした。
とても有難いおもてなしでしたが、そのお陰でグアムに到着する頃には、10人揃ってすっかり「ベロベロ」の状態でした(爆)

グアムの空港に着いてみると、飛行機は何便か到着してはいるものの、私達以外の観光客は全く見当たりません。
入国審査官に日本語で「グアムに何をしに来たの?」と聞かれたので、「会社の旅行」と答えたら「へぇー、日本から珍しいね!ツーリストいないから、ゆっくり楽しんでね!」と言われてしまいました。
そりゃ「珍しい」でしょうね(汗)
後から旅行会社の方から伺った話だと、この時3月1週目までのグアムツアーは、私達以外の予約は全く入っていなかった(というか、事前予約していた人はキャンセルしていた)そうです。
実際、私達だって前日の夕方まで、グアムに行くなんて全く知らなかったのだから…

とはいえ、初めてのグアム上陸に気分は上がりました。
ただ、気温はハワイとあまり変わらないのに湿気が凄くて、ジメジメした真夏という感じで、すぐに全身汗でビッショリに!
空港の外に出た時点で、早くシャワーを浴びたくなりました。
現地ガイドの方が、マイクロバスで私達をピックアップしてくれたのですが、今回は強制的な「島内観光」はなく、ホテルに直行してくれたので、ほっとしました。

何しろ「節税目的」で設定されたツアーなので、その内容はかなり豪華絢爛に設計されていたようです。
ホテルは真新しい「パシフィックスターホテル」(その後、マリオットホテルになりましたが、今でもあるのかな?)でした。
新しいホテルだからお部屋も綺麗で、しかも海側!
とても広くて、大きなベッドに大きなベランダ付き♪
唯一の不満は、ベランダで海を眺めるていると、すぐに汗ビショビショになってしまうことだけでした。

チェックインして、お部屋でシャワーを浴びてサッパリした後は、フロントに集合して、マイクロバスに乗せられて「グレイハウンド・ドッグレース場」に連れて行かれました。
競馬ならぬ「競犬」で、レースは夕方から始まり、1日12レースの開催。
システムは競馬と全く同じで、馬券ではなく「犬券」を買うことになります。
レース場は1周440メートルで、ゲートを飛び出した犬達が、レース場の内側を回る「オモチャのウサギ」を追いかけて猛スピード走るというもので、かなり迫力がありました!
皆、自分の決めた「犬券」を買ってレースを見守り、一喜一憂しながら3レース位見物していたのですが、レストランの予約が8時ということで、残りのレース結果は「食後のお楽しみ」ということで、レストランに移動することになりました。

初日の夕食は豪華なBBQで、上等なステーキ肉、大きなロブスターや蟹、沢山の海鮮に冷たいビールで、とても美味しかったです!
お腹がはち切れそうな位食べて飲んだ後は、再びドッグレース場に戻り、残りのレース結果を確認することになったのですが…
大負けした人は誰もおらず、殆どがトントンか若干の負けだったのに対して、私はレストランに移動した後の後半のレースで、何故か大勝ち!
12レースの賭金総額は25ドルだったのに対して、配当払戻金が何と350ドル!
何もわからないから、単純に「気になる犬の名前」だけで券を買っただけなので、なんだか知らないけどめちゃラッキー(笑)
当然ですが、即座に「祝勝会」という名目で二次会に行くことになり、しっかり奢らされたことは言うまでもありません。

余談ですが、このドッグレース場は2008年に閉鎖されてしまったそうです。
割と楽しかったので、ちょっと残念!

こんな感じで、初上陸のグアムの初日が更けていきました。
この続きは、次回お話ししようと思います。

〜続く

今日はここまでです。
次回は、第96話:社員旅行 〜 1991年まさかのグアム編 Part 2 に続きます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
またお会いしましょう♪

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