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聖マーティン祭と亥の子餅

11月11日ヨーロッパでは、聖マーティン祭

シュタイナーこども園やヨーロッパ圏では、聖マーティン祭のお祝いとして、ランタンを作って子供たちが夕方にランタンを持って近所を歌を歌いながらまわっていく。そして、ハロウィンのように家ごとにお菓子を受け取っていく。↓詳しくは、こちらのリンクを。

我がこども園でも、しばらくの間この行事をやっていた。夕方にあつまって、ご近所を歌を歌いながら手作りのランタンを持って練り歩く。保護者もこどもたちも、しっとりとした夕方の冷気を感じながら秋の終わりを感じ、この闇を照らしてくれる小さな光を、私たち一人一人の心に灯し続けようと、確認する情緒ある行事だ。しかし近年は、夕方に行事を入れることで生活のリズムが狂うことを嫌い、テーブルに子供たちの作ったランタンを置いて夕食を家族で楽しんでもらうように切り替えた。

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マザーアースからのプレゼント、自我を成長させる冬

そしてもう一つ、うちの園では子供たちが寝ている間に、マザーアース(大地の母)が、園庭の大きな桑の木の下に贈り物とお手紙を置いていってくれる。今朝も、霧に包まれた園庭で、子供たちが桑の木の下のバスケットを見つけて大騒ぎ。

かごの中には、クリスマスから12日後のEpiphany(顕現日)ごろに、白い星型の花を咲かせる、ナーシサス(水仙の仲間)の球根が入っていて、「真冬の暗い時期に、お星様の形の花を咲かせて、暗い心を明るくして、勇気を与えてくれますよ」と書いてある。 ナーシサスの語源は、水面に映った自分の姿に惚れ惚れとして命を落としてしまったギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスに由来。

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太陽の力が弱まってくるこの時期、樹木が余分な枝葉を落として、大地にしっかりと根を下ろすように、私たちも、内観をしてEgo(自我)を成長させましょうという思いが、この贈り物に託されている。

実はこの花、可憐な姿なのだが、独特の香り(はっきり言って臭い)がする。水仙の花言葉は「うぬぼれ、自己愛」だが、自分のことにしか興味のない人は「鼻につく」と己を戒める教訓にもなる。

日本にも、同じような風習があった

園での1日を終えたところで、親友から「亥の子餅とよもぎ餅作るので食べにきませんか」のお誘いをいただいた。

3月3日、5月5日、7月7日、9月9日などほどは、有名な節句ではないのだが、旧歴の10月の最初の亥の日に、農繁期を終えて感謝をしいのししの子供たちのように多産で良いことに恵まれるようにとのお祝いの日で、今年は今日11日だという。

和菓子は苦手だが、彼女の作る和菓子は甘さ控えめで美味しくいただける。アメリカにいて、亥子餅。なんて恵まれているんだろう。

余分な枝葉を落として、うぬぼれず、しっかり大地に根をはって、自分を確認する「冬」。この時期があるから、年輪がしっかり入った強い樹木が育つ。
聖マーティン祭は、毎年私にとって、気持ちを引き締めて新たにするきっかけを与えてくれる日。



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