見出し画像

【無料です 上高地のニリンソウ 第3話】

youtubeで配信したものをまとめたものです。まだ改良の余地があるか、noteではこれくらいが見やすいのか、テスト中です。 1話2話4話は今週中にまとめ予定。楽しんでいただけたら投げ銭をいただければ嬉しいし励みになりますです。有料化は少し記事が増えてからにしたいと思います。

ニリンソウは上高地ではどうして5月ごろに咲くの?

画像1

★youtube動画配信中★

ニリンソウは東京のような街でも、自然が残っているところではみることができます。東京ですと板橋区が自生地を保護しています。
東京だとだいたいお花が咲き始めるのが3月中旬から4月最初くらい。4月後半まで楽しめることが多いですね。では、どうして上高地ではニリンソウが咲くのが、5月なのでしょうか。

「単純に東京があったかくて、上高地が寒いから!」

と、思われる方も多いと思います。もちろんそれも正解。ですが、実はもっと深い理由があります。

ニリンソウは背が低いから…

画像2

ニリンソウは、上の写真のように背のとても低い草です。
このように背の低い植物は、森の中では、ほかの背の高い草や森の上を覆う木の葉の陰になってしまい、太陽の光を十分に受けられません。

イラスト33


背の低い植物が生きていくためには、太陽のエネルギーをもらう工夫か、日陰でも育つ工夫をしないといけないのです。

画像3


そしてニリンソウがとった方法とは!

画像4

『あっ! そうだ!ほかの植物がはえてくるまえに、先に葉を出して、太陽の光をひとりじめしてしまえばいいんだ!』

と、ニリンソウが思ったのかはわかりませんが、とにかくニリンソウは太陽の光をもらうために、ほかの草や木の葉が生えてこない、まだ春の早い時期に、大急ぎで芽を出して葉を茂らせることにしました。

雪が解けたらよーいドン!でニリンソウは芽を出します。

画像6

画像5

そして、太陽の光をたっぷり浴びて、葉で必要な養分を作り、花を咲かせて種を作るのです。上高地のニリンソウが芽を出すのは雪解けが始まり、地表が見えてすぐ。早いところでは4月末から花を咲かせ、5月に満開になります。

花が終わり種ができて・・・

画像7

さて、花が終わり種を付けた後、そのまま葉を茂らせておくだけでも、その形態を維持するとなるとエネルギーが必要です。そしてそのころになるとニリンソウのまわりにはもうほかの植物が茂り、太陽からも光(エネルギー)を少ししかもらえないので、


「もう種は作ったし、次の年の芽を出すための養分も作ったぞ!」


と、、夏が来る前にニリンソウはさっさと葉っぱを枯らしてしまいます。そしてそのまま根っこの部分は眠りについて、次の春を待つのです。

ニリンソウ3A


さてまとめると?

背の低いニリンソウ、彼らは太陽の光(エネルギー)をほかの植物より先にもらうために、上高地ではまだ森の中が明るい5月のうちに、葉を茂らせ花をつける。

画像17

上高地の森が緑でおおわれるのは6月に入ってから。森の中に光があたらなくなるころには、ニリンソウは一年の活動のほとんどを終わらせています。上高地でニリンソウの存在を確認できるのは、雪解けのころから夏の前まで。2か月ほどです。短いですね。

太陽からもらったエネルギーとそこから作った養分を無駄にしない、ニリンソウは私よりもよっぽど、しっかり者です。


本当は上高地の新緑とニリンソウの見ごろは合わない

画像10

上高地の森の、本当に若葉が美しい季節は6月上旬から始まります。そのころには上高地内のニリンソウはすでに枯れ始めています。森の新緑とニリンソウはほんとうは同時には楽しめないのです。

画像11

ニリンソウは咲き始めがかわいらしいものが多いので、ニリンソウを愛でたいのなら5月中旬がおススメの時期です。私は、2輪目のつぼみが膨らんであるくらいが好きです森の中は明るく、冷たい風が吹くこともあります。そのころは、早めに葉を出す川沿いのヤナギの新緑が美しいので、そちらも楽しめると思いますよ。

画像14

また、雪の多い年は雪解けがやや遅く、上高地の奥のほうでは6月に入ってもニリンソウがキレイに咲いていることがあります。また、6月もたくさんの花が楽しめる季節です。

画像12

(年によって時期には多少の変動がありますので、上高地のサイトなどで最新の情報を得てくださいね)


スプリングエフェメラル~春の儚いもの~


画像15

こんなふうに春一番に早く花を付けて、夏前には眠ってしまう植物は、ニリンソウのほかにもあります。上高地で見られる、エンゴサクという植物もそうです。そういった植物を、スプリング エフェメラルといった総称でよんだりもします。春のはかないものたちって意味ですね。

上高地にはありませんが、春に咲くカタクリもそういう性質があります。

画像13

春の限られた時間のみ、現れる春の妖精。確かにイメージとしてはある意味儚いのですが、背が低いまま太陽からの光をどうしたらたくさんもらえるか、そして葉で作った養分をどうしたら無駄にしないで済むのかを、かなり突き詰めた植物なので、私にとってはなかなかしっかり者というイメージです。そうするとロマンもなくなりますが、花はとても愛らしいので魅かれてしまうのですね。。。。


あなたの好きなニリンソウはどんなイメージでしょうか?

森を歩きながら、また違ったニリンソウの一面をのぞいていただくと、楽しいんじゃないかと思います。

画像16

(photo ニリンソウの咲き始めるころ)

ここから先は

0字

¥ 100

皆様の大好きな信州・上高地の愛にあふれたステキな風景や有益な情報を定期的にお届けしていきます。ぜひサポートお願いします!!