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さいたまスーパーアリーナでのこと

どうしても書き残しておきたい事がある。

スタレビライブで今までもこれからも、
一番記憶に残る思い出。



それは2012年5月19日、さいたまスーパーアリーナで開催された、30周年ライブでの事。
(「STARDUST REVUE 30th Anniversary オールキャストで大謝恩会~5時間程度まったりと~おみやげ付き」)


定番中の定番「木蘭の涙」。

イントロが始まる。
ゲスト演奏者のサックス。

・・・


ジャジャジャジャ!


爆音で、割れたような音が出た。

でも、メロディは外れてはいない。
機材トラブルか?

「あいたくてあいたくて…」
根本さんは出だしを歌い、

「わたしを呼んでいる…」

そして演奏は続いた。
ところが。


「いつまでもいつまでも」

その歌い出しを、根本さんが出トチった。
出遅れたのだ。

根本さんはあちゃ~となり、演奏は止まり、会場は爆笑。

「俺ダメなんだよね~大事な時にこうなんだよね~」

というようなトークで、
曲紹介からやり直し。
収録カメラも入っているので、
さも無かったかのように曲紹介を始めることが
会場の笑いを誘う。

なんとゲスト奏者のサックスは先程とは違う新しいメロディを奏で、
会場の空気は一変、
いつもの木蘭の涙が演奏された。


しかしどうだろう?


ライブではほぼ必ず毎回演奏する「木蘭の涙」。
もちろんトチった事など見た事がないし、
そんな事はありえないように思う。


私は、最初の機材トラブルだと思う。


そこでおそらくメンバーはもちろん、会場のお客さんも

「あれっ?」

と思ったと思う。
でも、演奏は続こうとしていた。
みんなが、「違和感を抱えたまま」、
木蘭の涙を聴くことになったと思う。


それを根本さんが引き受けたのだと思う。


もちろん、すぐに止める事もできた。
しかしそれでは、例え関係が無くても、
機材スタッフや、奏者が責任を感じてしまうだろう。


それを根本さんが引き受けたのだと思う。


そして、根本さんがトチるまで演奏を続けたのも、
「根本さんが続けるんなら続けよう」
と皆が思ったのだと思う。


止めるのも、進むのも、俺が決める。

責任は俺が全部引き受ける。


そういう事だったのだと、私は思っている。




そうだこれが真のリーダーの姿だ。




判断も、責任も、俺が全部引き受ける。


その姿に私は感動という言葉では表せない
心が震える気持ちがした。


このシーンはテレビ放送にも、DVDにも収録されておらず、
DVDの副音声でも語られておらず、
「なかったこと」
になったのかも知れない。

しかしその「なかったことにする」
というのが、すなわち

「リーダーの気持ちを分かっている」

という事になるのだと思う。
蒸し返してはいけない。
原因を追及したり報告する事は、
リーダーの行動、つまりその気持ちを台無しにしてしまう。

だからなかったことになっている。



でも私は決して忘れない。



スターダストレビューというバンドの核をみた、
あの出来事を。








という私の想像なのであるが、
私はそう信じている。ずっとずっと。


【2013年10月13日mixi日記より転載】

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