見出し画像

【だから僕たちは、組織を変えていける】


ダニエル・キムの成功循環モデルについて書いてある本がないかと聞かれアマゾンで調べたところこの本がヒットしました。
とても多くの方に読まれた本ですがこれまで手をつけていませんでした。

読んでみました。

本には「僕たちは」という言葉が何度もでてきます。
正しい答えはわかりません。が、
関係の質から始まる成功循環モデル(組織変革や意識変革)は自分」から始めようと書いてあります。
でもその旅は決して一人ではない、きっと仲間がいる。
知らない誰かかもしれないけど「僕たち」の「たち」が仲間としてどこかに存在している。だから大丈夫。
そう言ってくれているのかもしれないなと深読みしてみました。

これからの組織論、仕事論、リーダー論と成功循環モデルがいい具合に編み込まれている内容だったので、しっかり言葉にしてまとめていかないと整理できないと思い纏めました。
:::::::::::::::::::::

本は少し面白いつくりになっています。
第1章から第5章までそれぞれの章の終わりにこのようなタイトルと共に章ごとの纏めが載っているのです。

第1章のおわりは ー僕たちは、幸せを視点を求めているー
第2章のおわりは ー僕たちは、組織を導くリーダーになるー
第3章のおわりは ー僕たちは、安全に対話できる場をつくるー
第4章のおわりは ー僕たちは、仕事を楽しむことからはじめるー
第5章のおわりは ー僕たちは、やる気に満ちたチームをつくるー

✅ー僕たちは、幸せを視点を求めているー

産業革命は工業社会を生み出した。キーワードは「効率化」。価値を生むのは機械。
情報革命は「知識社会」を創り出した。キーワードは「創造性」。価値を生むのは人間。
社会システム全体に人間性の回帰が始まっており欲求が「お金」から「幸せ」に向かい始めている。また経営システムを「幸せ視点」にアップデートし新しい価値を生み出すことが求められている。

インターネット時代における3つのパラダイムシフトを促した3つの組織像がある。
・デジタルシフト(1991~)
顧客の幸せを追求し常に新しい価値を生み出す「学習する組織」
・ソーシャルシフト(2008~)
社会の幸せを追求し持続可能な繁栄をわかちあう「共感する組織」
・ライフシフト(2020~)
社員の組織を探求し多様な人が自走して協働する「自走する組織」

✅ー僕たちは、組織を導くリーダーになるー

多くの企業は「工業社会の組織モデル」を採用している。
知識社会において目指す理想の組織像は「学習し、共感し、自走する組織」。
このような理想の組織では組織の柔軟性が増し機動力に優れポジティブな結果につながると考えられる。

理想の組織像と具体的に表現すると
・結果を人を評価する基準ではなく「学習する機会」と捉える組織
・現実を過剰に警戒する対象ではなく「共感する機会」と捉える組織
・仕事を義務ではなく「自己成長と価値創造の機会」と捉える組織

理想の組織へのシフトはメンバーの意識改革から始まり組織変革へ拡げていく必要がある。
ダニエル・キムの「成功循環モデル」にそって展開する。
順番は「関係の質→思考の質→行動の質→結果の質→関係の質→・・・」
結果の質からスタートすると「失敗循環」に陥る。

3つの組織には成功循環モデルに深く関係するフェーズがそれぞれある。
学習する組織は「関係の質の向上」がポイントになる
共感する組織は「思考の質の向上」がポイントになる
自走する組織は「行動の質の向上」がポイントになる

また3つの組織に求められるリーダー像が異なることも特筆すべきこと。
学習する組織には「サーバントリーダーシップ」
共感する組織には「オーセンティックリーダーシップ」
自走する組織には「シェアド・リーダーシップ」

✅ー僕たちは、安全に対話できる場をつくるー
(学習する組織・関係の質・サーバントリーダーシップ)

・コミュニケーションは2種類(ディスカッションとダイアローグ)
→ディスカッションだけだと対立モードになることがある。
→ディスカッションの前にダイアローグで理解を深めることが必要。
→そのためには「思ったまま意見を発言する場づくりが必要」

・Googleのプロジェクトアリストテレス
成功するチームの集団規範の共通点:心理的安全性がチームの生産性を高める
「心理的安全性とはチームメイトなど周りの評価におびえることなく自分の意見や想いを発信するために必要となる要素」
具体的には
①均等な発言機会
②社会的感受性(他者の感情を顔色から読み取る能力)の高さ

・心理的安全性が疎外される要因は「他者から評価されることへの意識」
→同じ一人の人が会社では自分を押し殺して別人格を作り出していると心理的安全性にはマイナスに働く
→心理的安全性の低い場とはマウント合戦、自論の戦いの場、空気を読み合う場

・心理的安全性は①共感デザイン②価値デザインで高めていく。
3つの共感デザイン
①ホールネス(自然の自分にもどる)
②他者の尊重(他者を人間として尊重する)
③相互理解(本音で話せる間柄になる)
※コンフォートゾーンに入るプロセス

3つの価値デザイン
①パーパスの共有(意識を価値創造に向ける)
②第3案の共創(建設的に第3案を共創する)
③安心感の醸成(場に安心感を生む)

・心理的安全性に最も大きな影響力を及ぼすのは場のリーダー。

・心理的安全性を追求する際に陥りやすい3つの落とし穴
❶気くばりこそ命
❷全員一致すべし
❸話し合えば解決する

・ソーシャルキャピタル
関係の質で重要なのは「人のつながり」(人そのものではなく)
関係性がもたらす資本はソーシャルキャピタル(社会関係資本)と呼ばれている。
→ソーシャルキャピタルの違いが人の能力に大きな影響を与えている
※ソーシャルキャピタルを育む3要素
①信頼②規範③ネットワーク
ソーシャルキャピタルは使っても減らない。
いわゆる組織文化こそがソーシャルキャピタルの結晶といえる。
その根幹に心理的安全性をおくことは知識社会における強力な成長エンジンになる

✅ー僕たちは、仕事を楽しむことからはじめるー
(自律する組織共感する組織・思考の質・オーセンティックリーダーシップ)

「船をつくりたかったら、人に気を集めてくるように促したり、作業や任務を割り振ったりせず果てしなくつづく広大な海を慕うことを教えよ」
→意味が理解されメンバーの心の中に内在化されるとはじめて現実の仕事に生きてくる。

自走する組織をつくりたければメンバーが「したい」「しよう」と思える環境をつくる必要がある。
リーダーは意味と希望を伝える人になる。(『WHYからはじめよ』)

意味とは
「その仕事が社会にとってどういう意味をもつか」→『パーパス(北極星)』
「その仕事は自分にとってどういう意味を持つか」→『コーリング(天職・内的な目標)』
※3つの仕事観
ジョブ(義務)、キャリア(出世の道具)、コーリング(天職)

・意味を共有する際に陥りやすい3つの落とし穴
❶意味を伝えればいい(意味は自分ごと化する必要がある)
❷個人の総和が全体になる(組織として一貫性を持たせる)
❸自分の内面を深ぼりすれば答えが見つかる(主体的な意味付けが必要)

・アダム・グラントによる3つのタイプ
①ギバー
②テイカー
③マッチャー
→最も成功するのは主体性を持つギバー(仕事を天職として意味付ける人ともいえる)。
「自分にとって意義のあることを主体的に選択し自分の取り分のためではなく顧客うあ同僚の幸せの為に高い成果を目指す」
→主体性を持つギバーで居続けるためのポイントは初心をわすれないこと、自分の内側とつながること。

✅ー僕たちは、やる気に満ちたチームをつくるー
(自走する組織・行動の質・シェアード・リーダーシップ)

・外発的な動機付けはルーティンワークには効果があるがクリエイティブワークには逆効果になる。
→人にはもともと内なる欲求から課題に取り組む性質を持っておりそれ自体に喜びや充実感を感じて行動する生き物。外部からのコントロールは内なる動機を損なわせる。

※自己決定理論(デシ)
①自分でやりたい
②能力を発揮したい
③人々といい関係を持ちたい
以上3つの心理的欲求が満たされると人は動機付けられ生産的になり幸福を感じる。
報酬はそれと分からないくらい目立たずに与えると良い。

・内的動機付けの元となる心理的欲求
①自律性
人は自ら選択することによって自分の行動に意味付し納得して活動に取り組むことができる
②有能感
自分自身の考えで活動できるとき、それが最適な難易度をもった挑戦となるときにもたらされる
③関係性
人と支え合い貢献し貢献されたいと願う
以上3つが満たされると内発的動機が湧き上がってくる

※知識社会におけるコミュニケーションのパラダイムシフト(傾聴が重要)
伝える(IメッセージでWHYと共に一次感情を伝える)
聴く(想像力をフルに働かせ相手の気持ちに共感する)
問う(オープンクエスチョン、WHYやHOWを用いて相手の意見を引き出す)
共創する(人と問題を切り離し解決策を共創する)

☆総まとめ

◎成功循環モデル
(1)関係の質
ディスカッションとダイアローグでコミュニケートする。
共感デザインと価値デザインで心理的に安全な場をつくる。
(2)思考の質
意味を共有し積極性を変える
したくない→しかたない→しなくちゃ→すべき→しよう→「したい!」
(3)行動の質
内的動機を生み出す
自律性、有能感、関係性という3つの心理的欲求を満たす

◎変革アクションのステップ
①まず自分からはじめる
②自分のことを正しく理解する
③影響の届くところから始める
④小さな成功を育てる
⑤反対者の信頼を得る努力をする
⑥常にチームの希望でいる
⑦共感をつなぎ影響の輪を広げる


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?