小休止#2 2/25(木)単独公演『 焉命 』

約束というものが、あまり好きではありません。

理由は、ふたつ。

約束を守らないとという義務感と、約束を守れなかった時の悲壮感を恐れて要るからです。

とはいえ、ライブというのは約束をして行うものです。

クリスマスに、ライブを発表しました。

毎年行っている誕生日イベントを、翌日行うよ、という約束です。

今年は、ワンマンライブというチャレンジです。

皆様、ご存知かもしれませんが、私は丸裸にされるワンマンライブがあまり好きではありません。

「アーティストなんだから、ありのままを現せよ」

そういう人になりたかったのは確かなのですが、御簾の向こうに在る人でありたいという、身分不相応な考えがあったからでもあります。

その私が、10月14日四谷天窓でこのお話をいただいた時に承諾しました。

理由を少しだけ述べます。

その日は、天窓閉店の発表の日でした。

「これが最後のライブなんだなあ」と、もちろん思いながら歌ったのですが、最後の一音を鳴らす時、ふと、

「私、死ぬときもこんなんなんだろうな」

と思う一瞬がありました。

「なにを歌おうかな、どうしようかな、よくわかんないなあ。でも、終わるんだよな」

そんな、気持ちです。

そこで持ちかけられた話だったので、

「走馬灯が走るうちに、結城綾香という人間を歌い切ろう」と思いました。

会場については、いくつか候補があったのですが、一瞬不義理を働いたにも関わらず、声をかけて受け入れてくれた下北沢Laguna を選びました。

Laguna はずっと5年くらい声をかけていただいて、色々あっても本を交換したり、昼に顔を出したら話を聞いてくれたり。

一番は、

「いつか、絶対届くよ。一緒に届けよう」

とずっと言ってくれたり。

私が「届ける」という点で、原点の考えを与えてくれた場所です。

故に、最終的にこの場所を選びました。

さて、今年、コロナ禍が始まって、ライブで口にしている問いがひとつだけあります。

「あなたは、なんのために音楽をしていますか?」

理由なんてない。ただ、歌いたいから歌う。それが私の本質なのですが、皮を被せて、一番初めに自分で選んだアルバムのアーティストにいつか耳に挟んで欲しいからと言っています。

みなさんは、どうですか。なぜ、音楽を聞きますか?歌いますか?選びましたか?

そして、なにを美しいとして言葉を選びますか?

私は、今、口に出すとかなしくなる理由で美しい言葉を選びます。けれど、それはとても辛いから、別の方法はないかと必死に抜け道を探しています。

来年の、2月25日。

新しい抜け道が、どうか見つかっていますように。

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