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電流学に基づいて公理系について考えてみる(2):Modus ponensの根拠

 『論理学をつくる』の250ページには、APLの公理系を用いてP→Pを証明するプロセスについて説明がなされている。

(1) P→((P→P)→P)
・・・・・・・・・・・・A1
(2) (P→((P→P)→P))→((P→(P→P))→(P→P))
・・・・・・・・・・・・A2
(3) (P→(P→P))→(P→P) 
・・・・・・・(1)(2)からMPにより
(4) P→(P→P)
・・・・・・・・・・・・A1
(5) P→P
・・・・・・・(3)(4)からMPにより

戸田山和久著『論理学をつくる』(名古屋大学出版会、250ページ)

 A1のAにPをBに(P→P)を代入すると、P→((P→P)→P)となる。回路図を描いてみると下のようになる。

図7 P→((P→P)→P)の回路

 この図を見ても分かるように、

(BにP→Pを代入する)=(Bに流れる電流をP→Pによって制御する)

・・・ということである。A→(B→A)は、A、Bがonであろうとoffであろうと常に電流が流れる回路であるから、BがPであろうとP→Pであろうと回路としての体裁を保っていれば全体としてはやはり電流が流れるのである。
 では、次に(2) (P→((P→P)→P))→((P→(P→P))→(P→P))の回路図を描いてみよう。

図8 (P→((P→P)→P))→((P→(P→P))→(P→P))の回路

P→((P→P)→P)が(電流学的)トートロジーであるため、スイッチSは常に解放状態(コイルには常に電流が流れている)となり、上半分の回路には電流が常に流れないことになる。(P→((P→P)→P))→((P→(P→P))→(P→P))が(電流学的)トートロジーであるのならば、回路全体では電流が流れているはずであるから、回路の下半分(P→(P→P))→(P→P)では常に電流が流れているということになる。
 つまり常に電流が流れない回路の上半分を除去しても回路全体では電流が常に流れるということになる。
 さらに単純化してみると図9のようになる。

図9 A→B (A、Bが複合命題の場合)の回路図

Aが電流学的トートロジーならばスイッチSは常に解放状態になる(コイルには常に電流が流れている)。もしA→Bも電流学的トートロジーならば当然Bには常に電流が流れているはずである。つまり回路のX部分を除去しても回路全体としては電流が常に流れているということになるのである。
 このように電流学的にもAとA→BからBを引き出してよいというModus ponens(MP)が成り立つ様子が具体的に理解できるであろう。
 もっとも、そうなるように→(ならば)の”意味”を設定しているからなのだが。

 ちなみに、図9をアースの表示なしに描いてみると下のようになる。

図10 A→B (A、Bが複合命題の場合)の回路図(その2)

(※コイルは電磁石として機能すれば良いので向きはどちらでも良い)






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