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ひな祭りに寄せてーー上巳の節句と遊山箱

今日は雛祭り。皆さまはどのようにお過ごしでしたか?

私の場合ーー

毎年どんなに忙しくてもこの時期にはお雛さまをお飾りしてきました。大したことはできませんが、また1年無事に過ごせたご報告を兼ねて、ご挨拶するという感じでしょうか・・・。

物心ついた頃からのことですので、ずいぶん長いお付き合いになるわけですね😊

3月3日は「上巳(じょうし)の節句」と呼ばれ、五節句の一つに数えられます。もともとは、平安時代の貴族が水辺で禊(みそ)ぎ祓えを行い、「曲水の宴」を催したところから始まったとか。

後に女の子の節句として定着したのだそうです。

さて、先日、ダスキンさんの広報誌でとても心惹かれる記事を見つけました。徳島県に伝わる「遊山箱」というものです。

「遊山箱」ーー何と読むのでしょうか?

「物見遊山」ーー「ものみゆさん」という四字熟語から類推してみましたが、その通り「ゆさんばこ」と読むのだそうです。

旧暦3月3日の頃、持ち手とふたの付いた三段重ねの小さな重箱を持って、子どもたちが野山や河原などに遊びに行き、遊んでは食べ、食べてはまた遊び・・・を繰り返したのだとか。

空になった「遊山箱」を持って行くと、どこの家でもお代わりを詰めてくれたと書かれています。

「中川政七商店の読みもの」というサイトに、「遊山箱」のことがとてもわかりやすく紹介されていますので、よろしければご覧ください。

https://story.nakagawa-masashichi.jp/91588

昭和40年頃まで続いていた風習のようですが、次第に生活の中から姿を消してしまったために、2018年には「遊山箱文化保存協会」という協会が設立され、文字通り「遊山箱」の復活に尽力なさっているとのことです。

私自身が経験したわけではありませんが、4月初旬のうららかな春の日の中で、遊山箱を手にした子どもたちが野山で楽しげに遊ぶ姿を想像すると、心が温かくなりますね。

「晴れと褻(ケ)」がはっきりしていた時代、普段とは違うご馳走を楽しみにして、「晴れ」の日を待つ子どもたちの気持ちがストレートに伝わってくるような気がします。

皆さんは、「行事ごと」にまつわる特別な思い出をお持ちでしょうか?

【参考書籍】

*『喜びのタネまき新聞no.632』     株式会社ダスキン

*『おうちで楽しむ日本の行事』 広田千悦子著 王様文庫 三笠書房

*『新国語総合ガイド』 井筒雅風・樺島忠夫・中西進共編 京都書房

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