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「桂花三昧」はいかが?

桂花(金木犀)にまつわるブログ3編をまとめてみました。

私の好きな花(2020.9.29)

「私の最も好きな花」ーー「桂花(guihua)」です。日本語では金木犀。

初めて金木犀の花を見たのは確か小学生の頃。何故か切り花として、家の中で見た記憶があります。その可憐な、ミルクオレンジ色(と勝手に思った)の花びら、そして、何よりもあの甘い香り、全てが「使我入神了」。

そういうで訳で、このnoteでも迷うこと無く「桂花」と名乗ることにしました。

今も秋風が吹くと気持ちがソワソワし始め、どこからか金木犀の香りが風に運ばれてくるのを心待ちにしています。緑の葉っぱの間にこぼれんばかりに咲くオレンジ色の花を見るのもワクワクしますが、例えば、教室で授業をしている時に、ふんわりと漂ってくる甘い香りに、言いようのない幸せを感じたりします

中国・杭州市の「市花」は金木犀とのことですが、彼の地では「中秋節」の頃、「糖桂花」と呼ばれるお菓子が出回ると本に紹介されています。(『西湖揽胜』浙江人民出版社編 参照)残念ながら、私は見たことがありませんが、是非一度味わってみたいものです。

ところで、先日、テレビで「金木犀の花のジャム」が取り上げられていましたので、すぐにお取り寄せしてみました。「金木犀を食べる」という発想はなかったので驚きましたが、あの可憐な花が黄金色のジャムの中に輝いていて、感動しました。食べるのがもったいなくて、観賞用としてずっと飾っていたいぐらいです。(もちろん食べています😊)

今年はまだ、金木犀の香りには出会っていませんが、このジャムのお蔭でいつもの年よりも少し早く、そして少し長めに「桂花の秋」を楽しむことができそうです。

中秋の日にーー桂花の伝説(2020.10.1)

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10月になりました。今日(10月1日)は中秋(旧暦8月15日)。満月になるのは明日(2日)の早朝とのことですが、今夜は素敵なお月見ができればいいですね。

今日は漢詩ではなく、中秋と桂花の、ロマン溢れるお話をご紹介します

杭州名産「糖桂花」をご紹介した本で見つけました。

杭州で金木犀が栽培されるようになったのは唐、宋の時代。その基になった民間伝説があるそうですので、ここでご紹介します。

唐の時代、杭州の霊隠寺の徳明という和尚さんが、中秋の夜、突然雨音を耳にし、門を開けて見ると、お月様から無数の真珠のようなものが落ちてくるのが見えました。急いで山に登ってたくさん拾い集めました。

翌朝、師匠である智一長老にこのことを話すと、長老は(拾ったものを)よく見て、こう言いました。

「これは恐らく、月の宮殿の呉剛(ごこう)が桂樹を伐った時に振るい落とされた『桂』の実じゃ。」

そこで、二人はその色とりどりの小さな粒を寺の山の斜面に植えました。

翌年の中秋節、「桂樹」は丈高く、大きく育っただけでなく、その枝には、芳しい香を放つ、いろいろな色の桂花が咲き誇っていたのです。

徳明和尚は、それぞれに「金桂」「銀桂」「丹桂」「四季桂」と名付けました。

お月さまから落ちてきた色とりどりの真珠のようなものーー幻想的な光景ですね。想像するだけでも、楽しくなってきました。

さて、今夜のお月さまはどんなふうに見えるのでしょうか?皆さま、ゆっくりお月見をお楽しみくださいね

【参考書籍】『西湖揽胜』浙江人民出版社编


桂花と風(2020.10.16)

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桂花盛开的时候来了!

昨日はまさに「桂花の季節」でした。職場のあちこちの金木犀の木にオレンジ色の花が溢れ、あの甘い幸せな香りが辺り一帯に漂っていた1日。

嬉しくて、授業の最初に金木犀について話しました。あんなにたくさん咲いているのに、気づいていない生徒が多いことにもびっくりしました。花には興味が無いということでしょうか・・・。もちろん笑顔で頷いてくれる生徒もちらほら!

そういう私自身も昨日、新たに発見したことがあります。

今の職場に移って10回目の秋を迎えましたが、こんなところに金木犀の木があったなんて!!と初めて気づいた場所がいくつもありました。(駅前の道でも発見!!)

きっと昨年までは忙しすぎて、この季節も、ほんの少し香りを感じるだけで何となく通り過ぎていたのでしょう。何かを感じ取るには、何よりも心のゆとりが必要なのですね。

もっと近くで香りを味わいたいと、直接花に顔を近づけてみても、案外香りが感じられないのに、少し離れると、風が吹く度に幸せな香りに包まれていく・・・。

そうなのです。どんなに素敵な香りであっても、それを運んでくれる風が無ければ周りの人には届かないということにも気づきました。

自分は、誰かの魅力を必要な人に届けるような働きをしているでしょうか。できればさりげなく、そんな働きができる風のようでありたいと思います。

目の前にあっても気づかないことはたくさん!いかにそこに目を向けるのかが大切なのですね。

日頃はそれほど目立たなくとも、必要なときに、そして必要とされるときに、香り立つ存在でありたい、と自分自身のあり方を顧みた1日でした。

たとえ1年に1回でもよいから、自分なりの存在感をもち、誰かの役に立つことができれば何よりの幸せです。

人を幸せな気持ちにさせる桂花の存在感とその魅力を周りの人に届ける風の力ーーどちらも大切で、欠くことのできないもの。これからの私の目標になりそうです。

来年また金木犀に出会う頃には、もう一回り成長した自分でいられるでしょうか。

そして、いつの日か、桂花咲くこの季節に杭州や桂林を訪れ、桂花の香りに包まれてみたいという願いも一層強くなった1日でした。

谢谢桂花,明年秋天再见吧!


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