KDPで設定資料をリリースしたけど色々大変だったよっていう話
KDPで設定資料をリリースしたけど色々大変だった
ふと思い立ってKindleで電子書籍を出したくなった。ふと、とかなんとか言いつつ理由はある。先日出来心で中古販売アプリで「ファタモルガーナの館」を検索してしまった。すると高値でやり取りされているTHE BOOKを見つけてしまい(それ以外にも頭を抱えたい出品はあったが)せめてなんとかしたいと思い、Kindleに出品出来たら手に取りやすくなるかもと考えたのがきっかけだ。たぶん、中古販売で高値でも入手する方は電子ではなく物理版が欲しいのだと思うので、根本的解決には至らないのだが、物理版を再販するには刷り部数を考えるとコスト的にあまりにも厳しいので、せめてもの対策というやつである。
既にTHE BOOKはBOOTHで電書版をリリースしているので、このPDFデータをそのまま持っていけば楽勝だろう~とまあそんなことを思っていた時もありました。もう2020年間近なのだし手軽にぱっと電子書籍が出せてもいいだろうに、そうは問屋が卸さない。電子の幕開けはまだなのだろうか。
電子書籍マスターの方々からすればやり方が素人過ぎて生温かい微笑みを向けられそうだが、他にも同じところで躓く人もいるかもしれないし、備忘録としても残すことにする。
躓いたこと一覧
・原稿がアップロード出来ない
・「ファイルの言語が、本の設定時に選択された言語と一致しません」
・配信コストが高すぎてロイヤリティがゼロ円
以下が長すぎて結論だけ知りたい人は、PDFデータを持っているならKindle Comic Creatorでmobi出力してください。以上。
最初に躓いたこと
原稿がアップロード出来ない。
Amazon曰く、Kindle 本の推奨フォーマットは、「.doc、.docx、HTML、Mobi、EPUB、RTF、プレーン テキスト、および KPF」とのことで、AdobePDFは一応対応しているけど推奨出来ないよ! という感じ。推奨されてはいないが手持ちがPDFなので、まずはトライしてみた。
結果、意外にもアップロードは出来た。しかしプレビューで大崩壊した。推奨されていないしまあこれは想定内。
次にhtml。言われた通りにマテリアルとhtmlをzip化してアップしてみるが通らない。何度か手を変え試すがやはり通らない。他にも対応フォーマットがあるのでいったん横に置くこととする。
EpubはどうやらInDesignから出力出来るらしい(Dreamweaverからも出来るっぽいが試してない)と知り、これを試してみることに。しかしDTP関連はさっぱりなので、操作を調べつつやる。PDFを取り込むために使用したのはPlaceMultipagePDFというスクリプト。 Window > Utilities > Scripts > Application > Samples > JacaScript にあった。
若干レイアウトが崩れたものの、幸い簡単に修正出来る範囲だったので、ひとまずInDesign上で原稿を表示するところまでは来た。これをEpub形式で出力し、表示が崩れていないことを確認して、これならいけるやろとアップロード!
「ファイルの言語が、本の設定時に選択された言語と一致しません」
なんだって……?
ファイルの言語が、本の設定時に選択された言語と一致しません
という文言と共にアップロードが弾かれてしまった。調べてみたところEpubのcontentにあるlanguage形式がenになっているらしい。じゃあ書き換えればいいかって思ったものの、ググり先の記事によれば一度epubの拡張子をzip化して中身を取り出して書き換えてから再度中身をまとめてzip化して云々となんだか面倒なことが書かれている。ええ……、Epub面倒臭すぎない……?
(追記:あとあと考えたら日本語フォントをどこかに置いておけば、日本語のEpubデータになったのかもしれない)
さすがに他にやり方があるだろうと思い、次はmobiとかいう見慣れないフォーマットに挑戦してみることとする。
結果的にこれで良かった(ちなみにmobiはMobipocketの電子書籍用フォーマットらしい。知りませんでした)のだが、ここでも一悶着あった。
Kindle Kids Book Creator じゃダメで Kindle Comic Creator なら良い(さすがに罠では?)
mobiを作るにはKindle previewerがお勧めのようだったが、Kindle Kids Book Creatorという児童書作成ツールならPDFから引っ張ってこられるようなので、一番楽そうだと思いDL。さっくりとPDFからmobiファイルが作れてしまった。やったぜ!
今度こそいけるという希望とともにKDPのアップロードをポチっとする。待つことしばし、出てきた結果は……
「ファイルの言語が、本の設定時に選択された言語と一致しません」
またおまえかー。
このあたりで心が折れかかってきたが、そういえばKindle Comic Creatorとかいう違うツールがあったなと思い出し、ここまで来たら物は試しとDLしてみることにした。
構造は大体同じだ。やるだけ無駄かなと思いつつ設定を進める。と、本の言語選択で新たな選択肢が現れた。ここにKindle Kid's Book Creatorでは選択出来なかった言語――そう我等が日本語である――が存在した。まさかとは思いますが、あなたが鍵だったのでは?
どうやらKindle Kids Book Creatorでは日本語はサポートされておらず、Kindle Comic Creatorなら大丈夫なようです。
先に言ってよそういうことは。
これは罠だったなあと思いながら、Kindle Comic Creatorの方でmobiファイルを作る。KDPにアップロード。ファイルの準備時間がやたら長い。待つこと数分――――アップロードが完了した。
第一戦が終わった。
ロイヤリティはゼロ円だよ!
ついにデータが出来た。プレビューワーで見ても崩れていない。ようやくスタートラインに立ったのだ。
簡単に出来ると思い込んでいただけに息切れ気味だが、プレビューワーでそれっぽく表示されると少し嬉しい。あとは価格を設定して出版だ!
……ん? ロイヤリティプランの選択?
ロイヤリティの選択とかいう項目が出てきた。何が違うのだろう? まあ、そりゃ多い方が良いに決まっている。とりあえず70%で進めてみよう。
選択してみると、~9.99ドルまでという価格縛りが出てきた。説明を読むと、35%の場合はロイヤリティが低いものの配信コストがかからず、70%の場合は価格縛り+配信コストがかかるというものだった。9.99ドルが上限というのは設定資料集の元値を考えると厳しいなあ、まあ配信コストといっても一冊にあたり数十円、いったとしても200円までかなあ、それならありなのかなあ、と思いつつ試しに9.99ドルで設定してみる。
配信コストは12ドルでした。
販売価格より高い……だと……?
みんな大好きロイヤリティはゼロ円(どころかマイナス)だよ!
そういえば資料集は230Pという鈍器的なページ数に加え、口絵がカラーなのだった……。
おかげでデータサイズが膨らみ、配信コストが想像以上にかかるという結果に(とはいっても印刷データから電書用に圧縮してもらっているし、80Mくらいしかないんだけど。それでもKDP的にはデカすぎるのだろう)。
mobiの圧縮方法を間違えていて、実はもっと軽く出来るのでは? と思った時もあったが、漫画をセルフパブリッシュしている方々も70%のロイヤリティに出来ずに辛酸をなめているようなので、どうしようもなさそう。
なんか、たまにものすごく画像が粗いkindle本にぶちあたることがあるけど、あれって配信コストを下げるために試行錯誤した結果だったんだなあ。あと、美術本や写真集のKindle本が少ないのも配信コストの問題があるんだろうなあ……。
ファイルサイズが大きい電子書籍は気をつけよう
頭を抱えたが35%のロイヤリティを飲むことにした。どうあがいてもファイルサイズは圧縮出来ないし(極限まで解像度を落とせばファイルサイズ自体は落ちるだろうけど、そんなガビガビな画像になった電子書籍を誰が喜ぶか?)そもそもの目的は「手にとってもらいやすくする」なので、ロイヤリティは低いけど、これで良しとする。ロイヤリティは低いけど。
とりあえずTHE BOOKはチャレンジ精神でもってリリースしてみるが、THE ARTの方は分からない。まだ物理版もあるし、暫くは考えないと思う。KDPがどれくらい手にとってもらえるか次第かなあ。
ティルナノーグとかはさくっと出せるかもしれない。
今まで書いたSSとかもまとめられたら良いんだけど、特典で書いたものも多いので、権利的に分からないものが多い。方々に聞いて回らないといけない。
そんなこんなでKindleで設定資料をリリースしたけど色々大変だったよっていう話でした。
でも良かったらBOOTHで買ってくれたら嬉しい。(価格も少し安い)
でもでも更に本音を言うと、2013年に書いた資料集なので、恥ずかしい。価値観が古いなあと思う発言が多い。
人間、6年も経てば色々変わるので、腹の立つ発言があったとしても寛容な心でご容赦いただきたい。
Amazonセラーアカウントもそのうち試したい。
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