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機械学習を用いた配線寄生パラメータ解析手法


論文タイトル

Prediction Procedure of Parasitic Parameters Considering Laminated Bus Bar Geometries Based on Online Machine Learning

書誌情報

IEEE Open Journal of Power Electronics, 2023年6月, Volume 4, Pages 442-449

著者氏名,所属

  • Ryosuke Shigetomi,, Tokyo Metropolitan University

  • Keiji Wada, Tokyo Metropolitan University

論文概要

本論文では、SiCおよびGaNパワーデバイスの高速スイッチング回路を対象として、DCコンデンサとパワーデバイス間のバスバーの寄生インダクタンスが高周波スイッチング回路に与える影響を評価するための寄生パラメータの予測手法を提案する。従来の有限要素解析(FEA)に基づく手法は計算時間が長い・FEAソフトウェアの使用が難しいという問題があるため、オンライン機械学習を利用して複雑なバスバーの幾何学的構造を簡便かつ迅速に考慮する新しい手法を提案している。この手法では、FEAに基づくデータセットを用いたXGBoostによる機械学習を行い、DCコンデンサやパワーモジュールを接続するための二つの開口部を持つ積層バスバーの寄生抵抗、インダクタンス、キャパシタンスを予測する。

論文の主張点

提案された手法により、複雑なバスバーの幾何学的構造を簡便かつ迅速に考慮した寄生パラメータの予測が可能となり、従来のFEAに比べて計算時間を大幅に短縮できる。

背景

広帯域ギャップパワーデバイス(SiCやGaNデバイス)は、高速かつ高周波数のスイッチング操作を実現し、スイッチング損失や体積を削減するために開発されている。しかし、バスバーの寄生インダクタンスやキャパシタンスがスイッチング波形においてサージ電圧やノイズの原因となるため、バスバーおよびパワーモジュールの設計の最適化が重要である。

研究の手法

提案された手法では、XGBoostを用いたオンライン機械学習により、複雑なバスバー構造を持つ積層バスバーの寄生抵抗、インダクタンス、キャパシタンスを予測する。バスバー構造の変数と周波数を入力データとして、FEAに基づく大規模なデータセットを用いて機械学習モデルを作成する。

結論

この研究により、機械学習モデルを用いることで、FEAの知識やスキルがなくても、複雑なバスバー形状を考慮した寄生パラメータを迅速かつ容易に予測できることが示された。この手法は、様々な配線パターンにも適用可能であり、電力変換回路におけるサージ電圧やスイッチング波形の振動を抑制するための対策を講じるのに有用である。

論文の位置づけ

寄生パラメータの予測手法に機械学習を適用することで、設計プロセスの効率化と精度向上に貢献する点で重要である。

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