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2年連続で米国3冠のメタバース先導者「ROBLOX」を改めて整理

1月中旬にモバイル市場年鑑2022が発表され、色々読み込むと同時に、自分なりの消化のために追加調査〜整理を行ったことのメモ書きシリーズです。

前回、モバイル市場の中で最大のシェアを占めるゲーム市場をマクロ的に振り返りましたが、その中で際立って目についたのが「ROBLOX」でした。

ROBLOX - 2年連続で3冠の衝撃

メタバース・NFTのバズキーワードしか耳に入ってこない最近。そんな中でメタバースの先導者とも言われるROBLOXが2021年トップゲームランク米国市場にてアプリDL数・消費支出・MAUの全てで3冠を取り、全世界でも全て3位以内でした。ちなみに、2021年だけ凄い訳ではなく、ROBLOXは2020年も同様に米国で3冠でした。

モバイル市場年鑑2022を基に筆者作成
モバイル市場年鑑2021を基に筆者作成

メタバースが騒がれているからかもしれませんが、過去のトップゲームとは違う新鮮さを感じました。もはや「一般教養」としてROBLOXを知っておくべきでしょうって事で、既に色々な記事があることは承知しつつ、自分の勉強及びROBLOXインサイトを導くための「下調べ」として改めて整理しました。

ROBLOX上場説明内容から彼等を整理

以下は上場時のFORM S-1、2021年2月のROBLOX Investor Day 説明内容 及び 2021年Q3 IR・2021年11月 IRを基に筆者が作成したものです。参照リンクはページ下部に貼り付けておきます。

ポイント
1)ユーザー生成コンテンツのプラットフォーム
2)プラットフォームはソーシャルの場
上記故に、ゲーム版のYoutubeと表現されることが多い

これはまさに2019年に著名VCのa16zが示唆した感じで、ROBLOXは次世代ゲームの王道を突き進んでいる感じですね。

引用:State of Play: Six Trends Revolutionizing Games より筆者作成

ROBLOX経済圏を支えるユーザー

上場時の説明内容(2020年9月時点)ではグローバルDAUが3,110万でしたが、わずか1年超足らずの2021年11月にはDAU4,940万人に爆増している点は、社会的なトレンド等もあるかもしれないけど勢いを感じますね。更に、個人的にかなり衝撃だったのがユーザーベースのお話です。

ポイント(2020年9月時点)
・ユーザーの大半が子供(70%は16歳以下、54%は12歳以下)
・性別の偏り少ない
・約67%は北米以外
・モバイルが72%を占めるが、クロスプラットフォームが特徴

そして、更に驚いたのはFY19 → FY20でのユーザーベースの変化ですね。

ポイント(2020年9月時点)
・北米以外の成長率の方が高い(EU 94% / APAC 71% / 他 108%)
・13歳以上のユーザー層が倍増(106%成長)

この辺にROBLOXの更なる成長可能性を感じますね。上記は20年9月時点で、2022年1月時点で既に1年3ヶ月経過しており、DAU31m → 49mに爆増の中でユーザー層も更に変化しているものと推察します。おそらくは上記2点が更に進展したのではないかなと推察します。

ビジネスモデルと収益内訳

ビジネスモデルは資料を読み込んだ感じでの概念図なので細かい点は抜けているかもしれませんが、僕的なポイントはアプリストア経由の収益割合を知れればOKでした。クロスプラットフォームが特徴的なので、アプリストア割合が20% or 50% or 80%なのかでは、データ分析〜インサイト作りが大きく変わってきます。また、Epic Games等 vs App Storeの背景もあるので、ROBLOXの状況を知りたかったですね。答えは丁寧にForm S-1に明記されていました。

For the twelve months ended December 31, 2019, 30% and 18% of our revenue were generated on Apple App Store and Google Play Store, respectively. For the nine months ended September 30, 2020, 34% and 18% of our revenue were generated on Apple App Store and Google Play Store, respectively

ROBLOX - REGISTRATION STATEMENT ON FORM S-1

iOSが30% → 34%に増えている点は、国際的・13歳以上のユーザー増加(主に先進国のiOSユーザー層)に伴う処も起因しているのかなって推察します。Google Playの18%に変化がない要因としては、国際的なユーザー増加でもAndroidユーザーが多い発展途上国の場合、彼等の多くはアプリ課金への貢献は低いからだと推察します。
因みに、この20年Q3 → 21年Q3の1年で収益が$252m → $509mに倍増している点はもう何度驚けば良いのでしょうか?って感じでマヒしています。

検索トレンドと株価の変化

FB社がmetaに社名変更した頃から社会的にメタバースがバズワードになっているので、既に多くの人がやっているだろうけど自分もGoogle検索トレンドとメタバース関連4社の株価の相関性、その間のROBLOXの企業努力を一応確認しました。

目を引いた点
1)FBによる「meta」への社名変更とメタバースへの舵転換は社会的インパクトが大きく、この時にメタバースが世の中に一気に広まる。
2)ただ、当のmetaの株価が大きく変動しない中で、NVDAとRBLXが11月以降で一気に上昇。
3)ROBLOXに関しては、3Q決算発表をマーケットが好感した事が大きいと推察するが、検索トレンドを見ると11月中旬にもスパイクしている。

以下の企業努力の影響?
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11月18日:
NIKEがROBLOXで体験できるNIKELANDを発表。
11月19日:
Investor Dayを開催し、ROBLOXが教育や音楽などの新市場への進行していく事を説明。加えて、今後3〜5年の間に多くの消費者ブランドがROBLOX戦略を必要とする考えも説明。

Youtuberの状況

今やゲームとSNS(コミュニケーション)はセットで、ゲーム実況系やTiktok for Games、Discord、Twitchなど挙げればキリがないですが、ROBLOXユーザーの大半が子供ってことでYoutubeも一応チェックしました。その中でもROBLOX配信では日本代表!と言っても良いかと思う「かんあきチャンネル」、2022年1月時点で337万人の登録者数って….この一連の調査で驚きがマヒしています。

以上が「ROBLOXの下調べ」です。もちろん、実際にRobuxを購入してプレーしたりもしています。ここから彼等のモバイル実態に迫りインサイトを導くのが僕のお仕事ですが、それらは割愛します。また、メタバース関連をモバイル視点から考察するウェビナーとかでお話する機会があればと思っています。

番外編(1):アバター系アプリ需要増加

モバイル市場年鑑2022に興味深いインサイトが載っていました。アバター生成コンテンツやバーチャルライブ配信アプリのDL数が増加しているようです。この辺は2021年秋以降のメタバースバズワード祭り以前の2020年Q2以降でDL数が盛り上がっているので、巣篭もり需要の影響が大きく、その流れ中で追い風が加わった感じでしょうか。

モバイル市場年鑑2022を基に筆者が作成

以前からあったZEPETOアプリは、気付いたらアプリ名称に「メタバースで遊ぶ」って入ってますね。

番外編(2):REALITY

上記でも掲載されているREALITYは日本発グローバルで活躍するメタバース系サービスの急先鋒として期待しています。
因みに、REALITYのDJ RIOさんのメタバース解説+note記事は参考になりました。ありがとうございました。

この解説をみた上で、REALITYやROBLOXのポジショニングを整理するとこんな感じでしょうか。市場規模が大きいゲームから入っていくってのは納得感ありますね。NFT関連は話が長くなるので割愛です。

DJ RIOさん解説動画+noteを踏まえ筆者作成

メタバース・NFT関連は学ぶ事だらけで楽しいですね。
以上、またnoteで会いましょう。

参照リンク


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