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中小Dgsは小さい船なんです

若手従業員のお話

今年の春先
3年目の化粧品販売の女性
どうやら上から登録販売者試験を受けるように指示された模様で、どうやって勉強したらいいのかアドバイスをってことでした。

今までまったく関係してこなかった分野ですので、出てくる単語の意味すら分からないし、いろいろ教えてほしいとのことでした。
試験は夏ですので時間的に余裕はない、そして知識もほとんどない状態。どうしたもんかと思ったのですが、次のようにアドバイスしてみました。

「過去問がスマホでいくらでも見れるから、わからなくてもなんでもとりあえず過去問やってみる。で、わからない単語とかがでてきたらテキストとかで勉強する」
「本番でどうしてもわからなかったら鉛筆転がす」

試験に合格して資格取得だけが目的ならこれが最短かなと。このように話していると、どうも顔色的に腑に落ちない納得してない顔だったので、後日またお話してみました。

大企業と中小企業の違い

経験上、上司からの指示は「登録販売者試験を受けなさい、資格取得を目指すように」だけだったんだと思います。想像は尽きますし、実際そうだったようです。でも彼女は化粧品販売員として入社して担当に従事していますので、「なんで?」という気持ちがあったのかもしれません。そこでこんなお話をしてみました。

会社をガレー船に見立てると(奴隷船のたとえってヒドイけど)、大企業の船には漕ぐ人がたくさんいて、針路を決める人、見張り役の人、食事を作る人、いろんな役割の人がそれぞれいます。彼らは自分の役割について技能を磨き深めることで船全体のパフォーマンスがあがるので、役割に集中すればよいです。舟をこぐのだって極めればさほど力を使わずに長時間こげるようになるでしょう。大きな船はこれでいいのです。

しかし、中小企業の船はちがいます。
そもそも小さい船で、漕ぐ人も含めて乗組員が少ないです。
見張りの人だって漕ぐ力が足りなければ手伝わないといけませんし、船長が食事を作らないといけないかもしれません。たくさんの役割をこなせないと船自体が前に進まないのです。

だから、我々中小企業は個人がいろんな役割をできないと成り立たないんだよと説明しました。あなたもいろんな役割をこなしていってほしいと会社は考えていると。もちろん大企業のすべてがそうじゃないかもしれないですし、中小でも役割をしっかり分けていらっしゃる場合もあるでしょう。でもこの会社の針路は多能工化なんだと、専門的になにかを極めたいのであれば他社に移るしかないとまで言っておきました。少しは納得してくれたようなので嬉しく思いつつ、これをちゃんと説明しない上層部もどうなのかなというなんともいえない気分でしたけど。

その子は夏に異動で店舗を移りました。その後のうわさで60%弱の成績で今年はダメだったと聞きました。でも本当のゼロからスタートして数か月でこの結果なら来年は問題なく受かりそうです。今度会う機会があったらよくがんばったと言ってあげたいと思います。

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