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順位決定方式「TQB」とは?

 2020年のプロ野球が開幕して早1か月。開幕時には新型コロナウイルスの感染拡大も一時に比べて落ち着いてきた印象でしたが、ここに来てまた安心はできない状況になってまいりました。このままプロ野球シーズンも平穏に終わることができるのか、心配ですね。

 そんな中、プロ野球のコロナウイルスの感染拡大への対応策として、7月6日の西日本スポーツの記事にこんな内容が出ていました

新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむを得ず打ち切る場合の優勝チーム決定方法は、検討を続ける。同勝数だった場合のTQB(得失点率)採用の是非などが議論されている。

TQBは“Total Quality Balance”の略。どういうものかはスポニチの2010年の記事が分かりやすく書いてくれております。

「得失点差率」とでも呼ぶべき指標。1イニング平均得点から1イニング平均失点を減じた数値で小数点第3位まで割り出す。

数式にするとこんな感じ。

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チームごとに算出し、数値が大きい方が優れていると判断します。サッカーなどの得失点差とは異なり、得点と失点をイニング数で除するところが特徴。攻撃が8回で終わる試合もあれば、守備を12回までやるケースもあるので、イニング数で割ることで、イニングごとの平均得点・失点で評価する形式です。

 スポニチの記事にも書かれているように、交流戦の順位決定方式でも、最高勝率で同率のチームが生じた場合に順位を決める基準として入っております。元々はプレミア12などの国際大会向けに作られた基準ですが、交流戦では同率首位が生じたことがないため、あまり話題には上らないように感じます。

 しかしですね、2020年の日本シリーズが開かれるのは11月21日ごろに、また新型コロナウイルスの感染拡大が起きているかもしれません。チーム内でクラスターが発生し、シリーズを続行できない、なんてことも最悪はあり得るわけです。
 仮に日本シリーズが開幕したはいいものの、勝敗数が同数の状態でシリーズを打ち切ることになった場合、日本一チームの決定はどうするの?という問題が生じます。決め方の候補として、冒頭の記事にあった「TQB」が上がっているというお話です。

実際にTQBで順位決定すると
 2016年の日本シリーズを例に、TQBを適用してシリーズ途中で打ち切るとどうなるか見てみましょう。
 この年の日本シリーズは、大谷さん擁する日本ハムと、25年ぶりに日本シリーズに出場した広島の間で戦われましたね。初戦・第2戦を広島が連取した後、日本ハムが4連勝し、4勝2敗で日本一に。第5戦の西川選手のサヨナラ満塁本塁打は度肝を抜かれました。

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 さて、この年の日本シリーズを第4戦終了時点で打ち切らなければならなくなったと仮定しましょう。第4戦が終了した時点で、両チームとも2勝2敗であり、勝率だけで優劣はつけられません。
 そこでお待ちかね「TQB」の出番であります。

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 2勝2敗の時点で得点が失点を上回った広島が日ハムより優れたTQBを上げており、この時点でTQBを基準にすれば、\広島優勝/(1984年以来)だったわけであります。

おわりに
 
日本シリーズで勝率同率の時点で打切りの場合、というかなり限定的なケースでの基準として候補になっているものであり、大騒ぎするような話でもないとは思います。とはいえ、今後の感染拡大が見通せない中、様々な最悪なケースを想定しながらNPBも準備しているということだけは、私には伝わりました。TQB適用して日本一を決める、なんてことにならないように、手洗い・消毒・3密回避で頑張りましょ。


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