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【一万円選書①】歌集 滑走路

この度、「いわた書店」さんの一万円選書に当選致しました。
(2024年3月期)
ご選書頂いた書籍のレビューを書いていきます。

最初は 「歌集 滑走路」(萩原 慎一郎さん著:角川文庫)です。
詩集や歌集は今まで殆ど手に取ることはありませんでした。
初めて手にした歌集が萩原さんの歌集であったことに運命を感じています。
中学生時代に受けたいじめ。
親御様を思う優しいお気持ちからか、誰にも打ち明けられなかった苦しみや悲しみ。
勝手に想像させて頂くに、そんな渦巻く思いは自分にしかぶつけられず、「短歌」に思いをしたためられたのではないかと。
そんな背景を自分の学生時代の思い出に重ねながら、一首一首、一文字一文字追うように読み進めていきました。
自分の中学生時代の辛かった日々を、萩原さん、そして萩原さんが紡いだ歌に投影しながら…
萩原さんのあとがきを読んだあとに、改めてひとつひとつの歌を丁寧に何度も何度も繰り返して読んでいきたい。

すべての歌が心に染み入りましたが、ひとつ挙げます。

“叩け、叩け、我がキーボード。放り出せ、悲しみ全部。放り出せ、歌。”

歌集 滑走路(P98)

ぶつけようがない思いをご自身の言葉に投影して、キーを打ち込んでいく。
言葉に投影することが出来た萩原さんを羨望の眼差しで見ている自分もいる。
萩原さんを苛めた同級生に深い深い憎しみが溢れてくる。
しかし、そんな憎しみを思いながら読んでしまっては、せっかくの歌が淀んでしまう。
純粋な気持ちで、今後も折に触れて何度も読んでいこう。


今回のご選書で萩原さんのご著書に出会えたことを心から感謝申し上げます。


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