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儀式①

目の前で逮捕状を示される。

何と書いてあったのかはほとんど覚えていません。
覚えているのは黒い明朝体の太文字で「逮捕状」と紙面上部に書いてあったことくらいです。その書体も黒く恐怖を感じるものでした。

取調室にはいつの間にか4人の警官。
この時に暴れたりする者もいるのでしょう。

「両手を前に出して。」
抵抗しても仕方ないので、素直に応じることに。

初めてかけられる手錠。同時に腰縄も打たれます。

どこかで見たことのある光景。
「あ、テレビでもこんな感じだったな。」
まさか、自分にその場面がやってくるとは。

よくよく手錠のかけられた自分の腕を見ると、惨めなものです。
「これから、このまま生活するのかなぁ・・・。」

しかし、そんな不安はよそに、数分後には手錠を外されます。

一説によると、ここで犯人のモチベーションを下げ、ここからの捜査や取り調べに対し常に警察優位であることをわからせるための儀式だと書いてある書物もあります。確かにこの時の絶望感といったら半端なものではありませんでした。

手錠は外されるのですが、腰縄はそのまま取調室の机に結びつけられます。
外した手錠(腰縄につながっている)も自分が座っているパイプ椅子にくくるようでありますが、この警察署ではそこまでせず「ポケットに入れておいて」と言われるだけでした。

引き続き、<弁解録取書>と逮捕後の<供述調書>の作成に移ります。

ここから初めて<黙秘権>の行使について説明を受けます。
要は言いたくないこと、話したくないことは言わなくていいという、憲法で保障された権利のことの説明です。

それと一緒に担当刑事から
「早く自白すればすぐに出られるから、積極的に話して欲しい。」
と伝えられます。

この発言には正直驚きました。
言い換えると、「やったことにして認めてくれれば、釈放するよ。」と言っているのです。

ますます、警察に対しての不信感が増していきます。こうして冤罪が生まれていくのかもしれないと。

確かに家族がいたり、仕事の関係でどうしても勾留されたくないという人であればその提案になびく人もいるかもしれませんが、それって間違っていると思います。

捜査当局は私が犯人だという証拠をもとに逮捕してきたのですが、この時点で実際の証拠が示されていないので何とも言えません。

そんな中、逮捕されてからの取調べは一気に過酷なものとなりました。

担当刑事は
・大声で怒鳴りながら「お前を有罪にできる証拠は揃っている。」
・姿勢について強要する
など、机こそ叩くことはありませんでしたが、違法な取調べが初日から行われました。
これが任意と強制の違いかもしれません。

【参考】
警察捜査における取調べ適正化指針

今日は<弁解録取書>と逮捕後の<供述調書>を作成しました。
行動履歴については思い出せる範囲で述べ、事件についての関係は全て否認。その上で署名指印をして終了。

時刻は夕方5時を回っていました。
留置場への収容手続きに移るのですが、ここでまた問題が発生するのです・・・。

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