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グータッチ

のび切った髪もスッキリとカットしてもらい、次は弁護士先生との打ち合わせです。時計を見ると、すでに夕刻。外は帰宅のサラリーマンが徐々に増え、その光景も久しぶりに感じます。

弁護士先生の事務所に到着。
受付の方が応接室まで案内してくださりました。

歴史のある事務所のようですが、今時のオフィスで少し緊張しました。

大きな机の上には薄い飛沫拡散防止用のアクリル版がありましたが、留置場に設置されているものとは厚さも透明さも段違いです。

しばらくして、私の事件を担当していただいている弁護士先生が満面の笑みで入ってこられました。
何度もお会いしているはずなのに、何だか初対面のような不思議な感じがします。

今回の保釈決定を互いに喜び、アクリル板の隙間から直接のグータッチ。
今まで、私はこの『グータッチ』に何度も何度も助けていただきました。

過酷な取り調べと終わりが見えない勾留で心が折れそうだった時、二人きりの留置場面会室で、別れ際にこのグータッチを交わすことが「明日も頑張ろう!」という気持ちの確認でした。
留置場の薄汚れたアクリル板越しでしたが、心に大きな勇気が生まれ、ここまで何とか困難を乗り越えることができました。

一旦これまでの弁護費用を精算し、公判前整理手続に向けた打ち合わせに入ります。本日保釈されたばかりですので、大した内容の話はありませんでしたが、留置場とは違う雰囲気で会話も弾みました。
これから捜査機関が集めた証拠が次々と開示されていきます。期待と不安が入り交じりますが、前を見据えてやっていくだけです。

当然、有罪率99.9%の壁に挑戦することは容易いことではないです。
ですが、私は最後まで無実を訴えていくつもりです。
やってもいないことを「私がやりました」とはどうしても言えません。
その気持ちはこれからも変わることはないでしょう。

初めて先生のオフィスで行った打ち合わせが終わり帰宅の途に。

久しぶりに行きつけのたこ焼き屋へ寄り道。
(住んでいるところがバレますね 笑)
これが釈放後、初めて食べる食事です。

勝手にタコパ(たこ焼きパーティー)ということで一緒にビールも注文。
アルコールも1ヶ月ぶり。久しぶりすぎなので飲めないかと思いましたが、すんなり飲めました。
「めちゃ、ウマイ!」

明日からは保釈条件にある<制限居住地/実家>での生活です。
実家は飛行機で2時間近くかかる北の地です。

大好きな土地を離れるのは少し寂しいですが、実家には20年以上離れて暮らしている年老いた親がおります。

そう考えると「これも何かのめぐりあわせかも」。

そんな気がしました。

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