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保釈「保証金」の話

山口地方裁判所は4630万円の誤送金事件において、7月27日付けで被告人の保釈を認める決定をしたと報道がありました。

この被告人に対しては弁護人からの勾留取消の準抗告を受け、3度目の再逮捕での勾留は取り消されていましたが、それ以前の起訴における勾留は続いていました。被告人側からの保釈請求ついて地検は不服を申し立てましたが、裁判所より棄却されたようです。

私も保釈中の身です。そのことは以前のnoteにも想いを綴ってきましたが、今回は一般的な保釈「保証金」についてお伝えしてまいります。

お金の話をする前に・・・
起訴された被告人には保釈請求の権利が生じ、裁判所が許可すれば一時的に釈放されるということは、既に皆さまもご存じかと思います。

必ずしも保釈請求が通るとは言い切れませんが、全体の6割程度は許可されるようです。ちなみに私も現在保釈中ですが、私の場合、一貫して容疑を”否認”していますので、こういった被告人にはなかなか保釈が認められないようです。俗にいう「人質司法」というものですね。
詳しくはこちらをご覧ください。↓

保釈されるためには保証金を<現金>で準備できなければ許可されていても絶対に釈放はされません。今回の被告人もまだ保釈保証金の納付はできていないとのこと。
4630万円の事件に対して今回の裁判官が下した保釈保証金の額は250万円と報道されています。ちなみに私の場合、30数万円の事件で、納付した額は500万円です。ある程度の相場みたいなのはあるそうなんですが、これだけ違うと「何だかなぁ〜」という気分になってしまいます。笑

報道に対するネット上のコメントを見ていると、
「裁判所は彼が用意できない額を提示している気がする」
「こんな奴に誰が保証金を都合するのか」「誰も用意する訳がない」
「お金がないのに保釈請求するなんて、頭おかしい」
などなど、辛辣なコメントが並んでいたりしております。でも、これら全てはちょっと違うんですね。

裁判所は保釈条件に違反した被告人に対し、保釈保証金の一部もしくは全てを没収する権利を持っています。
保釈に際し、<逃亡しないこと>や<罪証隠滅する行為をしてはならない>といったものが条件として定められています。
なので、裁判所は被告人が用意できない金額を設定するというよりは「没収されると精神的ダメージが大きい」金額を設定するのです。通常は150〜300万円くらいが相場と言われています。

保釈保証金の用意に関しては、親族や支援者が用立てるといったケースの他に「保釈支援協会」いう団体があり、そこから借りることができます。
これは、被告人であれば利用できますので、こちらを利用する人も多いと聞きます。(金利はないが、いくらかの手数料がかかる)
保釈保証金の準備することに負担が大きいと、社会復帰に大きな支障となるという考えから設立された一般社団法人です。

いくら犯罪者と言っても、裁判で刑が確定するまでは「推定無罪」の原則があります。日本は基本的人権を尊重する国です。

犯罪を犯した者が逮捕されることをある程度予測できたとしても、その日は突然やってきます。無実の被告人であれば尚更です。

裁判準備は勿論ですが、その人にも公判前に身の回りを整える必要もあるかもしれません。保釈に対し、そういったことを理解いただける人が少しでも増えるといいなと私は思っています。

過去に、このような記事も書いてますので、ご参考まで。

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