韓国旅録
以下の文章は、私が2023年8月20日から26日までの6日間、家族旅行で韓国・ソウルを訪れた際につけていた記録である。(最終日は帰るだけだったので、記録なし)
ちなみに前日の8月19日は朝からサマーソニック東京1日目に参加し、ミッドナイトソニックを経て朝4時まで幕張にいた。
1日目(8/20)
ミッドナイトソニックのため、朝4時まで幕張メッセで過ごし、4:45発の始発に乗って羽田を目指す。
電車内、爆睡。起きたら終点の東京駅に到着も、到着から既に10分経過していたらしい。周りに誰もいなかった。
京浜東北線で浜松、東京モノレールで羽田へ。やはり東京モノレールから見られる景色は好き。羽田に着き、シャワールームへ向かう。30分¥1,500で使えるシャワーがあることを事前に調べておいて良かった。ベトベトボロボロのフェス帰りから、ややボロボロくらいまでは回復した。
ソウル着。あつい。
昼食を食べ(美味かったが、疲れすぎてあんまり覚えてない)、チェックインをして、15時に寝る。
2日目(8/21)
起きたのは朝3時。12時間寝てたらしい。しばらくスマホを触って、また寝たら朝7時だった。
朝食へ。牛骨スープのにゅうめんみたいな料理「ソルロンタン」を食べる。やや肉に臭みがあるが、美味い。韓国特有の、頼んでないのにいっぱい置かれるおかずも美味い。茎わかめをごま油とニンニクで色々したっぽい料理とかマジで美味い。
ソウルタワーへ。ケーブルカーに乗るまでに遠回りをした気もしないではないけど、無事着いてよかった。
降りたのち、さっきの遠回り中に見つけたカフェ「ILLUSO COFFEE」へ。Googleマップとかにも情報が載ってない。これは割とレアかも。店頭やら壁にたくさんレコードが飾ってある。でも店内BGMはポップヒットソングのカバー曲縛り。(as it wasだけど、ハリーが歌ってない、みたいな。)
店のキャッチコピーは “All you need is music and more coffee” いいね。
一度ホテルに戻り、再び繰り出す。
目的地は国立現代美術館。バスを降りられないなどのトラブルありつつも、展示は楽しめた。訳わかんないものも多かったけど、それを含めて楽しむ余裕は必要よね。
帰る道中で見つけた珈琲屋、1分似顔絵1000ウォン、の表記に惹かれて家族3人分やってもらった。似てる。すげえ。
夜ご飯は韓国出身の先輩がオススメしてくれたタッカンマリ。
余す所なく美味すぎる。韓国のご飯はスープの最後の一滴まで楽しめるのが本当に魅力的。食材へのリスペクトと食への探究心が感じられて、こちらも思い切り向き合おうという気にさせてくれる。
夜8時半頃に再び街へ繰り出す。今度は私1人で。
Googleマップで適当に見つけたバーに入る。壁の棚には大量のレコード、客からのリクエストで随時再生していくシステムらしい。非常に私好み。
1人カウンターで飲んでいたら、韓国人のおっさん2人に話しかけられ、2人組の間で飲むことに。そのおっさん達は同じ会社で働く同僚らしい。音響メーカーに勤めているとか。グイグイ絡んでくる感じに少し圧倒されたけど、旅先でしかない出会いはそれだけで旅を華やかなものにしてくれる。自分から他人に話しかけたことなんてほとんどないからこそ、そのフレンドリーさに救われる部分はある。しかも酒も1杯奢ってもらった。あざす。
彼らが「これリクエストしろ!」と言ってきたのがX JAPANの「Endless Rain」
何で。
でも韓国では人気らしい。
3日目(8/22)
昨日と同じ場所で朝飯を食う。おかずがめちゃ美味え。昨日とほぼ物は変わってないのに。
やっぱりNewJeansのポップアップには行きたいので、弘大に向かう。
ストアは弘大と江南の2箇所展開らしいのだけど、弘大はパワーパフガールじゃない方。朝10時頃に着いて、15分くらい並んで整理券ゲット。34番目ってどうなんだろう。
並んでる最中に雨が降り始めて、本降り通り越して土砂降りになる。
前に並んでいた女性が傘を持っていなかったので、「取り敢えず入ったほうがいいよ!」と何となくの英語で伝え、折り畳み傘を分けた。そしたら向こうは英語めっちゃ堪能だった。しかも韓国人じゃないとのこと。でも店員さんとの会話の韓国語は超流暢だったしなんなんですかそのハイスペックさ。さすがグローバルシティ。
ポップアップストアには、オープン30分後の11:30頃に入れた。が、もはや売り切れすぎていてモフモフのうさぎのぬいぐるみしか残っていない。在庫間に合ってないんだなー。ゲットしたのは入場特典の厚紙ポスターとドデカ風船。この風船がとにかく嵩張る。空気を抜いてバッグに収めるだけで15分くらいかかった気がする。
弘大はブランドから古着屋まで幅広くあって、色々散策はしたけど特に物凄く欲しい物は見当たらなかった。日本にはないアメリカの味、popeyesにも行ったけど、やっぱりアメリカでドライブスルーで食べるのが一番美味いね。マッケンチーズもないし。
昨日は開いてなかったArario Museumへ。
ここの展示、凄すぎる。
途中からは自分から進まないと出られないタイプのお化け屋敷にいるような気分だったけど、少し不気味で薄暗い空間を自分で進みながら絵や美術作品を鑑賞する体験は、東京の公共美術館ではないものだった。見て回ってる間は超不安。最初にかなり人体を露悪的にモチーフにしたものを見てしまって以降、いろいろと怖くなってしまった。でもこの見せ方は本当にすごい。
夜はサムギョプサル。
ど定番だけど、やっぱり机に乗せられるおかず量がクオリティに直結する。水キムチとか美味すぎる。肉の質とか関係なく、日本の焼肉屋には出せない文化がある。
この日Netflixで公開された『LIGHTHOUSE』を観始める。止まらない。
4話の終わりの「Orange」が凄すぎる。星野源と若林正恭は、決して「普通の人」ではない。途方もない努力と何かの運でとてつもない成功を収めた「勝者」だ。しかし成功しても尚彼らが抱えるマインドは勝者のそれではない。だからこそこんなにも身近に彼らを感じるし、唯一無二の存在であり続けるのだと思う。
4日目(8/23)
ヨガ講師の母が、エアビーで禅武道(ソンムド)の教室を見つけてきたのは韓国に出発する2週ほど前だっただろうか。まあ特に断る理由も、予定もなかったので、私と父と3人で受けることに。
「動きの瞑想」とも呼ばれるらしい禅武道は、その呼び名の通り、瞑想と武術的な動きをどちらも行う。空手的な蹴りの動作もありつつ、レッスンの始まりと終わりには瞑想があった。激しい動きと静かな空間が共存する2時間は完全なる異世界ゆえ、戸惑いの連続だったが、この違和感は割と必要なものかもしれない。母は非常に満足した表情でエアビーのレビューを書いていた。
京東市場(キョンドンシジャン)へバスで向かう。大雨の中のバス待ちでずぶ濡れになり、極寒のバスで冷やされ、かなり気分はブルーだったのだが(私レベルでは瞑想の実戦も虚しい)、市場の中は超ディープな韓国があった。
積まれる鶏肉、並べられる魚、山盛り唐辛子、高麗人参、胡麻、エトセトラ!それら全てが混ざり合った異様な匂いの空間を進む。ソウルフードの「SOUL」の部分を煮しめたような場所だった。
複雑奇怪な市場には地下空間があり、父曰くそこには美味い食堂があるという。しばらく彷徨うと、本当に地下に続く階段があり、その奥には地元民しかいないであろう食堂があった。
お目当ては「カルグクス」と呼ばれるうどんなのだが、一緒に頼んだ白菜のチヂミが本当に美味い。チヂミと言うと、生地にニラやその他野菜が混ぜ込まれているイメージがあったのだが、どちらかと言うと「白菜に生地が付着している」感じ。白菜の甘味、タレの塩っぱみ、全てが完璧。野菜は添え物でも何でもなく主役そのものであると思い知らされる。
タッカンマリを食べた時にも感じたことではあるし、韓国旅の中で常に感じていることではあるのだが、韓国の人たちは食材の魅力の引き出し方をよく知っている。決して広くはない土地と、寛容とは言えない気候、そして彼らに降りかかった数多の歴史上の不条理。それら全てを生き抜き、いのちを次の世代へと脈々と繋げてきた朝鮮半島の魂や生命力を感じずにはいられない。大袈裟かもしれないけど、ストリートで魚を売るオモニと食卓の宇宙にはそんな力を思ってしまう。
あと、ソウルに来て感じるのは、地下道が充実し過ぎていること。かなり遠いところまで繋がっている。ホテルのあるところから、明洞までの徒歩10分くらいの距離も地下街を通って行けた。こんなにも地下が発展した理由は、正直戦時のシェルター用だとしか思えない(実際避難所の表示もある)のだけど、負の歴史や国の明るくない側面が作る文化もあるのだ。これはただの事実として。
5日目(8/24)
分かってはきていたのだけれど、5日目ともなるとやることが無くなってくる。取り敢えず昼前にホテルを出て、今話題の地域・聖水(ソンス)に向かった。大通りから一本入ると、洒落た作りのカフェや洋服屋がたくさんある。ノーティカという名前のブランドのキャップが非常に私好みで、どうしようか迷って買うのをやめた。
一応将来の方向性が定まった中で韓国に来たわけだけれど、最近つくづく思うのが何にお金を使えば「かっこいい大人」に近づけるのだろうか、ということ。
学んでいる環境的に、これから同業者になるであろう、良い歳した上の世代の人たちも見てきているけれど、その中にはお世辞にもかっこいいとは言えない人が何人もいた。
全体的に、こう、くたびれている。
そんな彼らを見てからは、自らの見た目への投資は惜しんではいけないと確信している。上手いこと「仕事とプライベートを分ける」だったり「文化的なことを追い続ける」みたいなことが出来れば良いのだろうけど、それが出来るかは不安。
聖水からしばらく歩くと、ソウルフォレストパークという公園があった。漢江沿いに位置しており、そういえばまだちゃんと漢江を見ていなかった、と思い歩き続ける。かなり歩いた。
どう行ったかはもう覚えていないが、展望台のようなところに辿り着き、そこから漢江が一望できた。眼下、大きな川に沿うように高速道路が走り、その向こうにはたくさんの高層ビル群、団地、そして僅かに低い山が見えた。発展と生活が共存しているのか、せめぎ合ってるのか、よく分からないが、非常に晴れやかな気持ちだった。
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