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ケーススタディ・オフグリッド・ハウス|CSOH No.03|響の杜

滋賀県長浜市にある「響の杜」は、長浜市内保町にある製材所「内保製材株式会社」が手掛けるオフグリッドモデルハウスです。性能より、心地よさや地域の燃料や太陽光といった地域の特性を活かすことに重きをおいたというコンセプトは設計にどのように現れているのでしょうか?内保製材株式会社の川瀬文明専務取締役、斎藤真梨乃さんにお伺いしました。



建築概要

地域|滋賀県長浜市
竣工年|2021年
設計|内保製材株式会社
構造|木造
階数|2階
敷地面積|866 ㎡
建築面積|181.53 ㎡
延床面積|124.33 ㎡


気象条件

□気温
 滋賀県長浜市の気温を平均(2022年)で見ると、最低で2.9度(1月)、最高で26.7度(8月)となる。冬期(1月)の最低・最高気温で見ると、-0.4度〜6.8度の幅があった。夏期(8月)の最低・最高気温で見ると、22.8度〜31.9度の幅があった。
 WHO(世界保健機関,World Health Organization)が「住まいと健康に関するガイドライン,WHO HOUSING AND HEALTH GUIDELINES」で定める寒さによる健康被害から居住者を守るための室内温度である18℃以上の勧告値に対して、5月初旬〜9月下旬以外の季節(10月初旬〜4月下旬、6ヶ月間)は勧告値を外れる地域となる。

□日照時間
 滋賀県長浜市の日照時間は年間計で1830h(2022年)となる。
 気象庁気象官署別日照時間(1995,2000,2005,2009,2010,2011,2012,2013年より平均を算出、総務省統計局)で見ると、全国56官署(56官署の平均で1890h)のうち彦根(8カ年の平均で1889h)は31番目となり、順位としては全国平均を少し下回る地域、日照時間としては平均程度の地域であることがわかる。

□風速
 滋賀県長浜市の平均風速(2022年)を見ると、1.4m/s(11月)〜2.1m/s(4,9月)までの幅があった。最大風速で見ると、5.8m/s(7,10月)〜10.1m/s(9月)となり、平均で見ると夏期と冬期で風速に大きな違いは無く、最大風速で見ると秋に風が強い地域であることがわかる。

□風配図
 滋賀県長浜市では、冬期には北西からの風、夏期には東南東からの風が吹く地域であることがわかる。

滋賀県長浜市の環境特性(気温、日照時間、風速、風配図)

外観および内観

南面外観を見る
西面外観を見る
切妻屋根の南傾斜面に載せられた太陽光パネル
庭に置かれた太陽熱パネル
開口部詳細
別棟の設備棟。手前がペレットサイロ、その隣がペレットボイラー、奥の円筒が貯湯槽
設備棟の西端に置かれた灯油ボイラ
中央が太陽熱差温制御盤
500Lの貯湯槽
ペレットボイラー
鉛蓄電池
制御盤
DC/ACインバータ制御盤
制御盤
居間(北側)から食堂(南側)を見る。壁面下部にパネルラジエーター
薪ストーブ
水廻り下部に設置されたヘッダー
西側の畳の間。壁面下部にパネルラジエーター
南東の寝室。壁面下部にパネルラジエーター、上部にエアコン
2階から欄間越しに屋根を見る
パネルラジエーター
タブレット型の設備モニター
内保製材の川瀬専務(右から2番目)、斎藤さん(右端)と共に(2023年7月14日)

一般図


広域見取図
中域見取り図
配置図兼1階平面図
2階平面図
屋根伏図
断面図

空間構成および設備概要

空間構成+設備概要アクソメ図


アクソメ図 南東より俯瞰


アクソメ図 北西より俯瞰

外皮および設備の仕様・性能


システム概要(夏季・冬季システム図)

全体システム図
夏季システム図
冬季システム図

謝辞 
 本リサーチは、(公財)建築技術教育普及センター 令和5年度 建築技術の調査研究又は普及活動を応援する助成「オフグリッド住宅の性能および居住者評価からみたエンヴァイロンメント・デザイン手法に関する研究」(代表:脇坂圭一/静岡理工科大学)の助成を得て進められた。ヒアリングおいては、対象事例の設計者、施工者、所有者各位に多大なご協力を得ました。ここに記して感謝申し上げます。

参加メンバー
 本リサーチは、静岡理工科大学 脇坂圭一研究室に所属する戸塚俊汰(当時・学部4年)、伊藤勢来(当時・学部3年)、梅田怜緒(当時・学部3年)、築地颯(当時・M2)の参画の元、推進されました。また、作図においては、上記に加え、大石蒼佳(当時・学部3年)、ヒアリング文字起こしにおいては、小島千怜(当時・学部1年)も参画しました。

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