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「JAMPの視線」No.229(2024年5月19日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年5月19日

 昨日午後に小学校4年生の長男が練馬の学習塾で定期試験を受験している間に、練馬駅の隣の中村橋の駅前を散策しました。この西武池袋線の中村橋という駅がある練馬区貫井は私が大学3年生から5年生の3年間を過ごした思い出の町です。東京に出てから最初の2年間は三鷹にある大学の寮に入っていたため、本当の意味でのひとり暮らしはこの町で見つけたアパートでの生活が生まれて初めての経験でした。20年以上ぶりに訪れた中村橋駅の駅舎や駅前の様子はすっかり変わってしまっていましたが、懐かしのアパートへ向かう商店街はほとんど当時の面影のままで、色々な思い出がよみがえってきました。たまにはこんな切り口での散策も悪くないなと感じる週末でした。今度は社会人時代に住んでいた西巣鴨のあたりを散策してみようかな。
 さて、岸田政権が注力する「資産運用立国実現プラン」の目玉のひとつである資産運用会社のミドルバックオフィス業務の外部委託に関する規制緩和等を内容とする金融商品取引法改正案が先週の参議院でも可決され、成立しました(当該法案では、日本版ファンド・マネジメント・カンパニー(FMC)事業を営みやすくするための規制緩和(明確化)やその他様々な見直しが定められていますので、全体の概要は弊社・コンプライアンスチームのメルマガnoteをご参照下さい(*1))。
 NewsPicksコメントでも述べさせて頂きましたが、資産運用会社の主な付加価値創出は投資運用業務等のフロント業務である一方、コンプライアンス業務等のミドルバックオフィス業務は付加価値創出に直結しないものです。ただ、ミドルバックオフィス業務(特にコンプライアンス業務)に知見・経験を有する専門人材の数が限られていることから、ミドルバックオフィス業務を外部の専門機関に集約させる構造への移行を促進することの意義は大きいと考えます。個別の資産運用会社のみならず、資産運用業界全体としての生産性を向上させる効果も中長期には期待され、「資産運用立国構想」の方向性に沿う大きな一歩だと言えるのではないでしょうか。
 ただ、この点について誤解すべきでないことは、コンプライアンス業務等のミドルバックオフィス業務は確かに資産運用会社の主な付加価値創出に直結をするものではないとはいえ、疎かに考えて良いものでは決してないということです。主な付加価値創出に直結しないというのは、当該業務に付加価値が無いということを意味するものではありません。投資運用業務等のフロント業務が付加価値創出に注力するための足腰がミドルバックオフィス業務であり、どのような投資対象資産や戦略であっても柔軟に投資運用業務等を実行することができるという状態を保持するためにはミドルバックオフィス業務の高い知見・経験が前提となります。
 手前味噌にはなりますが、弊社のゴールベース型資産運用支援ソリューションで用いている「投資一任報酬内蔵型投信活用スキーム」の開発・運用は投資一任・投資信託に係るコンプライアンス業務・事務業務の知見や経験があってのことだと自負をしていますが、それはミドルバックオフィス業務の重要性を示すひとつの例と考えます(弊社の日本版FMCソリューションで幅広い投資対象資産や戦略に対応できるのも、パートナーである三菱UFJ信託銀行を含めて、私たちの投信商品開発・事務業務に関する知見や経験があってのことと自負をしています)。
 その意味で、今回の金商法改正で期待されるミドルバックオフィス業務の外部専門機関への集約の動きも、役割分担を通じた生産性の向上という構造的な効果のみならず、現在は各社に分散しているミドルバックオフィス業務に関する知見や経験を効率的に集積することを通じ、我が国の資産運用業界の足腰を強化するという効果も期待できます。期待できるというか、期待すべきものであり、「資産運用立国」構想を掲げるのであれば、政府としても法令改正施行後はそこまで見据えた取り組みを意識的に進めるべきではないでしょうか。より踏み込んでいうと、新興・海外資産運用会社の事業立ち上げや運営を効率化するという視点での部分最適の動きを働きかけるのみならず、業界全体の生産性や競争力を向上させることを目指し、業界共通のミドルバックオフィス業務支援基盤を設立するというような全体最適な視点での取り組みも我が国の中長期的な産業政策として必要と考えます。
 弊社・日本資産運用基盤グループは、現時点では身のほど知らずの大それた目標ではありますが、そのような全体最適な視点を意識しつつ、我が国の資産運用業界のミドルバックオフィス業務の支援基盤の構築に今後も取り組んでまいりたいと思います(*2)

(*1)JAMPコンプラメルマガ 第42回「『金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案』の概要について」

(*2)一緒に取り組んで頂けるコンプライアンスや投信・投資一任事務のプロフェッショナルを募集中です!

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【資産運用立国へ運用会社の参入規制緩和 改正金商法成立】
大原のコメント→                                     
 資産運用立国実現プランの目玉のひとつである資産運用会社のコンプライアンス業務等の外部委託に関する規制緩和を内容とする金商法改正が衆議院で可決されました。
 資産運用会社の付加価値創出は主に投資運用やリスク管理業務であり、コンプライアンス業務を含むミドルバックオフィス業務領域は付加価値に直結するところではない一方、当該業務に知見・経験を有する専門人材の数が限られており、資産運用会社の新規参入の障壁となっていることが長らく問題視されていました。
 コンプライアンス業務を含むミドルバックオフィス業務の外部委託を通じ、そのような業務を外部専門機関に集約することが可能となり、個別の資産運用会社単体としても資産運用業界全体としても生産性の向上を実現することは、・・・(続きを読む)

【かんぽ生命保険と大和証券グループ本社が資本業務提携 資産運用分野で】
大原のコメント→        
 大和証券グループはつい最近もあおぞら銀行との資本業務提携を発表していましたが、他の金融機関との積極的な事業提携を通じた証券・資産運用事業の拡大戦略を推し進めているように見受けられ、これらの動きも政府の「資産運用立国構想」や金融リテール領域の手数料蒸発の動き等を背景にした業界再編の文脈でとらえることができるかもしれません。
 別観点では、郵政グループの資産運用事業は、ゆうちょ銀行と大和証券のファンドラップ事業の提携等、最近は大和証券グループとの距離感が近いように感じられ、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【「国が勧めている新NISAには裏があるのでは」お金のプロがいつまでも資産を増やせない人からよく受ける質問】
長澤のコメント→
 仕事がらみで付き合いのある人と違い、プライベートの場合は、その多くが投資未経験者であり、投資に対する漠然とした思いを、本音で率直にぶつけてくることも多いというのは、非常に共感いたしました。だいぶ前になりますが、同窓会に出席した際、証券会社に勤めていると言ったところ、何か儲け話は無いかみたいなことを聞かれ唖然としたことがあります。記事にあるように全体儲かる投資法なんて無いし、インサイダー情報など仮に知っていても話せる訳がないけど、世間一般の認識は「証券投資=儲け話」のレベルなのだと思い知らされた経験でした。
 資産運用立国実現プランの重要な柱として、金融経済教育が国家戦略として進められていますが、興味がない人に対して如何に伝えていくか、自分事として考えてもらうか、というのはなかなか難しいことだと思います。新NISAが始まったことによる投資への関心の高まりを受け、様々なセミナーが開催されているが、・・・(続きを読む)

【ウェルスリードの浜島氏「投資助言も商品仲介も」 IFAの流儀】
長澤のコメント→
 ウェルスリードの濵島さんには、昨年弊社でもインタビューさせていただきました。
 多くのIFA会社がなかなかコミッションビジネスから脱却できないなか、投資助言によるフィービジネスに拘り、商品ではなくアドバイスを売るビジネスを確立させたお話はそこに至るまでの経験談も含め、大変興味あるものでした。
 記事にある「いきなり商品を勧めてくる場合は要注意」というのは、全くその通りだと思います。金融商品はあくまで人生の様々な目標を達成するための手段、ツールであって、・・・(続きを読む)

お知らせ・ニュースリリース

■代表の大原がETFカンファレンスに登壇します
 代表の大原がS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が6月4日-5日に開催する「第16回 ETFコンファレンス」に登壇します。

https://www.spglobal.com/spdji/jp/events/16th-annual-japan-etf-conference/#summary

インフォメーション

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