「JAMPの視線」No.241(2024年8月11日配信)
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション
我が家の小学校4年生の長男が先週木曜日から3泊4日で通っている塾の勉強合宿に参加し、今日夕方に帰ってきました。そんなに長くひとりで外泊したことがなかったため、出発前は「行きたくない」と泣き言を言っていたのですが、やはり同年代のみんなで合宿というのはとても楽しかったらしく、「また行きたい」と言っています。それに比べると、うちの妻は合宿中ずっとBOTトークという子供見守りGPSツールを見ながら、「ちゃんと寝てるかな、友達できたかな」等と心配をしており、子供の親離れ以上に親の子離れの方が難しいのだなあとしみじみ感じました。
さて、先週は月曜日から株式・為替市場が大混乱で大変な週でしたね。私は月曜日は朝から夜まで丸一日かけて地方出張だったのですが、飛行機から降りてスマホをチェックしたらとんでもないことになっていて、ビックリしました。先週のメルマガでも書きましたが、普段は日次の金融市場の変動にはあまり関心のない私ですら今回のことはかなりドキドキしましたので、マーケットに対峙されている業界関係者の皆さまのご心労はいかばかりかと拝察します。
ただ、先週後半に大手証券会社の営業本部長と面談をさせて頂いた時、今回の市場変動について非常に面白いお話をお聞きました。その本部長の方が仰るには、2000年代初頭のハイテクバブル崩壊やリーマンショック、最近ではコロナショック等、色々な金融市場の変動を経験してきたが、これまでの金融市場のショックに比べ、今回はお客様のクレームが殺到したり、営業員がお客様の対応に追われて大慌てになったりということはそれほどなかったということです。短期的な儲けを狙っての個別銘柄や金融商品の販売が中心だった昔とは異なり、最近では大手証券会社の現場では長期的な視野に立ったポートフォリオ提案の考え方が広まってきていることもあり、今回のようなことがあっても、以前ほどにお客様も営業員も大混乱に陥ることは無くなってきているのではないかというお話をお聞きしました。
「あくまで私が見えている範囲の話ですが」という但し書きは添えられていましたが、私もこの数年ほど大手証券会社のポートフォリオ提案の取り組み等の話は色々なところで耳にしていましたので、納得感を感じながらお話をうかがっていました。その点でいうと、もしかすると自分で信用取引等を活用しながら個別銘柄や金融商品の売買を行い、特にポートフォリオベースでのリスク管理等は考えていないオンライン証券会社のお客様の方が混乱は大きかったのかなあという気がふとしました。もし私のこの仮説が正しいとすると、対面のアドバイザーの付加価値がそのようなところにも表れているのかもしれません。
いずれにせよ、短期的な金融市場の大幅な下落は市場参加者にとって不幸な出来事であることは間違いないものの、米国でもゴールベースアプローチの考え方が複数の金融危機を経て広がっていったように、今回の市場変動の経験は日本でのゴールベースアプローチの考え方の広まりが更にスピードアップする機会になるのではないかという気がします。私たち日本資産運用基盤としても、今回の出来事を経てもゴールベース型ラップサービスのお客様はバタバタと解約したりするようなことは殆ど起こらなかった等のデータ分析を行ったりすることで、その考え方の正しさの検証等を進めてまいりたいと思います。
【NISA初心者に試練 株価急落で広がる動揺】
大原のコメント→
このような短期的な市場下落に対して慌てて保有投信等の売却に動くのは非合理的であるというのは全くその通りなのですが、人間はそもそも非合理性からは逃れられないのでそこを指摘するだけでは十分ではないように感じます。
現代ポートフォリオ理論は全ての投資家が合理的であることを前提としていますが、そのように100%合理的な投資家は現実世界には存在しません。従って、現代ポートフォリオ理論にのみ基づく金融サービス、例えば効率的なポートフォリオを提供することのみを付加価値とする投信商品等では非合理性に対して十分に対応することができないという限界が存在します。
これに対し、人間の非合理性に正面から向き合い、それを抑制するために発展してきたのが行動ファイナンス理論です。例えば、弊社・日本資産運用基盤が推進しているゴールベースアプローチという考え方やそれに基づく資産運用アドバイスサービスは、・・・(続きを読む)
【信組界、投信の販売姿勢に変化 顧客ニーズ高まり受け】
長澤のコメント→
証券会社への「顧客紹介業務」については、他の業態や同一グループ内では既に行われていますが、顧客接点に強みのある信用組合が、証券会社のような商品提供力に強みのあるプラットフォーマーと組んで顧客の課題解決を図るというのは今後増えていくのではないかと思います。
留意点があるとすれば、以前の仕組み債問題で見られたような、紹介顧客に紹介元の意図と違うような、本人のリスク許容度を超えた商品を販売してしまうような行き過ぎがないように、・・・(続きを読む)
■コラム公開:コンプライアンスチームの連載noteの公開
新興・海外資産運用会社の立上げ等の支援を提供している弊社コンプライアンスチームがnoteに第46回目の記事を公開しました。
「「顧客本位の業務運営に関する原則」改訂案について (シリーズ1)」
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