第46回「顧客本位の業務運営に関する原則」改訂案について (シリーズ1)

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今回は、2024年7月2日にパブコメに付された「顧客本位の業務運営に関する原則」改訂案(以下、「改訂案」)についてです。

シリーズ第1回では、改訂案のポイントを、シリーズ第2回では、改訂の背景について説明致します。

1 「顧客本位の業務運営に関する原則」に組成会社※向けの「補充原則」を追加(プロダクトガバナンスに関する補充原則)

※「組成会社」とは金融商品を組成する会社のことで、例えば資産運用会社など

【基本理念】補充原則1:金融商品の組成に携わる金融事業者は、金融商品やサービスの提供を通じて、顧客に付加価値をもたらすと同時に自身の経営を持続可能なものとするために、金融商品の組成に携わる金融事業者の経営者として十分な資質を有する者のリーダーシップの下、顧客により良い金融商品を提供するための理念を明らかにし、その理念に沿ったガバナンスの構築と実践を行うべきである。

【体制整備】補充原則2:金融商品の組成に携わる金融事業者は、顧客により良い金融商品を提供するための理念を踏まえ、金融商品のライフサイクル全体のプロダクトガバナンスについて実効性を確保するための体制を整備すべきである。その上で、金融商品の組成に携わる金融事業者は、金融商品の組成・提供・管理の各プロセスにおける品質管理を適切に行うとともに、これらの実効性を確保するための体制を整備すべきである。

【金融商品の組成時の対応】補充原則3:金融商品の組成に携わる金融事業者は、顧客の真のニーズを想定した上で、組成する金融商品がそのニーズに最も合致するものであるかを勘案し、 商品の持続可能性や金融商品としての合理性等を検証すべきである。また、商品の複雑さやリスク等の金融商品の特性等に応じて、顧客の最善の利益を実現する観点から、販売対象として適切な想定顧客属性を特定し、金融商品の販売に携わる金融事業者において十分な理解が浸透するよう情報連携すべきである。

【金融商品の組成後の対応】補充原則4:金融商品の組成に携わる金融事業者は、金融商品の組成時に想定していた商品性が確保されているかを継続的に検証し、その結果を金融商品の改善や見直しにつなげるとともに、商品組成・提供・管理のプロセスを含めたプロダクトガバナンスの体制全体の見直しにも、必要に応じて活用すべきである。また、製販全体として顧客の最善の利益を実現するため、金融商品の販売に携わる金融事業者との情報連携等により、販売対象として想定する顧客属性と実際に購入した顧客属性が合致しているか等を検証し、必要に応じて運用・商品提供の改善や、その後の金融商品の組成の改善に活かしていくべきである。

【顧客に対する分かりやすい情報提供】補充原則5:金融商品の組成に携わる金融事業者は、顧客がより良い金融商品を選択できるよう、顧客に対し、運用体制やプロダクトガバナンス体制等について分かりやすい情報提供を行うべきである。

2 販売会社に求められる対応として 原則6に注6及び7を追記

【顧客にふさわしいサービスの提供】原則6:金融事業者は、顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズを把握し、当該顧客にふさわしい金融商品・サービスの組成、販売・推奨等を行うべきである。

(注6)金融商品の販売に携わる金融事業者は、商品の複雑さやリスク等の金融商品の特性等に応じて、製販全体として顧客の最善の利益を実現するため、金融商品の組成に携わる金融事業者に対し、金融商品を実際に購入した顧客属性に関する情報や、金融商品に係る顧客の反応や販売状況に関する情報を提供するなど、金融商品の組成に携わる金融事業者との連携を図るべきである。

(注7)金融商品の販売に携わる金融事業者は、商品の複雑さやリスク等の金融商品の特性等に応じて、プロダクトガバナンスの実効性を確保するために金融商品の組成に携わる金融事業者においてどのような取組みが行われているかの把握に努め、必要に応じて、金融商品の組成に携わる金融事業者や商品の選定等に活用すべきである。

【所見】

2017年3月、ルールベースではなくプリンシプルベースのアプローチを用いることが有効であろうとの考えから策定された「顧客本位の業務運営に関する原則」を、これまで多くの金融事業者が採択してきた。また、金融庁は同庁HPにおいて、同原則を採択した金融事業者のリストを定期的に更新・公表してきた。

しかし、令和5年9月現在の金融商品取引業者の採択者数は223件と、同業者総数の1割強にとどまっている。今回の改訂により本原則の適用範囲が製販両方であることが明確化されたこともあり、金融商品取引業者の採択が今後増加することが期待される。


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以上

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