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「JAMPの視線」No.81(2021年7月18日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2021年7月18日

メルマガ

先週配信したメールマガジンの本コーナーで、地域銀行や信用金庫、保険チャネル等がこれから資産運用アドバイス提供の事業化においてファンドラップサービス導入の検討を行う際には、従来のファンドラップサービスではなく、顧客のライフプランに基づく資産運用計画の提案やそのサポートを重視したゴールベース型ラップでなければならないということをお伝えさせて頂きました。
これに対して、複数の地域銀行の経営陣やご担当部署からより突っ込んで、「それではゴールベース型ラップを導入する場合には、自行で運営するのがいいのか、他社運営のものを導入するのであれば、どんな視点で検討するのが良いのか」という少し技術的な観点のご質問を頂きましたので、今日はファンドラップ導入を検討する際の第2の要点として、「事業運営スキーム」について簡単にご説明させて頂きます。
地域銀行がファンドラップを導入する際に選択し得るスキームとしては、①自行が主体となって導入・運営するスキームに加え、②他社運営のものを自行口座で運営するスキーム、③他社運営のものを他社口座で運営するスキームの3パターンが存在します。
このうち、①は当然ながら自行グループで主要機能を担うため、サービス仕様等を柔軟に設計することが可能であるのみならず、個人のお客様が負担するサービス利用報酬の大部分を自行グループで収受することが可能であるものの、ラップ導入・運営に係る小さくないシステム・事務等のコストを自ら負担することも避けられません。
従って、多くの地域銀行は②③のように外部の証券会社や運用会社が運営するラップサービスを自らは仲介事業者(投資一任契約の締結の媒介を担う役割)として取り扱うというスキームを選択することが一般的です。ただ、このなかでも最近は自行グループ内の銀行投信口座や証券子会社口座を使用するスキーム②が広がってきているように見受けられます。例えば、りそな銀行と横浜銀行のラップ事業提携や野村証券グループのラップ子会社と千葉銀行グループとのラップ事業提携はこのスキーム②のパターンです。
従前は、大手証券会社やオンライン証券、ロボアドバイザー会社の提供するラップサービスを地域銀行が取り扱う場合、地域銀行の口座ではなく、それら証券会社やロボアドバイザー会社の投資一任口座で個人のお客様の資金をお預かりするというスキーム③しか選択肢がなかったところ、そのスキームだと個人のお客様の資金が地域銀行の管理下から流出してしまい、総合的な金融ニーズのサポートがしにくくなったり、相続が発生した場合に捕捉しづらくなったりというデメリットが懸念され、ここ1‐2年は自行グループ内の口座でお客様資金をお預かりするスキーム②も選択肢として増えてきているという状況にあります。
一方、スキーム②の場合には、他社が口座機能・事務まで担うスキーム③と比べ、システム改修・保守費用や事務負担等も必要となりますし、顧客資金の管理という点についても、提携するラップ提供会社との仕切り次第で調整が可能ということもあり、必ずしもスキーム②が常により良いものであるというわけではないことには注意が必要です。大事なのは、自行もしくは自行グループの総合的・長期的な個人役務事業戦略に基づき、お客様の資金をどこでどのように管理するのかという選択肢を柔軟に持つことであると考えます。スキーム②を提案するラップ提供会社であっても、当該提供会社の口座を活用するという判断は十分あり得るでしょう。
また、技術的な観点ではこのようなスキームのあり方がラップ事業の導入・運営を検討する際の第2の要点でありますが、それ以外にも提携するラップ提供会社の諸々のサポートやラップ以外の提供サービスの種類の豊富さ等も重要な検討材料になることは言うまでもありません。いずれにせよ、従来の投資信託の取り扱い選定のように単なる商材の選定という考えではなく、新しい事業をどう構築するか、そのパートナーをどう選定するかというより高い視座に立った検討・判断が必要であることは、改めて強くお伝えしたいと思います。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2021年7月11日
【群れる個人マネーの死角 「テーマ運用」ひずみ生む】
大原のコメント→
「テーマ運用」型投信商品については、日本の資産運用会社の運用力向上を阻害しているという別の問題意識も個人的には持っています。
金融庁が公表している「資産運用業高度化プログレスレポート」でも、日本の個人向け公募投信商品全体のリスク調整後リターンは米国のそれに対して劣後しているというデータ分析がなされており、それをもって資産運用会社の運用力に改善の余地があるという論が展じられていますが、必ずしも資産運用会社の運用力だけの問題ではないと考えています。
問題の本質は、資産運用会社が販売金融機関の言いなりになって売りやすい「旬(短期的)なテーマ」の商品の企画・開発に懸命になり、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6007029?ref=user_121187

2021年7月14日
【「運動会は中止でも五輪はOK」チグハグな緊急事態宣言が日本を潰す"確かなデータ"】
大原のコメント→
記事の内容はタイトルとはあまり関係なかったですが、小学校1年生の子供を持つ父親として、「運動会は中止でも五輪はOK」というタイトルがとても心に刺さりました。
私が住む板橋区の公立小学校では、コロナ禍の状況悪化により、運動会の家族観覧が急きょ中止となり、児童たちもその家族である私たちもとても残念な気持ちになりました。
社会の構成員として適切なコメントではないかもしれませんが、どちらを観覧したいかというと、オリンピックではなく、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6015364?ref=user_121187

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2021年7月11日
【群れる個人マネーの死角 「テーマ運用」ひずみ生む】
長澤のコメント→
先月金融庁より公表された年次レポート(※)でも久しぶりにテーマ型投資信託を採り上げていました。銀行や大手証券会社の投信売れ筋上位5銘柄の資産カテゴリーをみたところ、全体的にテーマ型投資信託が再び増加傾向にあるとのことです。テーマ型投信のテーマの移り変わりは早く、2015年度は医療関連、2016年度以降はデジタル関連、足下ではSDGs、ESG関連となっており、これらテーマ型投信は、新規設定から一定期間後には資金流出に転じる銘柄が多く、ESG関連投信が長期投資となるのか注目するとしています。
 そして販売員がテーマ性の強い商品を提案する際は、商品性やその商品が長期投資に資すると考える理由、テーマに沿った運用がなされていること等について、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6007029?ref=user_6551307

メディア掲載情報

■コラム公開:コンプライアンスチームの連載noteの公開
新興・海外資産運用会社の立上げ等の支援を提供している弊社コンプライアンスチームがnoteに第9回目の記事を公開しました。
「第9回 金融商品取引業登録申請の準備2 「登録申請業務への取組み方」」
https://www.jamplatform.com/news/2021/07/15/2312/

■メディア掲載:「ニッキン」でのゴールベース型ラップ事業支援ソリューションの紹介
弊社のゴールベース型ラップ事業支援ソリューションが「ニッキン」で紹介されました。
https://www.jamplatform.com/news/2021/07/16/2314/

インフォメーション

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