「JAMPの視線」No.142(2022年9月18日配信)
次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④メディア掲載情報
⑤金融専門人材募集情報
⑥インフォメーション
JAMP 大原啓一の視点 2022年9月18日
前回に引き続いて今回のメールマガジンでも、8月末に金融庁が公表した2022事務年度の金融行政方針の内容について感じたところを徒然と述べさせて頂きます。全3回のうちの2回目となる今回は、ファンドラップについての当局の姿勢に関するものです。
前回取り上げた仕組債の販売に対する当局の姿勢の厳格化についても印象深く感じましたが、それ以上に個人的に「むむっ」と特に感じたのは、ファンドラップに対する当局の姿勢の変化でした。正確には、「変化」と表現するほどに強いものではなく、そこに垣間見える方向性というものかもしれませんが、個人的に目に留まりました。
5月末に公表された資産運用業高度化プログレスレポートにおけるファンドラップに関する分析や問題提起では、バランス型投信等と比べて、ファンドラップは費用が高いものの、コスト控除後のリスク調整後リターン(シャープレシオ)ではバランス型投信に劣後するとして、主にその提供付加価値のうち投資運用付加価値のみを重視した見方を基礎としたものに終始していました。そこでは、弊社がいつも主張しているような「投資一任(ファンドラップ)の本来的な存在意義は、投資運用付加価値のみならず、お客様の資産運用計画を継続的にサポートするというアフターフォロー付加価値をも包含する役務提供を契約で定義できる柔軟性にある」という資産運用業界がいま移行しつつある新たな概念は考慮されていませんでした。
これに対し、弊社は本メールマガジンやその他の情報発信の機会を捉えて、金融庁やその資産運用業高度化プログレスレポートでは投資一任(ファンドラップ)の本来的意義や米国や日本の資産運用業界の潮流を正確にフォローできておらず、金融庁がライフプランの継続的なサポートまで含む顧客本位の業務運営を本当に推進するのであれば、そのような新たな見方を吸収し、その問題提起や方向性の示唆等に取り入れるべきだということを繰り返し申し上げてまいりました。
その結果なのかどうなのか、弊社のような小さな存在のそうした問題提起が耳に届いたとは思いませんが、金融業界でもそのような意見が多かったのか、今回の行政方針では、同文書の「コラム」欄のファンドラップのセクションで、これまでの資産運用業高度化プログレスレポート等では見られなかった以下の4行の文章が新たに記載されていました。
(引用)
業界の一部には、顧客へのアドバイス等が内包されているファンドラップについて、バランス型投信との単純比較はできないとの主張があるが、当庁の把握する限り、こうした高額なファンドラップの手数料がアドバイス等の付加価値に十分に見合っているかについて、明確かつ定量的に説明できている先は確認できていない。
(引用終わり)
この新しく追記された文章は、私が楽観的に解釈しているだけかもしれませんが、金融庁から金融業界への前向きな投げかけだと感じています。弊社が主張するような見方について、金融庁としてもその趣旨をくみ取りつつ、現場での実務を担う金融業界に対し、「投資一任(ファンドラップ)にそのような役割を担わせるのであれば、投資運用付加価値のみならず、継続的なアドバイス(アフターフォロー)付加価値も提供していると、明確かつ定量的に定義し、顧客や社会にしっかり説明できるようにすべし」という投げかけがなされたのだと私は解釈しています。
2000年代初頭以降の米国の動きをみても、個人の資産形成・資産運用において、ゴールベースアプローチ型ラップサービスがその中心になるのは大きな流れとして間違いないように思います。そこで、金融業界のみならず、政策当局とも連携しつつ、この動きを推し進め、一般生活者の豊かな人生設計をサポートできるようになるためには、このような投げかけに対し、金融業界が現場のサービス設計・提供でしっかりと回答を示すことにより、前向きな対話を通じた発展を実現していくことが必要なのだと考えています。
News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)
2022年9月14日
【金融行政方針、識者はこう見る(上)野崎・東洋大教授】
大原のコメント→
今回の金融行政方針は個別のモニタリングに軸足を置いていたこれまでの行政方針と比べてより広い視野に立脚しているという点は私も同じ印象です。
例えば、地域銀行等の金融機関による預かり資産ビジネスにおいても、仕組債の販売の是非を問題視するに留まらず、地域銀行の経営としてどのような預かり資産ビジネスを目指すのかという視点で問題提起をしているという点を印象深く受け止めました。
外貨建保険や仕組債等の個別の商品カテゴリーを問題視し、モグラたたきのような対応をするのではなく、そもそものパーパスを問いかけ、それに整合した事業運営を求める姿勢はあるべきと感じる一方、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7562128?ref=user_121187
2022年9月14日
【地銀も仕組み債停止、千葉や横浜など 背景に金融庁方針】
大原のコメント→
金融庁が8月末に公表した金融行政方針において、地域銀行等のリテール金融機関による仕組債販売に対して厳しい姿勢が示されたことを受け、一部の金融機関が仕組債の販売を見合わせる動きに出始めています。
業界関係者の一部からは「仕組債にもニーズがあるのだから何の問題があるのか」という意見も聞かれ、そうした意見を全て否定するものではありませんが、少なくない数の地銀系証券会社の売り上げの6-7割が仕組債販売に依存しており、それが無ければ経営が成り立たないという状況は、地域の一般生活者の生活を支える地域金融機関のパーパスに照らし合わせていかがなものかという金融庁の問題意識には私も共感します。
お客様の人生を長期的に金融面で支えるのが資産運用サービスに求められる本来の機能であるということに立ち返り、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7565313?ref=user_121187
News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)
2022年9月9日
【金融庁、仕組み債巡り3メガや地銀に立ち入り検査も-屋敷審議官】
長澤のコメント→
金融庁は、仕組み債の苦情が多かったり、収益に占める仕組み債販売の割合が高かったりする金融機関に対して、立ち入り検査を行う方針とのことです。いままで任意のヒアリングだったものが検査ということになりますと、金融機関の負担も相当なものになりますし、業務改善を求められるようであれば、まさに「これまで先輩方が築き上げてきた信頼を損ねるだけ」であり、一時の仕組み債の収益では到底ペイできないものを失うことになりかねません。
顧客本位の業務運営はルールベースではなく、プリンシプルベースでやってきましたが、本日開催された市場制度WGで一部の委員からは、いままでソフト・ローとしてきたが、法制化も視野に入れる必要があるのではないかとの意見もありました。
金融機関としては、目先の検査をどう回避、やり過ごすかに腐心するのではなく、顧客の「最善の利益」を実現しつつ、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7545882?ref=user_6551307
2022年9月13日
【「顧客本位」のお墨付き半減 金融庁が基準厳格化】
長澤のコメント→
原則を採択し、取組方針やKPIを公表していた金融事業者は20年12月末で1,290者ありましたが、21年1月の原則改訂に伴い、各事業者の取組方針と原則各項目との対応関係の明確化を求めたところ、昨年6月末時点での事業者リストへの掲載は493者にまで減少、その後、中小金融事業者を中心に対応が進み22年3月末に1,164者まで増加した経緯にあります。今回は取組方針だけでなく、その方針に沿った形で実際何をしたのか、具体的な取組実績の報告まで求められたことから、再び対応が間に合わない事業者が多く出てきたのかと思われます。
原則の取組みの「見える化」は金融庁への報告だけが目的ではなく、これにより顧客に自らの取組みを伝え、顧客から選ばれる金融事業者になれるか、また、この方針や取組みを如何に営業員まで浸透・定着させていくことができるかが重要であり、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7558054?ref=user_6551307
2022年9月16日
【仕組み債、投資初心者は販売対象外】
長澤のコメント→
日証協が個人向け仕組み債の販売に関し、ルールを強化して「退職金運用」「証券口座を開設したばかりの人」は販売対象外とする方向で検討するとのことです。販売会社にとって仕組み債販売における共通の目線ができる、また、ルール違反に対して処分が行われる可能性があり牽制が働くという点で、ミニマムスタンダードとして相応の効果が期待できるのではないかと思われます。
しかしながら、「顧客本位の業務運営に関する原則」が策定された経緯を振り返ってみると、ルールベースの場合、その基準さえ守っていればいいという形式的、画一的な対応を助長しかねないといった点が指摘され、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7530259?ref=user_6551307
2022年9月14日
【みずほ・三井住友「仕組み債」販売制限 顧客の損失懸念】
長澤のコメント→
メガバンクや大手地銀が仕組債の販売の全面的停止もしくは一部停止する方針とのことです。仕組債については、先日、日証協が個人向け販売に関し、ガイドラインを改定して「退職金運用」「証券口座を開設したばかりの人」は販売対象外とする方向で検討するとの記事がありました。販売会社にとって仕組債販売における共通の目線ができる、また、ルール違反に対して処分が行われる可能性があり牽制が働くという点で、相応の効果は期待できるものと思われます。ただし、ルールベースの場合、その基準さえ守っていればいいという形式的、画一的な対応を助長しかねない点にも留意が必要であり、ルールの策定だけで十分とは言えず、「真の顧客ニーズを踏まえた販売となっているか」の視点に基づき、如何に魂を込められるかが重要かと思います。
「顧客本位の業務運営に関する原則」は金融機関の主体的な創意工夫を促す観点から、プリンシプルベースのアプローチが採用された経緯にあります。ガイドライン改定を待たずに、自主的に動くのは、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7564446?ref=user_6551307
2022年9月16日
【金融庁が外資系投資銀行を調査へ-仕組み債の販売方法巡り】
長澤のコメント→
金融庁では、仕組債の販売会社に対して、販売会社の手数料相当額だけではなく、組成コストも含めた実質手数料の開示を求めています。しかし、販売会社からしてみると、組成会社の協力が得られなければ開示が出来ませんので、それを個々に交渉するというのも負担が大きく、当局からコストを含めた情報開示の充実を後押しするというのは助かるのではないでしょうか。
金融庁の市場制度WG資料によれば、「欧州ではプロダクトガバナンスの観点から、仕組債のコストとして、販売価格と公正価格の差額が開示されている 。また、米国でも目論見書の表紙に仕組債の推定価値を記載することが要請されている。」とのことですので、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/7568565?ref=user_6551307
お知らせ・ニュースリリース
■ゴールベース型ラップに関する勉強会開催
ゴールベースアプローチ型ラップについてのWeb勉強会動画を公開しました。
「お客様に必要とされる真の『資産運用サービス』とは~ゴールベースアプローチ型ラップがいま求められる理由~」
https://www.jamplatform.com/news/2022/08/22/3230/
■Webセミナー登壇のお知らせ(1)
弊社代表の大原と主任研究員の長澤が、株式会社想研が主催する金融専門家向けWebセミナーに登壇を致します。FMプロフェッショナル会員(登録無料)向けのオンデマンド形式の配信もされておりますので、下記リンクからご確認ください。
https://media.finasee.jp/common/static/seminar-lp2205/
■Webセミナー登壇のお知らせ(2)
弊社代表の大原が、帝京平成大学の沼田優子教授とともに、株式会社想研が主催する金融専門家向けWebセミナーに登壇し、「法人IFA社長アンケート2022」の結果をもとにしたIFA業界の成長可能性と今後の課題についてお話をさせて頂きます。FMプロフェッショナル会員(登録無料)向けのオンデマンド形式の配信となり、2022年10月21日(金)16:00 ~ 10月30日(日)23:59までの配信予定です。
https://media.finasee.jp/common/static/seminar-lp2205/
メディア掲載情報
■コラム公開:コンプライアンスチームの連載noteの公開
新興・海外資産運用会社の立上げ等の支援を提供している弊社コンプライアンスチームがnoteに第23回目の記事を公開しました。
「第23回 マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限設定について Part4」
https://note.com/jamp_compliance/n/n19810a0feeee
■メディア掲載:ニッキンオンラインでのインタビュー記事掲載
「ニッキンオンライン」で代表・大原のインタビュー記事を掲載頂きました。
「金融行政方針、識者はこう見る(下)大原啓一・日本資産運用基盤グループ社長」
https://www.jamplatform.com/news/2022/07/07/3187/
金融専門人材募集情報
日本資産運用基盤グループが採用をご支援している金融機関の人材募集情報です
1)大手外資系金融機関 - RM部門マネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2897/
2)M&Aファーム - CFO/~2,000万円(ベース)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3236/
3)独立系運用機関 - コンプライアンスオフィサー/~1,000万円(ベース)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3254/
4)本邦金融機関 - 経営企画部門マネージャー/~1,500万円
https://www.jamplatform.com/hr/job/3217/
5)大手外資系金融機関 - ITセクションプロジェクトマネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2939/
6)大手外資系金融機関 - コンプライアンスヘッド/~1,500万円(ベース)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3223/
7)大手日系金融機関 - ファンドアナリスト/想定~1,500万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2956/
8)大手金融機関 - アナリスト育成担当マネージャー/~1,200万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3201/
9)本邦大手金融機関 - 不動産投資アドバイザー/給与は前職を考慮して検討
https://www.jamplatform.com/hr/job/3266/
10)邦銀系運用機関 - ファンドマネージャー/~1, 200万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3268/
ここに掲載している情報以外にも多くの人材採用ご支援をさせて頂いています
ご関心ある方は https://www.jamplatform.com/hr/ からご登録をお願いします
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https://www.jamplatform.com/contact/
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