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ワイゼンボーンギターとの出会い

20代半ば僕はNZをワーホリビザで旅をしていた。

渡航前からなんとなーくワイゼンボーンギターの存在が気になって気になってしょうがなくなっていてyoutubeなんかでBen Haperの演奏に食らいついていた僕は、どうやら北島の下の端っこの港町ウェリントンにワイゼンボーンを作っているギタールシアーがいるという噂を聞いたので兎にも角にも実物に触れたい一心で、アポを取り、彼の家まで会いに行った。

(ちなみにワイゼンボーンギターとは1920年~1930年代に米国のWeissenbornが製造したアコースティックのラップスティール・ギターでハワイアン音楽に用いられ、中空ネックが特徴。だからオリジナル以外は一応レプリカという扱いになる。サウンドホールが奏者の方を向いているので奏者が一番音に酔える。)



坂の多い町の坂のてっぺんの見晴らしのいい家を訪ねた記憶がある。

B『今在庫はなくて、オーダーを受けても何ヶ月か待ってもらわなければいけないんだ』

僕『あなたのギターに触れたくて日本から来ました!!!!! 何とかならない??笑』

B『んんーそうだな,,,,,, もし君が良ければ僕が今使っているもので良ければ1本譲れるものはあるけど。見てみるかい?』

僕『本当?ぜひ!!』

彼が差し出してくれたワイゼンボーンは美しいTasmanian Black wood で作られており、サウンドホールはマオリ族のフラッグカラーである赤と黒のトライバルカラーで装飾されていた。

僕は一目で惚れてしまった!

試奏させてもらう。開放弦を鳴らしただけでなんとも言えない深い木の響きが身体中を包み込んだ。

僕『こ こ このギター 譲ってください!!!!』

B『OK!! じゃあ今晩のライブ後にそのまま君に渡すよ』

そして、僕はライブ後に楽屋で彼からこのギターを譲ってもらった。
確か1500NZドルくらいだったと記憶している。
後から知った彼の楽器の相場からゆえば破格の値段だ。

どうして彼がそんなに僕によくしてくれたのかは謎だけど、
何かきっと強い導きとご縁があったことを信じている。

Burgin Guitar http://www.burginguitars.co.nz

あれから10数年、様々な土地や風景やセッションでこのギターを触ってきたけど曲を作ったことはなかった。

昨日、初めてなんとなく啓蟄というインストを作ってみた。
懐かしいような寂しいような、でも嬉しいような そんな音。

この季節の変わり目にきっとハマる音。

ぜひ聞いてみてくださいね。

=啓蟄= 

http://keiho.ciao.jp



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