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ネットスラングは使わない

 noteに文章を書く際に、ネットスラングの類いを極力使わないようにしている。別に文章の品位がどうこうとか、ネットスラングを使うと文章の信頼性が疑われるとかそういうことではない。

 noteに限らず、SNSなどでも最近はその手の用語を使わないように気をつけているのだが、中にはネットスラングを使っただけで逆上する人もいたりして怖い。以前見かけたのは、笑っている感じを表現する「w」を付けているだけで、執拗に攻撃的なリプライを返している人だ。そんなに怒ることではないのに、と思って見ていたのだが、もちろん自分では腹が立つから書かないというわけではない。

 ではなぜ、使わないようにしているのかと言うと、この手のネットスラングは、実は賞味期限がすごく短いんじゃないかということに思い至ったからだ。

 僕が、さっき登場した「w」を初めて使ったのは、オンラインゲームの『ファンタシースターオンライン(PSO)』である。たぶん、それ以前からどこかで使われていた表現なのだと思うのだが、とにかく『PSO』で見かけて、真似して使ったのが初めてだったことは明確に覚えている。たぶん、「笑う」をローマ字入力するときの一文字目である「w」だけを書いているのだと思うのだが、キーひとつで笑っている感じを表現できるのだから便利だ。アクションゲームを進めながらチャットをしなければならないオンラインゲームならではの文化だと思う。

 いずれにしても、『PSO』をプレイしていたのは20年近く前だから、もうだいぶ死語に近い言葉じゃないだろうか。今も使っている人はいて(僕も使うことはある)普通に意味はわかるものの、果たして若い人にもそのニュアンスが伝わっているのかというと、甚だ疑問である。

 「w」以前には、「(笑)」というのもあった。これはパソコン通信の時代によく見かけたような覚えがある。文末に付けて、面白おかしく意見を言っているような感じを演出するような意味合いだ。いや、しかし待てよ。「(笑)」は、もともとそういう意味ではなかったのではないか。

 「(笑)」について言えば、活字の文章にも登場するのを見たことがある。これは、例えばインタビュー記事などで、喋っている人が笑いながら発言している様子を表す意味で付けられた文字だ。それがいつの間にか、自分の感情を込めて文章を記述する際の手段に取って代わっている。そういうニュアンスも含めて、最近ネットに触れる人たちにも、その意味が正しく伝わっているのだろうか。心配になる。

 もっと言うと、「w」には、連続して並べて大笑いしている、爆笑しているさまを表すという使い方も生まれてきた。「wwwwww」のような感じだ。すごく面白いとか、あるいは相手を嘲笑するような意味合いも含まれているように思える。さらに、最近では、この「w」が並んでいる様子が、まるで草が生えているかのように見えるということで、文末に「草」とつけることで、端的に笑っている様子を表すようなネットスラングも登場している。もともとオンラインゲームで短く簡単に感情を表現するために生まれた「w」が、逆に長くなっている。ローマ字なら「kusa」と打って変換しなければならない。もうだいぶ意味不明な進化だ。

 個人的には「草」は、比較的若い感じの人が好んで使うネットスラングかなと感じている。僕はあまり使わない。一方で、「(笑)」の発展型(?)として「(汗)」とか「(爆)」なんて表現もあった。この辺になってくると、文章からはかなり加齢臭が漂ってくる。相当古い。

 つまり、そういうことを気にし始めると、もうネットスラングは使えなくなってきてしまうのだ。別に若ぶるつもりはないし、そもそも書いている文章の内容が年相応に古臭いのだから、そこは別に気にしているわけでもない。だが、一番の心配は、さっきも書いた通り、「果たして世代の違う人々に、そのニュアンスが正しく伝わっているのだろうか」ということなのである。

 そう考えると、たとえツイッターのような短いものでも、万人が読んでニュアンスまで伝わるように、あくまで文章で表現しなければならないのではないかと思ってしまうのである。だから、ネットスラングは使わない、という結論に達するのだ。

 と言いつつ、最近は一周回って、☺のようなグラフィカルな顔文字なら、誰にでも伝わるんじゃないかと思っている。うん、これは携帯電話時代の文化に違いないな。正しく伝わるのかな(笑)


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