恐怖のSNS

 ツイッターも、もう使い始めてから15年。SNSにまつわる様々な騒ぎを目の当たりにしてきて、自分ではあまり危ないところに近づかないで使っているつもりだったが、そうでもなかった。

 リプライで直接相手に苦言を呈したり、攻撃的なことを言ったりすれば、当然トラブルになる。これは何もSNSに限ったことではない。最近では電車の座席に寝ている人物を注意して傷害にまで発展した事件があった。それと同じで、ネット上でも(どっちが正しいとかは別にして)敢えて相手に「絡んで」いけばトラブルになるというものだ。

 もともとツイッターは自分の感じたことや日常を「つぶやく」体で書き込んでいくのが本来の意味だったわけだが、なんと言っても利用者数が膨大になりすぎた。相手に直接リプライを送らずとも、気に入らない発言にはどこからともなく知らない人がやってきて絡まれたりする。何しろネット上のサービスには検索という便利な機能があるから、他ユーザーと繋がっていない人の発言でも(プライベート設定していない限り)発見されてしまう。

 僕は穏やかにSNSを使いたいので、今まで一回も、自分から相手に直接ご意見したことなどないのだが、自分の中の様々な思いや感想は書いてきた。読む人がわかりやすいように、伏せ字などは使わず、ぼかした比喩もせずにストレートに書いている傾向はあるので、読んだ人には内容が伝わりやすいということはあるかもしれない。

 あまり意識せず、こういうSNSの使い方を15年間続けてきたのだが、やっぱり利用者数増の波に呑まれて、僕のところにも検索から攻撃的なリプライが飛んでくることとなった。もっともそういう経験が初めてということではないのだが、特にここ数日は連鎖的にエゴサーチからの攻撃的リプライが多くなってさすがに辟易していた。

 そもそもエゴサーチして自分の悪口を探すという行為をすること自体が僕には理解し難いのだが、それを見つけてわざわざ相手にトラブルになるような罵詈雑言を叩きつけに飛んで来るんだから恐ろしい。こういう人たちは、個人的にはだいぶ頭がおかしいレベルに感じられるのだが、こういうこと書くとまた飛んでくるから誠に恐怖である。

 さすがにこっちも人格を否定されるような言葉を投げつけられたら抗議の意味で反論はするが、だいたいエゴサーチして飛んでくる、もともとスイッチの入っちゃっているような人たちが、そんな抗議を受け入れるはずもない。自分で自分の怒りの炎に油を注いでより一層燃え上がるのがいつものパターンである。

 燃え盛る勢いでさらなる攻撃を行い、最後は自分が勝ったー! と宣言して相手をブロック。こんなところがSNSで飛んでくる頭のあれな人たちに共通する行動だ。いろいろな人がいるが、やることはだいたい皆同じようである。

 なんと言うか、その燃え盛る火の玉の如きそのエネルギーには感服する。理解し難くはあるものの、想像するにこういう人たちはよほど自分に対する評価・評判が気になるのかもしれない。そして自分の意にそぐわないものはなんとしても叩き潰さないと不安で居ても立っても居られないのだろう。要するに臆病で、ある意味デリケートなのだ。彼らは、彼らにとってのユートピアであるネット世界から自分の敵を排除しなければならないと思っている勇者なのかもしれない。勇者たち、できれば他人にもデリケートであってほしいけど。

 しかし、我々の生きる世界はネットの上だけに存在するわけではない。ネット上で相手を叩き潰そうと、ブロックして見えなくしようと、その人に対する評価は厳然とこの世に存在する。消えることはない。(むしろ評価は下がっているだろう)見えなければ気にならないということなのか。その辺はよくわからない。

 かように、最初は知らない人との繋がりができて楽しかったSNSの素朴な世界も、今やどこかの世界から転生してきた勇者たちによって非情な争いの絶えない、恐怖のバトルフィールドと化してしまった。この恐るべき世界を生き抜くためには、我々はさらに賢くなるしかないわけだが、その方法については機会があったらまた書くことにしよう。

 ところで、以前はブロックされて終わりだったこの手の騒ぎだが、どうやらブロックした相手をさらに検索して監視しているオブザーバー勇者もいるようだ。それを避けるために最近はブロックされたらこちらからもブロックするようにしている。防御力は高めておきたい。まあ、さらに別アカウントから飛んでくるマメな人もいるようだが……ホント、頭おかしい。


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